鉱石の町は、<イシルディン>という山の麓にある。
<イシルディン>は、魔法のかかった山で、一年中美しい銀嶺だ。
その名からもわかるように、もとはエルフが暮らしていたが、たくさんの鉱石が取れるので、技術と引き換えにドワーフが入山するのを許した。
麓の鉱石の町は、鉱石の物流の中心であり、様々な種族で賑わっている。
そんな鉱石の町にも冬がやって来る。
<イシルディン>には、寒い冬にだけ採れる鉱石がある。雪がかかったような美しい鉱石だ。
職人のドワーフたちは、凍えそうな手を暖炉の火にかざしながら、鉱石を仕立てていく。
薪の燃える音、ドワーフたちが歌う声、雪がしんしんと降る夜。
鉱石の町にも冬がやって来た。