初めまして。米どころ新潟県でお店を営む糀甘酒の専門店、古町糀製造所と申します。このレターでは、本店の来歴などについて綴ります。
【誕生の経緯】
当店が産声をあげたのは2009年。「糀という素晴らしい素材が、どうして今の世に広がっていないのだろう」という疑問からでした。
立ち上げの創業者は、もともと銀座でおむすび屋を営んでいました。そのおむすびの具材を探して訪れたとある醸造蔵で初めて口にしたのが糀の甘酒でした。当時は甘酒というと「日本酒の香りが残ってクセが強い」「古臭くて年寄りが飲むもの」「正月に神社で配っているよね」そんなイメージを持たれており、現在のようにスーパーやコンビニで気軽に手に入るというものでもありませんでした。
この時に出会った糀の甘酒。その豊かな甘みと醸造という確かな背景の存在に惹かれた店主は、これを広く世の中の皆様に伝えるべく、日本初の糀甘酒専門店を立ち上げるに至りました。
【二種類の甘酒】
既にご存じの方も多いと思いますが、一般に甘酒というと二種類の作り方があります。
一つ目は「酒粕甘酒」と呼ばれるもの。日本酒の搾りかすである酒粕を水で伸ばして砂糖を加えて甘みをつけたもの。
上に示した、日本酒のクセや、昔ながらのものというイメージは主に酒粕甘酒に当てはまるものです。
そして二つ目は、当店が作っている「米糀甘酒」。
コウジ菌が発酵の過程で作り出す糖化酵素の力を使って、お米のデンプン質を分解して糖分を作り出します。
砂糖不使用でありながら豊かな甘みが感じられるのは、そんな理由があるのです。ノンアルコールであることも嬉しいポイント。
小さいお子様からお年寄り、妊婦さん迄幅広い皆様にご利用いただけます。
【隔世の感】
創業の当時、甘酒と言ってもピンとくる人は多くありませんでした。お客様一人一人にご試飲していただき、丁寧に商品の説明をしながら興味を持ってもらっていました。
この十年ばかりで様々な商品が販売されるようになり、また各種メディアでも紹介されるようになった甘酒。多くの消費者の方に「甘酒何たるか」の認識が定着したように感じています。
深夜のコンビニでさえ手に入るようになった現在、当時と比べると隔世の感があります。
【新潟市上古町というまち】
当店が店を構えるのは、新潟市の上古町というエリアです。
江戸時代以降の新潟の歴史の中では栄えた期間が長かったものの、いわゆる”旧市街”。新しく整備された商業地や、ロードサイド大型店の進出に押され、例にもれずシャッター商店街の一つになっていました。
しかし創業社長にとっては縁のある土地でもあったのです。「ここに沢山の人が立ち寄ってもらい、少しでも往時の賑わいを取り戻したい。」そんな願いも込めてお店を立ち上げました。
真新しいものを売るモダンなデザインの店ということもあり、おおくの方に注目していただき新しい人の流れができました。
現在では商店街にも様々なお店が出店し、新潟における”街ブラスポット”として特に休日は多くの方の行き来が戻ってきています。
遠方にお住いの皆様も、ご旅行やお仕事で新潟にいらっしゃる機会がありましたら、是非足を運んでみてください。
以上4つのトピックですが、長くなってしまったので今回はこのくらいにします。
まだまだ語りたいことは山ほどありますので、次回の投稿もお楽しみに。
2021年4月15日 初出品にあてて