たくさんのギャラリーの中からこのページを見つけてくださってありがとうございます。制作の裏側の一人語りですが、しばしお付き合い頂けましたら幸いです。
十数年間ほど和裁(着物の仕立て)を生業としていました。今、布小物の制作に使っている道具もその時に使っていた物がいくつかあります。
特筆すべきはこの【指皮】長方形の皮を指の太さに合わせて端を切って糸で綴じる(画像中央)。和裁はこの皮に針のお尻=穴の開いている方をあてて手縫いで布を縫い合わせていきます(画像右側)。
最初のうちは皮も硬くてキツすぎたりもするんですがそのうちにい~い感じに指に馴染みます。皮が伸びているのかはたまた糸が緩むのか、何ヶ月も使っているとぶかついてくるのでその時は一度糸を切り皮の端を少し切って再度糸で綴じますが、そのうちに針のお尻が皮を突き破って指の背にも刺さるようになってしまうのでそうなったら交換時期です。
今は手縫いすることもなくなって本来する必要はないんですが製作作業時、裁断やアイロン掛けなどの針を使わない作業の時にも無いと落ち着かない、もはや儀式のようなものです。
しかし困ったことに小さい物なので、たまに迷子になって洗濯済みの服のポケットから転がり出てきたりもします。