物心がついた時には、私は既に猫好きの子どもでした。
しかし私は猫アレルギー。父は猫嫌い。住んでいるのは動物不可のアパート。
今日はそんな私が猫作家になるまでの、猫好きの変遷をお送りします。
とにかく幼少期は猫を飼えない状況が整い過ぎて、猫を飼うなんて夢のまた夢でした。
叶わないからこそ猫への憧れが積もりに積もっていった時期です。
小学生のころ、猫屋敷に住む女の子と親友になりました。
10匹くらい居たのでしょうか。すべて捨てられた猫ちゃんたちだったそうです。
もう羨ましくて羨ましくて。
「大人になったら絶対に猫を飼う!目薬1リットルと一緒に!」
この頃からこのセリフが私の口癖になりました。
アレルギーであろうとなんとかして猫と一緒に暮らせないか、模索する日々の始まりです。
有難いことに中学生になる頃にはアレルギーは随分収まり、よっぽどでなければ症状が出なくなっていました。
それでもアパート暮らしは変わらず。猫を飼う夢は叶いません。
なので、外を歩きながら猫を探すのが日常になりました。
家と家の隙間。車の下。何かの物陰。
友人に「もしかして猫探索用のセンサー搭載してる?」と言われるようになったのはこの頃です。
高校、そして地元を離れて大学へ。
一人暮らしを始めるも、猫を飼う余裕などはなく。ここでも猫への憧れを募らせる日々です。
この頃には野良猫さんとのコミュニケーションがすっかり上手くなっていました。
撫でさせてもらったり、ときには膝に乗ってもらったり。
かまってくれる猫ちゃんにひとたび出会えば、そこで30分でも1時間でも時間を費やす変わった人でした。
そして大学三年生。
私と同じ猫センサーを搭載し、野良猫ちゃんと1時間遊べる、私と同じ変人に出会いました。
うちの旦那様ですね。
猫好きの変人が二人そろえばすることは一つ。
「なんとしてでも猫を飼う!」
紆余曲折を経て一軒家を建て、初めて猫を迎えることになりました。
「ペットショップも保護猫も、とにかくいろいろ考えてじっくり決めようね」
そう言っていたのですが。
ホームセンターのペットコーナーで、とびきり変な猫ちゃんに出会ってしまったんです。
抱き上げた瞬間、ゴロゴロゴロゴロ。
顔中をベロベロベロベロ。
犬さんじゃありません。猫さんの話です。
挙句の果てには口元まで舐められて「絶対この子にするー!」となりました。
即決です。初心なんて忘れ果てました。
のちに母に「あんたが猫を選んだんじゃない。猫に選んでもらったんだ」と言われた出来事です。
今我が家にいるのは、ビビりで人間大好きなスコティッシュフォールドの「トト」君。
連れ帰ってきてゲージを開けた瞬間に、ゴロゴロいいながら飛び出してきた変な猫です。そのまま全力で家中を探検し、おもちゃで遊び、5分後には小さい身体で階段を昇ろうとしていました。
幼少期から積もりに積もりまくった猫への憧れはトトが家に来たことで爆発しました。
毎日毎日、猫への「好き」を更新中です。
この頃から私は猫作家。猫ばっかり作っています。同じく猫好きのだれかに届きますように。