刺繍作家
バリ島で舞踊を学んでいたある日、
憧れだったステージの本番を前に、私は緊張で震えていました。
すると先生が一輪の花を手に取って、私の冠にそっと挿してくれました。
「お祈りしているから大丈夫よ」と言って。
その花は、頭の上から体全体を包んでくれるような、とても濃厚な香りを放っていました。
不思議とその瞬間から気持ちがすっと軽くなり、
「絶対に大丈夫だ」と思える安心感が、心の奥に広がったのを覚えています。
その時の花が、「SEKAR SANDAT(スカールサンダット)」。
バリの言葉で“イランイランの花”を意味します。
見た目は控えめでも、豊かな香りを持つイランイランの花。
それは、“外見ではなく、内側からにじみ出る真の美しさ”の象徴として、バリの人々にも大切にされている花です。
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バリ島では毎朝、人々がお供えをし、祈りを捧げます。
そのとき手にするのも、イランイランやプルメリアなどの香り高い花々。
お祈りを終えたあとその花を耳に添えて過ごす習慣には、
今日一日を穏やかに過ごすためのお守りのような意味が込められているように思います。
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SEKAR SANDATのアクセサリーも、そんな花のように
身につける人の心を優しく、強くしてくれるようなアクセサリーでありたいと願っています。
バリの風景の一部分を身につけるような感覚で、
「今日も大丈夫」と思えるような。
そんな小さなお守りのようなアクセサリーでありますように。
埼玉県出身・福岡県在住。初めての海外旅行で訪れたバリ島で観たバリ舞踊に夢中になり、インドネシア国立芸術大学舞踊科へ3年間の舞踊留学。バリ島での体験を、踊りと刺繍を通して表現しています。
[全 17作品]
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