第三話 魔法のお花と幻の木

第三話 魔法のお花と幻の木

森の奥深く、リリィの小さなお店がある場所からさらに進んだところに、一際大きな木がそびえていた。 その木は、季節に合わせて様々な花が咲き、月夜の晩にだけ金色の葉を揺らし、かすかな囁きを風に乗せるという「幻の木」。 ある月が輝く晩、リリィは森を歩いていると、かすかな声を耳にした。 「…助けて…」 声のする方を見ると、幻の木の葉がいつもより色褪せ、枝が少しずつ透けるように消えかけていた。 「どうしたの…?」 リリィはそっと木に手を触れた。 幻の木は、森の魔力が弱まると姿を保てなくなる。 昔から森に満ちる魔力は、動物や花々、風の精霊たちが生み出していたが、最近その力が弱まっているという。 「私に何かできることはない?」 リリィの問いかけに、木の葉が一枚ふわりと舞い落ちた。 その葉は金色に輝き、まるで消えゆく光のように儚げだった。 リリィはその葉をそっと手に取り、ひらめいた。 「私があなたに魔法のお花を咲かせるわ。この葉の力を宿したお花なら、森の魔力を取り戻せるかもしれない!」 彼女は急いでお店に戻ると、金色の葉を中心に置き、柔らかい刺繍糸で繊細な花びらを編み始めた。 夜が更ける頃、3つの幻想的なお花が完成した。 翌朝、リリィはその花を幻の木の根元にそっと置くと 金色の葉が優しく光を放ち、木全体がゆっくりと息を吹き返したように揺れはじめた。 「ありがとう…」 その声は、風が囁くように、優しく森中に響いた。 リリィは微笑みながら、そっと木を見上げ 「これからも、森のために私の魔法のお花を作り続けるわ。」 こうして、リリィと幻の木の新たな物語が始まるのだった。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 《 魔法のお花と幻の木 》 アイテム紹介 ・春の耳飾り - 桜色 - https://minne.com/items/41865297 ・春の耳飾り - たんぽぽ色 - https://minne.com/items/41865286 ・春の耳飾り - 若草色 - https://minne.com/items/41865229

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