傾国の魔道士の杖 ② 【魔法の杖/簪/化粧箱入り】

金属部カラー：シルバー系 主素材：金属、UV硬化性レジン 軸部：木製 包装：黒色長方形ボックス（縦約205㎜×横約50㎜×高さ約25㎜）、内容物保護用ペーパー、装飾紐など ୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧ 旧世界旅行記　番外編② 傾国の美女、という言葉は聞いたことがあるだろうか。歴史上に悪名高い美女たちがそう呼ばれていることが多いが、魔法や魔術を使う者の中にもそう呼ばれるものが存在する。 これはある1本の杖を通して国を傾げ、あるいは滅ぼした3人の魔導師たちの口伝。 エピソード：オリヴィア 昔々ある国で、国盗りに失敗した男がある魔法の杖と共に焼かれた。 すぐさま国は隣接する小国に攻め入られ、たちまちのうちに大きな領土を持つ一つの国となった。 新たなる大国が安定して数十年か、数百年か…森の端でオリヴィアという魔導師見習いが蛇の巣窟になっている木のウロに刺さったすすけた杖を手に入れる。 不思議な杖は大気のマナを吸い強大な魔力を蓄えていたが、穢れをまとっておどろおどろしい赤黒くさを放っていた。 聖水で清めようにも穢れが強く、オリヴィアは情報を求めて国で一番栄えている港町へと手当たり次第に話を聞きながら向かった。 道中海に近づく頃、海神とラッパ勝負をしたある男の伝承を聞いた彼女は、この先の港町に解決の糸口があると確信したが、現実はそうは甘くなかった。 港に着いてすぐのこと、何の気なしに彼女が港の小高い浜辺に立って杖を陽の光なかざすと、一筋の稲光と共に海が割れ怒号が響いた。 「貴様！なぜこの杖がこれほどまでに穢れているのだ！」 びりびりと空気を震わせるほど響く怒号に驚いた彼女が転ぶと、海から現れた者は彼女から杖を奪った。 「これは我との勝負の末にミセヌスの身が転じたものだ！この港を守るためのものであったはずなのに、そなたたち人間は一体何をしたのだ！」 オリヴィアはこの者がかつてこの地でミゼノスという青年とラッパ勝負をした海神の子トリトンであると確信したが、彼女が口を開くまもなくトリトンはトライデントを振り上げた。 途端にオリヴィアの体は宙に浮き、 同時にトリトンが咆哮する。 「この穢れは悪しきことへと杖を使った証！ミゼノスへの侮蔑である！！この地全てを以て穢れを落とし、彼へと償うのだ！！」 国盗りの男が使った蛇使いの魔法の杖の伝承があること。旅の道中ラッパ勝負の口伝を聞いたこと。このふたつの伝承からオリヴィアの中に生まれた【ラッパ勝負の後、港が襲われて杖が奪われ、国盗りに使われて穢れたのでは】という一連の仮説は、語る時間すら与えられなかった。 トリトンの怒りひとつで港はたちまち波に飲まれた。 訳など素知らぬ港の人々全てを巻き込んで。 オリヴィアはその全てに気圧され、ただただそのさまを見ていることしか出来なかった。 「そなただけは生かしてやろう。この杖を穢した者がどうなるか、国の全ての者に伝えるがいい」 波が全てをさらった瓦礫の地に呆然としたまま放り出されたオリヴィアに杖を放ると、トリトンは姿を消した。 暫し呆然としたオリヴィアだったが、その後偶然寄港した軍の船の者たちに捕らえられた。 彼女は必死に事のあらましを語ったが、その突飛な内容に信じる者はなく、皆彼女が海を操って港を破壊したのだと決めつけられてしまう。 王都に連れていかれた彼女は、陳述の機会すらないままに港の街を滅ぼした大罪人として火炙りに処され、杖の先代の持ち主と同じ運命をたどったのだった。 国は交易の拠点である港を失ってあっという間に貧しくなった。 同時に港を滅ぼした極悪人の魔女の処刑の話は瞬く間に広がり、彼女の旅した村や町の人々は「そういえば、怪しい杖を持った女が訪ねてきてね…」と、港の滅亡について尾ひれをつけて語っていった。 いつしか尾ヒレや前ヒレがつきすぎた話は原型を失ったまま恐ろしい海の魔女の話となり、今では誰も正しい事の顛末を知らない。 ーーーーー傾国の魔道士の杖の口伝② ୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧ 杖状の装飾をしておりますが、ベースの素体は木製の簪ですので簪としてもお使いいただけます。 パーツの固定などには気をつけておりますが、ひっかかりや髪の巻き込みなどによりパーツの破損がおこりうる可能性があります。 不安な方はお団子へ装飾する形でお使いくださいませ。 ୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧ ⚠️各パーツは全て手作業で調整しておりますので、同じものはひとつとして存在しません。 オーダーメイドをご希望の方は御手数ですがお問い合わせいただけますようよろしくお願いいたします。