社会とのつながり、ずっと名前で呼ばれたかったんだ

社会とのつながり、ずっと名前で呼ばれたかったんだ

こんにちは、WEEKENDSTITCHです。 今日は私達が活動を始めるまでのお話を書きます。 私はもともと住宅メーカーの技術職として働いていました。 夫の転勤などで一度退職しましたが、出産するまでは元の職場でアルバイトを続けていました。 素敵な人間関係に恵まれ、みんな名前で「やじー」「やじーさん」などと呼んでくれていました。 それが出産してから生活は一変。 もう子供のことで手いっぱい。 初めての、今でいうワンオペ育児に毎日対処していくのに必死でした。 そして娘は幼稚園へ。 そこから急にひさびさに知らない人達の中に親子で飛び込むことになります。 でも、そこではあくまでも「○○ちゃんのママ」。 自分も相手のことは同じように呼びます。 それはそれで楽しく、色々悩みはあったけど、幼稚園では素敵なママ友たちと出会い、娘に出来るだけのことをしてあげたいと思う毎日でした。 でも小学校に入って少し子育ても落ち着き、時間が出来てきたら何も残らない自分に気づきます。 「これからの私の楽しみってなに?」 娘の健やかな成長、結婚、出産? 自分のことは何ひとつ思いつきませんでした。 たまに会う友達や家族以外、会う人の私の呼び名は相変わらず「○○ちゃんのママ」です。 急激に空虚感を感じ、このままでは娘に精神的に依存していくことになるのではと怖くなりました。 娘にとってもきっとよくない。 これから私の手を離れていかなければいけないのに、彼女の重荷になってはいけない。 外に出て働きはじめるのも選択肢のひとつだけど、私は自分の子供の頃の寂しさから、せめて低学年あたりまでは娘が学校から帰った時に家にいてあげたかった。 そして元いた職場に戻れたとしても、贅沢だけれど心からやりたいことというわけでもなかった。 そんな時期に出会ったのがクロスステッチ。 作家になる目的で始めたのではないけれど、この新しい趣味にとにかく夢中になりました。 そしてちーさんと2人で活動を始め、名前も決め、趣味から仕事にしたいと思いはじめます。 試行錯誤しながらいくつかのハンドメイドサイトを経て、やっとミンネでの販売にたどりつき、ミンネのアトリエのイベントにある日選ばれました。 ミンネのスタッフさんに会うのも初めて。 それまではフリマレベルのイベントしか出ていなかったし、とにかく一生懸命作った作品を抱えて緊張しつつ会場に向かいました。 そこにいらしたミンネのスタッフさんにどきどきしながらご挨拶をしたところ、こう呼ばれました。 「あ、WEEKENDSTITCHさん!」 衝撃でした。 当たり前です、私達の名前はWEEKENDSTITCHと申し込みメールに書いたんだから。 でも、初めて会った人に「○○ちゃんのママ」という存在ではなく、個人として呼びかけてもらえたことが久し振りすぎて、そしてそれを自分の心がここまで求めていたということにびっくりしたんです。 あの時は一瞬のことでなんでこんなに自分が驚いてるかわからずに何でもないふりをしたけど、今でも書いてるだけで心にぐっとくる場面です。 今、作家活動をしながら育児をしている方達を見ると、大変だな、頑張ってるなと応援する気持ちの一方で、ハンドメイドに出産前から出会えていてよかったなあと思うのです。 きっとママではない、個人の大切な時間だから。 私は親ではあるけれど、それ以前に私として生きる場がほしかった。 今ではこれからの楽しみどころか、来週の楽しみ、来月の楽しみ、将来の夢、やりたいことであふれています。 本当にWEEKENDSTITCHを始めてよかった。 あの数年後に本を出したり、大きなイベントに出たり、たくさんのあの頃遠くに見えていた作家の方たちと知り合えるなんて想像もしていなかった。 娘のいない時間に活動をし、帰ってくる時には家にいて刺繍をしながら話を聞ける。 休みの日には時々イベントに行かせてもらい、個人としての時間を持てる。 ハンドメイド作家の活躍の場がひろまった、今のこの状況に、時代に、ミンネに本当に感謝しています。 これからはもっと色々な働き方ができる社会になるんでしょう。 娘にもきっとママがこんなに夢中になって何かに取り組んでいることは、プラスの影響になると信じています。 今はこれが普通の母親だと思ってるみたいだけど、もう少し大人になったら変わった母親だったんだと思うだろうな・・。 そんな私達が作っている作品、見てもらえたら嬉しいです。 *こちらの文章はnoteに書いているものをレター向けにリライトしたものです。 https://note.com/weekends

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