森の奥深く、リリィの小さなお店がある場所からさらに進んだところに、一際大きな木がそびえていた。
その木は、季節に合わせて様々な花が咲き、月夜の晩にだけ金色の葉を揺らし、かすかな囁きを風に乗せるという「幻の木」。
ある月が輝く晩、リリィは森を歩いていると、かすかな声を耳にした。
「…助けて…」
声のする方を見ると、幻の木の葉がいつもより色褪せ、枝が少しずつ透けるように消えかけていた。
「どうしたの…?」
リリィはそっと木に手を触れた。
幻の木は、森の魔力が弱まると姿を保てなくなる。
昔から森に満ちる魔力は、動物や花々、風の精霊たちが生み出していたが、最近その力が弱まっているという。
「私に何かできることはない?」
リリィの問いかけに、木の葉が一枚ふわりと舞い落ちた。
その葉は金色に輝き、まるで消えゆく光のように儚げだった。
リリィはその葉をそっと手に取り、ひらめいた。
「私があなたに魔法のお花を咲かせるわ。この葉の力を宿したお花なら、森の魔力を取り戻せるかもしれない!」
彼女は急いでお店に戻ると、金色の葉を中心に置き、柔らかい刺繍糸で繊細な花びらを編み始めた。
夜が更ける頃、3つの幻想的なお花が完成した。
翌朝、リリィはその花を幻の木の根元にそっと置くと
金色の葉が優しく光を放ち、木全体がゆっくりと息を吹き返したように揺れはじめた。
「ありがとう…」
その声は、風が囁くように、優しく森中に響いた。
リリィは微笑みながら、そっと木を見上げ
「これからも、森のために私の魔法のお花を作り続けるわ。」
こうして、リリィと幻の木の新たな物語が始まるのだった。
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《 魔法のお花と幻の木 》
アイテム紹介
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