

"発酵"する染料
Tatz Miki(タツ・ミキ)は天然の木灰を使って自然発酵させたインディゴ染料を使って手染めしています。チーズ、ワイン、シャンパン、味噌、納豆など発酵食品は種類も多く、とてもよく知られていますが、その染料バージョンが発酵インディゴなのです。発酵パワーをフルに活用することで、生命力溢れる、艶やかなインディゴブルーが生まれるのです。多くの方は、インディゴ染めというと青い染料の中に入れることで布を青く染めると思っていますが、実際はそうではありません。それは空気に触れることで色になる染料なのです。実際の染料は緑がかった濃い茶色で、そこに布を浸した後、外に出した瞬間に色が表れはじめます。従って、基本的に染色の濃さは生地を染料に浸す時間の長さではなく、染料への出し入れの回数で決まります。一回の出し入れにかかる時間は、生地の厚さにも依りますが、生地をゆらゆらと動かしながら浸して30秒、その後引き上げた瞬間から変色をはじめ、30秒も空気に触れさせれば十分です。ただ、染料は微生物が発酵活動する生命体なので、あまり短期間に酷使しすぎると発酵するパワー自体を失ってしまうので注意しなければなりません。
色の名前と価値
Tatz Miki(タツ・ミキ)は、インディゴが出す色艶を8段階に分け、それぞれに名前を付けています。色が濃いほど高価になります。濃い方が染める手間もかかり、インディゴの含有量も多くなるためです。デビュは一回染め、ヴィクトワールは概ね60〜70回です。色が濃いほど殺菌効果やUVカットなどの効力が強くなります。なお、これらの色は植物の種類や原料のでき、染料の発酵具合などによって微妙に変わってくるため、まったく同じ色にはなりません。テロワールの原理が働くワインと同様、つまり生産地や生産年、生産者の個性、使う種の種類、開けるタイミングなど多くのな要素が交わりそれぞれのワインの味を特徴づけているように、Mikiのインディゴ作品はそのどれもが世界で唯一の色艶を奏でるオンリー・ワンの色なのです。
1. Début (デビュ) すべてがはじまる瞬間のベリー・ファースト・ブルー 染め回数:1回
2. Brise (ブリズ) 初夏のそよ風を思わせる爽やかなピュア・ブルー 染め回数:2回以上
3. Ciel(シエル) どこまでも青い永遠のエターナル・ブルー 染め回数:約10回以上
4. Aube(オーブ) 朝焼けのようなルビーがうっすらあらわれるミステリアス・ブルー 染め回数:約25回以上
5. Amour(アムール) 恋する大人のための華やかなレディッシュ・ブルー 染め回数:約40回以上
6. Univers(ユニヴェ) ブルーがルビーと溶け合って生まれるノーブルな宇宙のパープル 染め回数:約50回以上
7. Victoire (ヴィクトワール) "かちいろ"と呼ばれサムライに愛されたウイナーズ・パープル 染め回数:約60回以上
8. Infini(アンフィニ) 無限へと続く究極のグラン・パープル 染め回数:約80回以上
「1〜3:ブルーが段々と深まります。4〜5:ルビー色が見えるようになります。6〜8:ブルーとルビーが交わり深いパープルへと向かいます」
究極のアジア・ブルー
日本の発酵するインディゴは、世界各地にある多種多様なインディゴ染めの一種です。そして、それはお箸や漢字が中国大陸からのものであるのと同様、元々は大陸から伝えられたもの。Tatz Miki(タツ・ミキ)がジャパン・ブルーという呼び方を避けるのはそのためです。それは、長い年月をかけ多くのアジア人の知恵が集積してできた究極のアジア・ブルーなのです。
蛾の繭
インディゴ・ブルーを乗せるの"キャンバス"としてTatz Miki(タツ・ミキ)が選んでいるのが普通の家畜のカイコとは異なるサタニーディ、すなわちヤママユガ科の蛾の繭からできた織り物です。サタニーディにはさまざまな色や形のものがありますが、どれも野性的な生命力に溢れていて、ナチュラル・インディゴと同じく、健康素材としてそのヒーリング効果が注目を集めています。Tatz Miki(タツ・ミキ)は厳しい自然環境にも適応する能力を持つサタニーディとナチュラル・インディゴは、まさに究極のマッチングだと考えています。
Tatz Miki(タツ・ミキ)は、外見的な美しさに止まらないインディゴの魅力についても強く意識しています。たとえばインディゴの持つ消毒・殺菌効果です。古代エジプトでは、腐敗防止のためミイラをくるむ布として使用されるなど、その効果は古くから知られていました。日本でも戦国時代の武士たちは、戦による切り傷の病原菌から身を守ってくれると考え、こぞって鎧の下にインディゴ染めの肌着を身につけました。あまり知られてはいませんが、過剰な紫外線から肌を守る高いUVカット効果も大きな魅力のひとつです。インディゴ染めのものを紫外線を受けやすいところ、たとえば夏のビーチで遊ぶシーンなど積極的に活用していただき、肌を守ってもらうことを推奨しています。
人類史上、最も古い染料の一つであろうインディゴ。ぼくの仕事は、インディゴとともに新しい時代の扉を開くことだ。
もともと色のないものが、発酵、すなわち微生物の生命活動に支えられて鮮やかな色彩へと昇華していく姿は、言葉にならないくらい神秘的で美しい。このプロセスの一端を担うことを、ぼくは誇りに思っている。そして今日も小さな生き物たちと力を合わせ、強烈な生命の色を創る。
[全 4作品]
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