【一点物】四大元素・秘宝の雫シリーズ

罪をも燃やす炎。 癒しを与える風。 惑わしの歌は水。 険しく壮麗な地。 『この世を形成する幾多の元素のうち、魔法に欠かせないのはこの四つである。 　私はある時、鉱山の奥でノームに出会った。 　彼等が言うにはもうすぐ彼等の秘宝が雫を落とすらしい。それはいつの事だと問うたが、人間よりはるかに長く生きる精霊達の『もうすぐ』は、100年か200年後だろう。 　私も生きてこの目に焼き付けたかった魔力の雫。 　この願いを信じ、聞き届けてくれる者がいる事を願う』 　とある男の手記を閉じながら私は目の前のグラスに掛けられた、四色の耳飾りを指でなぞる。 　男は嘘つきだのホラ吹きだのと言われて死んで行った。 　それから今日でちょうど186年が経つ。 　今、彼が望んだ美しい魔力の結晶は、私の目の前で細工され飾られている。 　愚かにも愚者と呼ばれた男を信じ世界を股にかけ、どうにかこうにか精霊と出会い手に入れた。1000年に一度しか芽吹かない秘宝の蜜はとても、そう、とても美しい。 　精霊から分けてもらったそれは、世界を驚かせる【秘宝の雫】と呼ばれることになった。 　男の夢を叶えたわけでは無いが、この手記は大いなる手がかりを与えてくれた。今では私は【雫の王】と呼ばれるほどの財産を手に入れた。 　――顔も知らぬ先人よ。貴方の墓参りにはどの雫を身につけようか。もしかしたらもう、貴方は炎であり、風であり、水になり、大地となっているのだろうか？ 　装丁がボロボロの本を抱き締め、私は目を閉じた――。 新しい巻き方ゲットです。量生産したことがなかったので、今回は一種三対制作しました。 どうやら当店を凌ぐ財を手に入れた彼は宝石商ならぬ雫商となったようです。当店に卸していただいた秘宝の雫。 ひとつお手に取ってみませんか？