明石の方《源氏物語シリーズ・衣配り》帯留め

2024年ももうすぐ終わりです。 源氏物語の「歳末の衣配り」場面をモチーフに加賀ゆびぬきを作るのも3年目になりました。 源氏物語の「歳末の衣配り」は、光源氏が住む邸である六条院に住まわせてお世話をしている7人の女性たちに年始に着るための衣装を選ぶという場面です。そのとき配られた衣装をイメージしてつくった加賀ゆびぬきを帯留めに加工しました。 7人のうちの6人目、明石の方に配られた衣装は、 　　梅の折枝、蝶、鳥飛び違ひ、唐めいたる白き小袿に濃きがつややかなる重ねて明石の御方に 　　（梅の折枝に蝶と鳥が飛び違う唐風の白い袿に、濃い紫のつややかなもののかさねを明石の方に） 白の小袿には梅、蝶、鳥が描かれているのですが、加賀ゆびぬきで表現するのは難しく、これまでと同様に刺繍の銀糸をイメージした縞模様にしました。 白に濃い紫という品のある色合わせで、これを見た紫上は思わずすこし嫉妬してしまいます。（すこし、というのが紫上のかわいいポイントです。） 何事にもひかえめな明石の方には、すっきりとしていて似合う色合わせだと思います。 唐風というのもおしゃれです。出身が都でないからでしょうか。国風の今様色（流行色）の衣装を選ばれた紫上と対照的ながらも格の近さを感じてしまいます。そういう点でも、紫上は嫉妬してしまうのでしょう。 背景色は明石姫君とお揃いの緑です。 同柄の大きめバレッタもあります。 元禄模様の応用で、開き刺しと並刺しでかがっています。 +++++++++++++++++++ 《百人一首シリーズ》を100首分作り終えて、次のテーマとして、リクエストも多く、わたしの好きな古典の中でも王道の『源氏物語』の人物をモチーフにした作品を作っていこうと思いました。 54帖という長い物語、登場人物は500人を超えると言われますが、その中でも主に光源氏と関わりのあった女君を中心に作りたいと思っています。 古典文学は、現代、それほど身近な存在ではありませんが、源氏物語は日本では知らない人がいないくらい有名な物語。 それぞれ思い入れのあるキャラクターやエピソードも多いと思います。 王朝絵巻のようにカラフルでうつくしい加賀ゆびぬきアクセサリーをひとつひとつ丁寧に作っていきたいです。 +++++++++++++++++++ 加賀の工芸品、加賀ゆびぬきをアレンジしたものです。 加賀ゆびぬきはその名の通りお裁縫に使うゆびぬきとして作られてきたものです。 なので、普通は指輪くらいのサイズなのですが、るまんとではそれをアレンジゆびぬきとして大きくつくってアクセサリーに加工しています。 表面は布を貼ったように見えますが、ひと針ひと針、絹の手縫い糸でかがって模様を作ってる、刺繍の一種です。 模様面は絹糸のすべすべつやつやとした質感です。 絹なので高級感がありますが、ぜひ日常のカジュアルな場面に取り入れてください。おしゃれ度をワンランクアップさせてくれます。 模様面は絹糸でできているため、濡れ・汚れに弱くなっています。 濡れた時はこすらず水分を拭きとって乾かしてください。