以前、孫たちへ贈る虹色の箸置きを作りたいといらっしゃったおじいちゃまがいた。
かなり無茶なオーダーだったけど、一緒に考えて、綺麗な箸置きを20個程作って、裏側にお誕生日やメッセージを彫って差し上げた。
それがご縁で、三島の展示会にいつも来てくださった。
この夏、「先生、お当番の日はいつですか?」と電話を頂いた。
声がちょっと籠っていて(どうしたのかな)と思っていた。
私の当番の日に現れたのは、恰幅のいい大柄な印象とは全く違い、痩せて色白で杖をついて、娘さんに抱えられるようにしてとぼとぼと歩く姿だった。
心臓の手術をしたのだそう。
だけど早期に受診して、予後は良かったと。 「良かったですねー(^-^)持ってますねー!まだ現世での使命があるんでしょうね!」 とわざと大きく笑って言ったら、にっこり笑って「うん、まだ頑張る!」って。
私のブリキ色のグラスのフロストタイプを購入したいとおっしゃったので、 「快気祝いに差し上げますよ!だから、来年はもっと太って必ず来てくださいね!」 と渡したら、嬉しそうに「はい!」って、とぼとぼ出口へ。
娘さんが、こっそり 「先生にお電話するの、ものすごく迷ってたんですよ。会いたかったみたいで。グラスまで頂けて、父は本当に嬉しいと思います。」 って、耳打ちしてくださって嬉しかった。
わざわざタクシーで来てくださった。
姿が見えなくなるまで見送った。
また来年、きっとお会いしましょう。
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