原文
「牛を売る者あり。買ふ人、明日その値をやりて牛を取らむと言ふ。
夜の間に牛死ぬ。買はむとする人に利あり。売らむとする人に損
あり」と語る人あり。
これを聞きて、片方なる者のいはく、「牛の主、まことに損ありと
いへども、また大きなる利あり。その故は、生あるもの、死の近き
ことを知らざること、牛既にしかなり。人また同じ。はからざるに
牛は死し、はからざるに主は存ぜり。一日の命、万金よりも重し。
牛の値、鵞毛(がもう)よりも軽し。万金を得て一銭を失はむ人、
損ありといふべからず」と言ふに、皆人嘲りて、「その理は、牛の
主に限るべからず」と言ふ。
またいはく、「されば、人死を憎まば、生を愛すべし。存命の喜び、
日々に楽しまざらむや。愚かなる人、この楽しびを忘れて・・・
(第93段)
「奥山に猫またといふものありて、人を食らふなる」と、人の言ひ
けるに、「山ならねども、これらにも、猫の経上がりて、猫またに
なりて、人取ることはあなるものを」と言ふ者ありけるを・・・
(第89段)
『牛を売る者』『奥山に猫また』の二つを画仙紙ハガキに書きました。
リビングや子供部屋、あなたのお部屋にも飾ってくださいね♪
原文
「牛を売る者あり。買ふ人、明日その値をやりて牛を取らむと言ふ。
夜の間に牛死ぬ。買はむとする人に利あり。売らむとする人に損
あり」と語る人あり。
これを聞きて、片方なる者のいはく、「牛の主、まことに損ありと
いへども、また大きなる利あり。その故は、生あるもの、死の近き
ことを知らざること、牛既にしかなり。人また同じ。はからざるに
牛は死し、はからざるに主は存ぜり。一日の命、万金よりも重し。
牛の値、鵞毛(がもう)よりも軽し。万金を得て一銭を失はむ人、
損ありといふべからず」と言ふに、皆人嘲りて、「その理は、牛の
主に限るべからず」と言ふ。
またいはく、「されば、人死を憎まば、生を愛すべし。存命の喜び、
日々に楽しまざらむや。愚かなる人、この楽しびを忘れて・・・
(第93段)
「奥山に猫またといふものありて、人を食らふなる」と、人の言ひ
けるに、「山ならねども、これらにも、猫の経上がりて、猫またに
なりて、人取ることはあなるものを」と言ふ者ありけるを・・・
(第89段)
『牛を売る者』『奥山に猫また』の二つを画仙紙ハガキに書きました。
リビングや子供部屋、あなたのお部屋にも飾ってくださいね♪