現代において「作ったものを売る」ということを生業にしている人は、星の数ほどいる。
でも買い手は、その作り手の心にまで思い及ぶことは少ない、と切なくも思います。
そこで私は、ここにひっそりとそれを書き留めておくことにしました。
私は昔から、自分の持ち物は永く使い続けるタイプです。
だから物を選ぶときはとことんこだわり、決めるまでにとても時間がかかります。
私のつくるものたちも、そういう人に選ばれたい。
悩んで選りすぐって決めたのが、私の作ったものだったら嬉しい。
「デザインの存在価値は、暮らしの中で生きてこそ意味がある。」
これは私がものづくりという営みの前提としている言葉です。
見た目が素敵なのはもちろん、「使え」なくては敢えて一から作る意味がないと思うのです。
いつかあなたが私が作ったものを選んでくれたとき、あなただけの「暮らしの道具」として生きてくれるように。
革があなたらしい色艶を帯びていくように。
これこそ私がものづくりに込める、"作り手の心"です。