2023年5月のことです。
1匹の猫がうちの庭にやってきました。
青い首輪をしていますが、体はガリガリ。
猫風邪をひいて、鼻水と目脂が酷く、息がしにくそうで、片方の目が開かない様子でした。
お腹が空いていたのか、私を見るとこちらに寄ってきました。
鼻水のグズグズという音が聞こえてきます。
私はこのまま放ってはおけず、ウエットの餌を与えてしまいました。
猫は、ガツガツと、あっという間に食べ尽くしてしまいました。
そして、『もっとちょうだい!』と訴えます。
仕方なくもう一袋開けました。
猫は満腹になると、しばらく、テラスのタイルの上で横になっていましたが、気がついた時には、もういなくなっていました。
それから毎朝、その猫は、うちにやって来ました。
首輪に鈴が付いていて、この子がくると、鈴の音がします。
なので、『鈴』と名付けました。
首輪をしているので、誰かに飼われていたようです。
鈴はとても人懐っこく、人を怖がりません。
私を見ると、
『ご飯をちょうだい!』と言うように走り寄ってきます。
鈴は、痩せていて、目が開かないくらい目脂でいっぱいで、鼻水を垂らしていて、辛そうでした。
私は、猫風邪用の抗生物質と寄生虫駆除薬をご飯に混ぜて食べさせてみました。
幸い、鈴は、いつもガツガツしていたので、薬が入っていても、気にせずに食べてくれました。
まず、鈴の飼い主さんを探そうと、ネットの迷子猫の掲示板に写真と特徴を載せてみました。
ご近所の掲示板や電信柱にも、迷子猫のチラシを作って貼りました。
やがて、鈴は、目脂も鼻水も出なくなり、体も少しふっくらとしてきて、男前になってきました。
案外可愛い男の子です。
お天気のいい日は、和室前の三和土で昼寝をするようになりました。
勝手口を開けると、鈴は、家の中に駆け込もうとします。
家の中に入れてあげたいけれど、鈴は、誰かの飼い猫かもしれなので、心を鬼にして家の中には、入れませんでした。
でも、飼い主さんはなかなか見つかりません。
ひょっとして、飼い主さんは、病気?あるいは、亡くなられたのでは?と不安になって来ました。
相変わらず、毎日何処からか通ってくる鈴が、私にとって当たり前になっていきました。
ところが、突然、鈴はパッタリとやって来なくなってしまったのです。
交通事故に遭遇して怪我をしたのでは…一抹の不安がよぎりました。
でも私たち家族は、
『鈴は元の飼い主さんの所に戻ることが出来たんだね。』
『鈴が幸せに暮らしているといいね。』と時々話題にして鈴を思い出しました。
暑い夏が過ぎ、9月の終わりのことです。
突然、迷子猫の掲示板を通して、連絡がありました。
『この猫を保護しました。飼い主が見つかっていないようなので、うちで飼います。』という連絡でした。
保護してくださった方は、鈴を保護してから、首輪をした鈴に飼い主がいないか、迷子猫の掲示板で調べてくださったようです。
そしてわざわざ、うちに連絡してくださいました。
保護してくださった方は、同じ市内の同じ区に住んでいらっしゃいますが、うちの家からは車で30分以上はかかる所で、山を越えた向こう側です。
そんな遠くに、鈴はどうやって辿り着いたんだろうかと、とても不思議に思いました。
でも、間違いかもしれないから、ぬか喜びしないようにと心を落ち着かせました。
写真や動画を送ってくださり、私も写真を送りましたが、間違いなく保護された子は、鈴だったのです。
すぐに病院に連れていってもらって、鈴は、去勢手術を受けたそうです。
そして残念ながら、鈴は、猫エイズのキャリアだったことがわかったそうです。
猫エイズは、発症しなければ、元気に暮らしていけます。その方は、
『病気があっても、うちで大切にします。』と言ってくださいました。
鈴が来なくなって、もう随分経っていましたので、突然のこの奇跡のような出来事に、私は飛び上がるほど嬉しくて、涙が出ました。
昨夜はなかなか眠れず、鈴のことを思い出していました。
鈴は、自分で幸せを掴み取ったのです。
ひょっとして、車の荷台にでも潜んでいたのでしょうか。
それとも自分の脚で、山を越えてそこに辿り着いたのでしょうか。
とにかく、優しい人に巡り会えて、本当によかった。
昨日は、本当に良い日になりました。
鈴、今度こそ、優しいご家族と一緒に、幸せに暮らしてね。
そしてエイズが発症することがありませんように。
最後まで、拙い文を読んで下さり、ありがとうございました。
RIKUANDKANO
2023年5月のことです。
1匹の猫がうちの庭にやってきました。
青い首輪をしていますが、体はガリガリ。
猫風邪をひいて、鼻水と目脂が酷く、息がしにくそうで、片方の目が開かない様子でした。
お腹が空いていたのか、私を見るとこちらに寄ってきました。
鼻水のグズグズという音が聞こえてきます。
私はこのまま放ってはおけず、ウエットの餌を与えてしまいました。
猫は、ガツガツと、あっという間に食べ尽くしてしまいました。
そして、『もっとちょうだい!』と訴えます。
仕方なくもう一袋開けました。
猫は満腹になると、しばらく、テラスのタイルの上で横になっていましたが、気がついた時には、もういなくなっていました。
それから毎朝、その猫は、うちにやって来ました。
首輪に鈴が付いていて、この子がくると、鈴の音がします。
なので、『鈴』と名付けました。
首輪をしているので、誰かに飼われていたようです。
鈴はとても人懐っこく、人を怖がりません。
私を見ると、
『ご飯をちょうだい!』と言うように走り寄ってきます。
鈴は、痩せていて、目が開かないくらい目脂でいっぱいで、鼻水を垂らしていて、辛そうでした。
私は、猫風邪用の抗生物質と寄生虫駆除薬をご飯に混ぜて食べさせてみました。
幸い、鈴は、いつもガツガツしていたので、薬が入っていても、気にせずに食べてくれました。
まず、鈴の飼い主さんを探そうと、ネットの迷子猫の掲示板に写真と特徴を載せてみました。
ご近所の掲示板や電信柱にも、迷子猫のチラシを作って貼りました。
やがて、鈴は、目脂も鼻水も出なくなり、体も少しふっくらとしてきて、男前になってきました。
案外可愛い男の子です。
お天気のいい日は、和室前の三和土で昼寝をするようになりました。
勝手口を開けると、鈴は、家の中に駆け込もうとします。
家の中に入れてあげたいけれど、鈴は、誰かの飼い猫かもしれなので、心を鬼にして家の中には、入れませんでした。
でも、飼い主さんはなかなか見つかりません。
ひょっとして、飼い主さんは、病気?あるいは、亡くなられたのでは?と不安になって来ました。
相変わらず、毎日何処からか通ってくる鈴が、私にとって当たり前になっていきました。
ところが、突然、鈴はパッタリとやって来なくなってしまったのです。
交通事故に遭遇して怪我をしたのでは…一抹の不安がよぎりました。
でも私たち家族は、
『鈴は元の飼い主さんの所に戻ることが出来たんだね。』
『鈴が幸せに暮らしているといいね。』と時々話題にして鈴を思い出しました。
暑い夏が過ぎ、9月の終わりのことです。
突然、迷子猫の掲示板を通して、連絡がありました。
『この猫を保護しました。飼い主が見つかっていないようなので、うちで飼います。』という連絡でした。
保護してくださった方は、鈴を保護してから、首輪をした鈴に飼い主がいないか、迷子猫の掲示板で調べてくださったようです。
そしてわざわざ、うちに連絡してくださいました。
保護してくださった方は、同じ市内の同じ区に住んでいらっしゃいますが、うちの家からは車で30分以上はかかる所で、山を越えた向こう側です。
そんな遠くに、鈴はどうやって辿り着いたんだろうかと、とても不思議に思いました。
でも、間違いかもしれないから、ぬか喜びしないようにと心を落ち着かせました。
写真や動画を送ってくださり、私も写真を送りましたが、間違いなく保護された子は、鈴だったのです。
すぐに病院に連れていってもらって、鈴は、去勢手術を受けたそうです。
そして残念ながら、鈴は、猫エイズのキャリアだったことがわかったそうです。
猫エイズは、発症しなければ、元気に暮らしていけます。その方は、
『病気があっても、うちで大切にします。』と言ってくださいました。
鈴が来なくなって、もう随分経っていましたので、突然のこの奇跡のような出来事に、私は飛び上がるほど嬉しくて、涙が出ました。
昨夜はなかなか眠れず、鈴のことを思い出していました。
鈴は、自分で幸せを掴み取ったのです。
ひょっとして、車の荷台にでも潜んでいたのでしょうか。
それとも自分の脚で、山を越えてそこに辿り着いたのでしょうか。
とにかく、優しい人に巡り会えて、本当によかった。
昨日は、本当に良い日になりました。
鈴、今度こそ、優しいご家族と一緒に、幸せに暮らしてね。
そしてエイズが発症することがありませんように。
最後まで、拙い文を読んで下さり、ありがとうございました。
RIKUANDKANO