心苦しい話をします。
とっても心苦しいけれど
どうしても話しておきたい話です。
ぜひご覧いただけると幸いです。
私は現役でネイリストをしています。
minneではネイルチップを販売しています。
前々から「手の空いた時のお小遣い稼ぎに…」
とショップの登録だけしていたのですが
本格始動したのはコロナ真っ只中の
2020年5月でした。
私の勤めているサロンも
営業を停止した期間がありました。
お客様に直接触れる仕事だから
業界内は揺れに揺れました。
当然日頃から衛生管理はしていましたが
それだけでは足りない
もっと細心の注意を払わないと、と
皆が必死でした。
業務のオンライン化が進み
テレワークへ移行している企業もある中
ネイリストがオンライン上で
お客様に提供できるサービスって一体なんだろう?
自粛期間中、サロンオーナーと
毎日毎日話し合いました。
いくつか浮かび上がった方法を
徐々に実行していくこととなり
私にとってそれがチップ販売でした。
しかしネットショップを本格的にやる前から
私の目の前には大きな壁が立ちはだかっていました。
それが価格です。
みなさんはネットで売られている
ネイルチップと聞いて
いくらくらいの価格を想像しますか?
私は2000円以下でした。
おそらく一般的に考えられている価格と
そう差はないだろうと思います。
ですが実はこれは完全な赤字です。
minneでもたくさんの作家さんが
さまざまな価格、さまざまなデザインで
ネイルチップを販売しています。
でもほとんどの皆さんが
利益、もしくは人件費がまったく0
というのが現実ではないでしょうか。
確かに、1組のネイルチップの材料費は
そこまで高くはありません。
カラージェルも100円ショップで買えるものから
プロ用だと7000円ほどのものまであるので
販売価格に合ったものを使えば
それなりに低価格でご提供はできます。
ただしネイリストは技術職です。
ジェル1つではその値段ですが
お客様のご要望に応えようと思えば
最低でも100色ほどは必要になってきますし
各メーカーごとにジェルの特徴も違いますので
自分に、作品にあったジェルを探さなければいけません。
同じメーカーであっても白のジェルひとつで
濃度や粘度、発色、色み、価格、扱いやすさ
なにもかもが違う商品が日々生まれていますので
それを吟味しながら、実験しながら
自分にとっての最高のジェルを探し出すのです。
ジェルだけではありません。
ジェルを塗るための筆や溶剤も
アートに使うパーツも
ネイルチップも
流行のアイテムも
数え切れないほど選択肢があります。
しかもネイルチップは
長年繰り返し楽しんでいただくもの。
作り立てはキレイでも
1年後も同じ状態かどうかは
実験してみないと分かりません。
ジェルと溶剤の組み合わせで
輝きが損なわれることもあります。
毎日毎日課題が生まれ
それを実験と練習でクリアしていく。
これはネイリストのみならず
技術職の方なら全員そうだと思います。
一生勉強が必要なのです。
その勉強にはどうしてもお金がかかるのです。
売ったネイルチップの利益が0では
新しい知識を増やしていくことができません。
作る過程の人件費が0では
優秀なネイリストの育成は不可能です。
近所の大手サロンは
安い・早いを売りにして
たくさんのお客様にきていただくことで
少ない利益をカバーしていましたが
コロナの自粛期間中に閉店してしまいました。
本当は運用のことも考えて
もっと高い価格で
お客様にサービスすべきだったのに
それができなかったことが
一因ではないか、と私は考えています。
私たちのもつ技術はお客様のためのもの。
日々努力し、考え、そして提供する。
それに耐えることが当たり前であるという意識から
利益、人件費というものを軽んじていました。
ネイリストが提供するサービスの価値を
ネイリスト自身がきちんと理解し、
ちゃんとお客様にお伝えできなかったことが
コロナという危機をむかえ
表面化したのだと思っています。
ネイリストとして生きていくために
話しにくいことも、きちんと正面から
お客様に発信していかなければならないと
今、感じています。
だから2020年12月より
当店のネイルチップの価格を大幅にアップします。
もちろん、それに合わせて
商品内容、梱包、発送方法、ネイルチップの扱いなど
手の届くすべての分野で
より一層の努力を惜しみません。
「手の空いた時のお小遣い稼ぎに…」
なんてことは今後一切言いません。
私はプロのネイリストであり
お客様にご納得いただけるサービスを
ご納得いただける価格でご提供する。
これを信念に、真剣に取り組んでいく所存です。
どうか皆様にも厳しい目で
当店の商品を、私を、ジャッジしていただき
高すぎるな、と思えばその時は画面を閉じてください。
そしてもし可能なら
時をおいてまたいらっしゃってください。
その時には必ずお眼鏡に叶うようなサービスをご提供します。
最後になりましたが、これは私が
minneという場所をお借りして
ネイリスト活動をしていく上での所感をのべたものであり
ほかの作家さんの活動を否定するつもりはございません。
ハンドメイドショップとしてどのように販売していくかは
作家さんの自由であり
私がたまたまこういう志で販売させていただく、
ということです。
黙って価格だけ変更することも考えましたが
自分のケジメとして、決意表明をしました。
まだまだ実力が足りない、といつも感じていますが
ひとつひとつ階段をのぼって
ネイリストとしてレベルアップしていければなと思っています。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
nail cloud 9 -ネイルクラウドナイン-