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yama18kuma24様専用 千億の星、千億の光

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これは「yama18kuma24様専用」になります。  ある記事より ミラン・クンデラの小説「存在の耐えられない軽さ」は、 動物を一人の登場人物と同じく重要なキャラクターとして位置付けている。 カレーニンという名の犬である。この犬は、トマーシュがテレーザと一緒にスイスに移ってきた直後に、 自分の不倫についてのテレーザの嫉妬を慰める目的で、友人からもらい受けたのであった。 その友人は雌のバーナード犬を飼っていたのだったが、その犬が隣で飼っていた雄のシェパードの子を生んだ。 だから頭は母親と同じバーナードで、胴体が父親と同じくシェパードだった。 スイスでは雑種の犬は顧みられない。そこでこのままでは殺処分するしかないと思っていた友人が、 トマーシュに貰ってくれないかと言ってきたのだった。 トマーシュは複数いる犬の子たちの中から一匹を選んだ。 その犬の名を、トマーシュははじめトルストイにしようと提案した。 テレーザが始めてトマーシュの家に来た時、彼女がトルストイの本を抱えていたことを思い出し、 それがこの犬の名に相応しいと思ったからだった。 それをテレーザはいやがって、アンナ・カレーニナにしたいと言った。 それに対してトマーシュは、この犬には女らしい名前は似合わないと言った。 バーナードの顔がそんなイメージじゃないというのだ。 結局二人の主張の間をとって、カレーニンと名づけたのであった。 この小説の最後の章は「カレーニンの微笑」と題され、カレーニンの死について描いている。 実はこの小説の半ばほどのところで、カレーニンの主人であるテレーザとトマーシュの死が触れられていた。 ところが小説はそこで終わらないで、トマーシュとテレーザの晩年の出来事が引き続き語られ、 最期にカレーニンの死を以て終わるというわけなのである。 そうした構造を顧みるにつけても、この小説において、動物であるカレーニンが いかに重要な役割を果たしているか、改めて気づかされるのである。 カレーニンは足に癌ができたことが原因で死んだ。その前にテレーザは不思議な夢を見た。 カレーニンが二つのロールパンと一匹の蜜蜂を産んだという夢だった。 その夢を見た頃から、カレーニンは一本の足をひきずるようになり、またすっかり気が弱くなった。 散歩にも行きたがらなくなった。そんなカレーニンをテレーザとトマーシュが心配して、 あれこれ工夫をこらして元気づけようとすると、カレーニンは微笑を返すのであった。 その微笑がどのようなものなのか、語り手は詳しく触れていないが、 それは、犬が微笑するのはありふれたことだから、あえて詳しく語らなくとも、 読者は当然わかっていると前提しているからだろう。 ともあれ、人間の医者であるトマーシュは、犬のカレーニンを安楽死させてやったのであった。 その安楽死を以て、この小説は終るのである。 カレーニンが死んで二人きりになったテレーザとトマーシュは、それまでの二人の生活を回想し、 そこに奇妙な幸福と奇妙な悲しみを味わった。悲しみは二人が人生という旅の最後の駅にいることを意味した。 幸福は二人が一緒にいることを意味した。 「悲しみは形態であり、幸福は内容であった。幸福が悲しみの空間をも満たした」 「軽さか、あるいは、重さか?」、『存在の耐えられない軽さ』はこの哲学的問いに貫かれている。 「軽さか、あるいは、重さか?」。あるいは偶然か必然か。答えは書かれていない。 ここにあるのは彼ら彼女らとカレーニンの人生と雄弁な語り手の問いかけだけだ。 トマーシュとテレザの死のあとに、『存在の耐えられない軽さ』で提示された問いかけが われわれの中で木霊している。
これは「yama18kuma24様専用」になります。  ある記事より ミラン・クンデラの小説「存在の耐えられない軽さ」は、 動物を一人の登場人物と同じく重要なキャラクターとして位置付けている。 カレーニンという名の犬である。この犬は、トマーシュがテレーザと一緒にスイスに移ってきた直後に、 自分の不倫についてのテレーザの嫉妬を慰める目的で、友人からもらい受けたのであった。 その友人は雌のバーナード犬を飼っていたのだったが、その犬が隣で飼っていた雄のシェパードの子を生んだ。 だから頭は母親と同じバーナードで、胴体が父親と同じくシェパードだった。 スイスでは雑種の犬は顧みられない。そこでこのままでは殺処分するしかないと思っていた友人が、 トマーシュに貰ってくれないかと言ってきたのだった。 トマーシュは複数いる犬の子たちの中から一匹を選んだ。 その犬の名を、トマーシュははじめトルストイにしようと提案した。 テレーザが始めてトマーシュの家に来た時、彼女がトルストイの本を抱えていたことを思い出し、 それがこの犬の名に相応しいと思ったからだった。 それをテレーザはいやがって、アンナ・カレーニナにしたいと言った。 それに対してトマーシュは、この犬には女らしい名前は似合わないと言った。 バーナードの顔がそんなイメージじゃないというのだ。 結局二人の主張の間をとって、カレーニンと名づけたのであった。 この小説の最後の章は「カレーニンの微笑」と題され、カレーニンの死について描いている。 実はこの小説の半ばほどのところで、カレーニンの主人であるテレーザとトマーシュの死が触れられていた。 ところが小説はそこで終わらないで、トマーシュとテレーザの晩年の出来事が引き続き語られ、 最期にカレーニンの死を以て終わるというわけなのである。 そうした構造を顧みるにつけても、この小説において、動物であるカレーニンが いかに重要な役割を果たしているか、改めて気づかされるのである。 カレーニンは足に癌ができたことが原因で死んだ。その前にテレーザは不思議な夢を見た。 カレーニンが二つのロールパンと一匹の蜜蜂を産んだという夢だった。 その夢を見た頃から、カレーニンは一本の足をひきずるようになり、またすっかり気が弱くなった。 散歩にも行きたがらなくなった。そんなカレーニンをテレーザとトマーシュが心配して、 あれこれ工夫をこらして元気づけようとすると、カレーニンは微笑を返すのであった。 その微笑がどのようなものなのか、語り手は詳しく触れていないが、 それは、犬が微笑するのはありふれたことだから、あえて詳しく語らなくとも、 読者は当然わかっていると前提しているからだろう。 ともあれ、人間の医者であるトマーシュは、犬のカレーニンを安楽死させてやったのであった。 その安楽死を以て、この小説は終るのである。 カレーニンが死んで二人きりになったテレーザとトマーシュは、それまでの二人の生活を回想し、 そこに奇妙な幸福と奇妙な悲しみを味わった。悲しみは二人が人生という旅の最後の駅にいることを意味した。 幸福は二人が一緒にいることを意味した。 「悲しみは形態であり、幸福は内容であった。幸福が悲しみの空間をも満たした」 「軽さか、あるいは、重さか?」、『存在の耐えられない軽さ』はこの哲学的問いに貫かれている。 「軽さか、あるいは、重さか?」。あるいは偶然か必然か。答えは書かれていない。 ここにあるのは彼ら彼女らとカレーニンの人生と雄弁な語り手の問いかけだけだ。 トマーシュとテレザの死のあとに、『存在の耐えられない軽さ』で提示された問いかけが われわれの中で木霊している。

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    yama18kuma24様専用 千億の星、千億の光

    作家・ブランドのレビュー 星5
    届きました!\( ˆoˆ )/❤️💖💕一つ一つがすごく可愛いです!!!!✨言葉と共に手のひらサイズの作品が上手く創作されていて!手にとって見ていても本当に楽しいです!♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪🎶大切に飾らせて頂きます☀️🌈✨🕊いつも変わらぬ温かい御対応と誠実で迅速で丁寧な対応にも誠に感謝です✨🙇‍♀️ありがとうございました✨💐✨
    2024年3月29日
    by yama18kuma24
    スタジオ一馬力さんのショップ
    スタジオ一馬力からの返信
    たくさんのお褒めの言葉、ありがとうございます! 😊自分の作ったものを喜んでいただける人がいるというのは、ほんと励みになります!あとは早く世界に平和が訪れることを祈るばかりです!
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