木製です!
前回の説明では「永劫回帰」のことがよくわからなかったのではないかと…
ある記事より
「存在の耐えられない軽さ」の意味とは何なのか?
ニーチェの「永劫回帰」
『存在の耐えられない軽さ』は、次のような書き出しで始まる。
永劫回帰という考えは秘密に包まれていて、ニーチェはその考えで、自分以外の哲学者を困惑させた。
われわれがすでに一度経験したことが何もかももう一度繰り返され、
そしてその繰り返しが際限なく繰り返されるであろうと考えるなんて!
いったいこの狂った神話は何をいおうとしているのであろうか?
(中略)
われわれの人生の一瞬一瞬が限りなく繰り返されるのであれば、
われわれは十字架の上のキリストのように永遠というものにくぎ付けにされていることになる。
このような想像は恐ろしい。
永劫回帰の世界ではわれわれの一つ一つの動きに耐えがたい責任の重さがある。
もちろんニーチェというのは、あの『ツァラトゥストラはこう語った』を書いた哲学者である。
「永劫回帰」についての詳しくはニーチェの著作かニーチェに関する評論を読んでいただきたいが、
要するに、「私たちの人生は永遠に繰り返す」 という思想である。
――つまり、私たちは一度死んでも生まれ変わり、同じ人生を永遠に繰り返すのである。
そうとすると、私たちの「人生」は、一つ一つの行動が今後の何百何万もの「人生」を規定することになり、
その存在は耐えられないほど「重い」のである。
――あるいは、私たちの人生が何百何万もの同じ人生の中のひとつであったら、
その存在は耐えられないほど軽いのである。
人生の重さと軽さ
ここまで永劫回帰について語ってきたことと筋が通らなくなってしまうのだが、
実は私は「永劫回帰」はテーマの一つであっても、この作品で書かれた「軽さ」「重さ」というものは
全てが「永劫回帰」で解釈できるものはないと思っている。
クンデラは「永劫回帰」を例に、「人生の重荷」というものについて述べているのである。
「重荷」や「重さ」というのは、たとえばプレッシャーである。
「運命」や「使命」など、人生というものにのしかかってくるものなのである。
「こう生きなければいけない」「こうしたほうがよりよい人生を送れる」……
こんなプレッシャーも、「重さ」である。そして永劫回帰を例にした「重さ」としては、
「この行動が人生の全てを決めるかもしれない」というのがある。
――しかし、そのような「重さ」というものは、本当に人生の中で大事なのだろうか?
また、逆に人生の「軽さ」とは何なのだろうか?
――この本は、そんな人生の「重さ」と「軽さ」について考えた本である。
人生に息苦しさを感じた時、人生に退屈した時、人生の意味を見失った時、
この本は色々な意味を持ってくるのではないかと思う。
終生読み返したいと、本気で思える本である。
木製です!
前回の説明では「永劫回帰」のことがよくわからなかったのではないかと…
ある記事より
「存在の耐えられない軽さ」の意味とは何なのか?
ニーチェの「永劫回帰」
『存在の耐えられない軽さ』は、次のような書き出しで始まる。
永劫回帰という考えは秘密に包まれていて、ニーチェはその考えで、自分以外の哲学者を困惑させた。
われわれがすでに一度経験したことが何もかももう一度繰り返され、
そしてその繰り返しが際限なく繰り返されるであろうと考えるなんて!
いったいこの狂った神話は何をいおうとしているのであろうか?
(中略)
われわれの人生の一瞬一瞬が限りなく繰り返されるのであれば、
われわれは十字架の上のキリストのように永遠というものにくぎ付けにされていることになる。
このような想像は恐ろしい。
永劫回帰の世界ではわれわれの一つ一つの動きに耐えがたい責任の重さがある。
もちろんニーチェというのは、あの『ツァラトゥストラはこう語った』を書いた哲学者である。
「永劫回帰」についての詳しくはニーチェの著作かニーチェに関する評論を読んでいただきたいが、
要するに、「私たちの人生は永遠に繰り返す」 という思想である。
――つまり、私たちは一度死んでも生まれ変わり、同じ人生を永遠に繰り返すのである。
そうとすると、私たちの「人生」は、一つ一つの行動が今後の何百何万もの「人生」を規定することになり、
その存在は耐えられないほど「重い」のである。
――あるいは、私たちの人生が何百何万もの同じ人生の中のひとつであったら、
その存在は耐えられないほど軽いのである。
人生の重さと軽さ
ここまで永劫回帰について語ってきたことと筋が通らなくなってしまうのだが、
実は私は「永劫回帰」はテーマの一つであっても、この作品で書かれた「軽さ」「重さ」というものは
全てが「永劫回帰」で解釈できるものはないと思っている。
クンデラは「永劫回帰」を例に、「人生の重荷」というものについて述べているのである。
「重荷」や「重さ」というのは、たとえばプレッシャーである。
「運命」や「使命」など、人生というものにのしかかってくるものなのである。
「こう生きなければいけない」「こうしたほうがよりよい人生を送れる」……
こんなプレッシャーも、「重さ」である。そして永劫回帰を例にした「重さ」としては、
「この行動が人生の全てを決めるかもしれない」というのがある。
――しかし、そのような「重さ」というものは、本当に人生の中で大事なのだろうか?
また、逆に人生の「軽さ」とは何なのだろうか?
――この本は、そんな人生の「重さ」と「軽さ」について考えた本である。
人生に息苦しさを感じた時、人生に退屈した時、人生の意味を見失った時、
この本は色々な意味を持ってくるのではないかと思う。
終生読み返したいと、本気で思える本である。