わたしのわがまま

しまった。すっかり降られてしまった。 雨が降る日は必ずと言っていいほど傘を忘れる自分に嫌気を通り越して憐れみを感じた。 （雨が止むまで待とうか。それとも、） 俯いた視線の先、自分の影に大きな影が重なった。 顔を上げれば見知った顔の人物がひとり。 「忘れ物ですよ、お嬢さん」 色白の彼は愉快そうに白い歯を見せて笑っていた。 「すごくちょうどいいタイミングだね」 感謝の気持ちを込めた言葉を投げかけると、彼はそれを至極当然に受け取った。 「当たり前だろ。そんなことよりきちんと天気予報見なさいよ」 彼の言いたいことはわかっている。 でも私は明日も明後日も傘を持ち出さないと決めている。 だってわたしは――― ”あなたに迎えにきてほしいんだもの” ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 雨をイメージして制作したアクセサリーです。 シンプルなしずく型のビーズ刺繍に楕円のビジューを折り重ねて、立体感のある雨の雫を表現いたしました。 ピアススタッズの部分のビーズ刺繍においては、乳白色のビジューが優しい印象を与えます。 その印象をさらに強調したく、少しひんやりした色合いのガラスビーズを周りにステッチしました。 対照的な2種類の素材が相性よく折り重なり、全体的に大人しく柔和な作品となりました。 ボリュームが少し欲しかったので、つなぎの部分に極小パールとチェコビーズを施しました。 襟のような見た目が上品で、とても魅力的だと作家ながらに感じています。 モノトーンコーデの主役品としておひとついかがでしょうか？：） 縦 約4.5cm 横 約2cm(しずく部分)・約1cm(スタッズ部分) 重さ4g