箱書「梨地 山彩蒔絵」
サイズ:13.6cm×10.2cm 高さ6.3cm
在銘、落款有(作者不明)
=箱書きが正しければ昭和戦後の作/作りは経験上、明治期の作にも見受けられます。断言は避けます。
箱書きには山彩と題されております。
木々に散りばめられた桜から日本の春の風景であることがわかります。
四季を控えめに込めた日本の奥ゆかしい表現。
遠近法を用いた奥の山脈から流れ落ちる滝が銀を用いて表現されております。
銀は自然と燻銀と変化し黒い発色を帯びます。
滝の水が流れ落ちる表現に銀を線状に用いたことで動きがうまれます。
水の流れを辿っていくと箱の手前の面に流れついており、それらが波打った文様として右の面に流れ、更に右へと流れ(奥の面)最後に向かって左側に流れていく構図を用いて入ります。
左へ流れた水を受け止めるように陸に佇む桜の木が華やかに聳え立ち、その桜の木々が正面に繋がる、箱の一面を滝の流れによって、ぐるりと上から右回りで鑑賞するように仕上げられております。
一見、豪華な蒔絵箱であると把握した上で、人は細かな梨地による表現力に魅了されて近づいて「見る」という心理を活かした作風だとお見受けしております。
*梨地とは果物の梨の肌のように細かな点が無数にあることから称された技法で細かな金箔を振りまいた技法
更に梨地を下地として金箔を細かに形取り陰影をも表現しております。
高蒔絵として桜の木々をより立体的に魅せる作りにより奥の山と手前の桜を上手に描いております。
日本は遠近法を用いた技術は明治以降に発達します。
浮世絵にも見て取れるように平面画に対して若干のグラデーションで奥行きを表現していたのですが西洋文化(主に宗教画)の影響と思われる遠近法を取り入れたのが明治維新以降の時代に多く見られます。
その中でも蒔絵・漆工芸品はヨーロッパへの輸出も盛んになり凡ゆる表現方法を取り入れている分野として着目すると面白い発見が多くございます。
近代の漆工芸家も、この頃の作風をご覧になりますと「いや‥素晴らしいですね。もう、ここまで出来る人はいませんよ」と、お話されます。
原材料の高騰も理由に挙げられますが、それ以前に戦前まで受け継がれてきた技術が美術全般的に言えますが、一度、途絶えている分野が多く存在します。
戦中の美術のあり方をご存知の方でしたらご理解いただけるかと思います。
一人の職人・作家が生涯を注ぎ込んで得た技術も同じ人間が継続することは不可能な為、弟子やそれぞれの家で継承されていくのですが、どのぐらいが継承されるかは個々で異なります。
ご覧のような技術を経た方でさえ、最終的には名も無き作家となってしまうのですが、これは美術愛好家の方でしたらご理解いただけるかと思いますので言葉を省きます。
投資目的や財産としてお選びになる方も多い分野ではございます。
その価格も時代毎に変化します。
しかし、言えることはゼロにはならない資産価値があるのが美術品で、ご覧の蒔絵箱も時代をへて更に金銀の変化を纏い、その都度で価格は変動します。
あまり投資目的の方とは商談を行わないのですが、念の為、美術品がどのような役割を果たすかを記載させていただきます。
昨今では「何がいいの?」という問いを投げかける若い世代も増えましたので、時代を経て更に貴重な品となるのが本物の骨董品であります事をご理解ください。
お選びになる際は好みや相性を優先されますと飽きがきませんし、大事にしていただけるかと思います。
又、ご覧のような古美術品となりますと身銭を切らない限り大事にされることはなくなります。よって、贈り物には適さないお品物です。
昔は贈り物に適したお品でしたが、昨今では受け取った側がすぐに鑑定依頼をされてきたり、気持ちの部分を考慮しない方が多くおります。
贈り物は気持ちも込められたものですので、鑑定を依頼されるのはお控えいただきたいと、話がずれてしまいましたが、ご自身の生涯で大事にされたい極上の古美術品をお探しでしたらご検討ください。
大きさから用途は煙草箱と考えられます。
以前も同じ大きさの小箱を扱いましたが、どれも立派な蒔絵の作で、明治期に多く見られる大きさです。
その頃の時代背景を考えますと煙草箱かと思われます。
20年以上前に80代だった同業者にも確認した事がございますが、おそらく煙草が貴重だった時代に中に入れておく保管箱ではないかとお話されておりました。
使った形跡が中に見られないので飾りとして受け継がれたものが多いのですが、戦時中に時々、○○男爵贈呈品等の箱書きもあるので、時代毎に用途を変えている小箱してご理解ください。
常連の方は中に綿布団を敷き詰めてロレックスを入れたりと様々です。
ご検討ください。
箱書「梨地 山彩蒔絵」
サイズ:13.6cm×10.2cm 高さ6.3cm
在銘、落款有(作者不明)
=箱書きが正しければ昭和戦後の作/作りは経験上、明治期の作にも見受けられます。断言は避けます。
箱書きには山彩と題されております。
木々に散りばめられた桜から日本の春の風景であることがわかります。
四季を控えめに込めた日本の奥ゆかしい表現。
遠近法を用いた奥の山脈から流れ落ちる滝が銀を用いて表現されております。
銀は自然と燻銀と変化し黒い発色を帯びます。
滝の水が流れ落ちる表現に銀を線状に用いたことで動きがうまれます。
水の流れを辿っていくと箱の手前の面に流れついており、それらが波打った文様として右の面に流れ、更に右へと流れ(奥の面)最後に向かって左側に流れていく構図を用いて入ります。
左へ流れた水を受け止めるように陸に佇む桜の木が華やかに聳え立ち、その桜の木々が正面に繋がる、箱の一面を滝の流れによって、ぐるりと上から右回りで鑑賞するように仕上げられております。
一見、豪華な蒔絵箱であると把握した上で、人は細かな梨地による表現力に魅了されて近づいて「見る」という心理を活かした作風だとお見受けしております。
*梨地とは果物の梨の肌のように細かな点が無数にあることから称された技法で細かな金箔を振りまいた技法
更に梨地を下地として金箔を細かに形取り陰影をも表現しております。
高蒔絵として桜の木々をより立体的に魅せる作りにより奥の山と手前の桜を上手に描いております。
日本は遠近法を用いた技術は明治以降に発達します。
浮世絵にも見て取れるように平面画に対して若干のグラデーションで奥行きを表現していたのですが西洋文化(主に宗教画)の影響と思われる遠近法を取り入れたのが明治維新以降の時代に多く見られます。
その中でも蒔絵・漆工芸品はヨーロッパへの輸出も盛んになり凡ゆる表現方法を取り入れている分野として着目すると面白い発見が多くございます。
近代の漆工芸家も、この頃の作風をご覧になりますと「いや‥素晴らしいですね。もう、ここまで出来る人はいませんよ」と、お話されます。
原材料の高騰も理由に挙げられますが、それ以前に戦前まで受け継がれてきた技術が美術全般的に言えますが、一度、途絶えている分野が多く存在します。
戦中の美術のあり方をご存知の方でしたらご理解いただけるかと思います。
一人の職人・作家が生涯を注ぎ込んで得た技術も同じ人間が継続することは不可能な為、弟子やそれぞれの家で継承されていくのですが、どのぐらいが継承されるかは個々で異なります。
ご覧のような技術を経た方でさえ、最終的には名も無き作家となってしまうのですが、これは美術愛好家の方でしたらご理解いただけるかと思いますので言葉を省きます。
投資目的や財産としてお選びになる方も多い分野ではございます。
その価格も時代毎に変化します。
しかし、言えることはゼロにはならない資産価値があるのが美術品で、ご覧の蒔絵箱も時代をへて更に金銀の変化を纏い、その都度で価格は変動します。
あまり投資目的の方とは商談を行わないのですが、念の為、美術品がどのような役割を果たすかを記載させていただきます。
昨今では「何がいいの?」という問いを投げかける若い世代も増えましたので、時代を経て更に貴重な品となるのが本物の骨董品であります事をご理解ください。
お選びになる際は好みや相性を優先されますと飽きがきませんし、大事にしていただけるかと思います。
又、ご覧のような古美術品となりますと身銭を切らない限り大事にされることはなくなります。よって、贈り物には適さないお品物です。
昔は贈り物に適したお品でしたが、昨今では受け取った側がすぐに鑑定依頼をされてきたり、気持ちの部分を考慮しない方が多くおります。
贈り物は気持ちも込められたものですので、鑑定を依頼されるのはお控えいただきたいと、話がずれてしまいましたが、ご自身の生涯で大事にされたい極上の古美術品をお探しでしたらご検討ください。
大きさから用途は煙草箱と考えられます。
以前も同じ大きさの小箱を扱いましたが、どれも立派な蒔絵の作で、明治期に多く見られる大きさです。
その頃の時代背景を考えますと煙草箱かと思われます。
20年以上前に80代だった同業者にも確認した事がございますが、おそらく煙草が貴重だった時代に中に入れておく保管箱ではないかとお話されておりました。
使った形跡が中に見られないので飾りとして受け継がれたものが多いのですが、戦時中に時々、○○男爵贈呈品等の箱書きもあるので、時代毎に用途を変えている小箱してご理解ください。
常連の方は中に綿布団を敷き詰めてロレックスを入れたりと様々です。
ご検討ください。