作品が仕上がったときは
いつも特別な感情にとらわれる
それはわたしだけの喜び
それは仕事を完成した喜び
それは丹念に仕上げた誇らしさ
毎回描いた絵をまえにした
無邪気な子供のように心が微笑む
ここに着くまでにたどった道を
これからたどる道をおもう
道が長いのは知っている
つくったものはきっと
多くの人に出会うだろう
それぞれがほんの少しわたしの分身
涙と喜びを分かちあい
つなぎあう
ささやかな架け橋になってくれるはず
それは世界からも人の目にも見えない
蜘蛛の糸のように細い糸だけどそっと
誰かと誰かを結びつけたりもするだろう
これはわたしの物語
だけど
わたしのものではない
読んでくれた人に手渡す
心をこめた小さな贈りもの