【ネット上の作品を伝える難しさ】
私はピアス等の耳飾りを多く作る作家です。
材料のほとんどが、自家製のドライフラワーとレジンのため、たいていの作品が軽く仕上がります。そのため、今まで作品のバランスについて考えたことはあっても、「重さ」について、皆様にどう捉えられているか、想像したことがありませんでした。
ですが、『花かごピアス』のシリーズを見ていただいた時、「硬くて当たったら痛そう」「だいぶ重たそう」という感想を複数の方からいただくことになりました。これに、私は驚きを覚えたのです。
これまでお迎えいただいた、いくつかの作品も含め、実は私の説明では内容が不足していたのではないか、そう考えざるを得ないご意見でした。私は皆様が、『花かごピアス』シリーズに「硬そう」「重そう」という印象を抱いていることに気づいていませんでした。
また、SNS等を通して素材や作品について話す時も、上辺だけになっていたように思います。今回その反省の意味も含みつつ、皆様に読んでいただきやすいminneレターで、『花かごピアス』シリーズを題材に、資材や作り方に関する内容、実際の作品についての細かな説明を、詳しく発信してみることにしました。
【作家の様々な工夫】
作家は試行錯誤してこそ、そう教わったことがあります。私はレジン液を使いますが、コーティング剤等を含めると、7種類を場面場面で使っています。
『花かごピアス』シリーズに対しては、同じ花でも部分部分で塗り分けたりしていました。芯になりそうな箇所、欠けが発生しそうな箇所に、硬く硬化するレジン液を塗布。一方で面積が広く安定している花びらや、当たりが強いと痛みを覚えそうなザラザラした表面は、強度と肌当たりの兼ね合いで花の角度を決め、硬化後も弾力があるレジン液を塗布しています。
当初のデザインイメージからズレることもありますが、使っていても気にならずに楽しめる耳飾り、それも私は目指しています。要所要所で、レジン液を変えつつ、硬化させながら、作品を作っています。
【『花かご』シリーズは重いのか?】
ネット販売では、実際に『花かごピアス』シリーズに触れていただくことはできません。センニチコウの表面に感じる弾力と少しだけ指を受け入れようとする力、青葉の見た目に反したつるんとした感触、これは触れていただかないとわかりません。
では、重さは?
調理用電子秤で『晩夏の色彩 花かごピアス』を量りました。片方ずつ量った結果は、4.8gと5.3gでした。耳飾りは5g以上すると「重たい」と感じるようになるそうです。その点では、少し重たいかもしれませんが、35mmのフープピアスの重量としては、標準のようです。
皆様が『花かごピアス』シリーズを重そうだと感じたのは、ピアスの重量をきちんと記載しきれなかったことに原因があります。また、耳飾りはどれぐらいの重さがあると使いづらくなるかまで、伝えなければ重量表示も意味をなしません。『花かごピアス』シリーズは軽くありませんが、重たい耳飾りでもありませんでした。
作者が上手に情報発信できないと、何より作品が可哀想なめにあってしまいます。今回、そのことに気づけましたし「あのピアス、重そうで…」と言ってくれた友人に、改めて感謝します。
深く広く、作品づくりの内容や、作品の詳細を発信するのは難しいことです。作るだけじゃなくて、そんなこともやるのか、作家さんって本当に大変だな、と客観視する自分もいます。器用に伝えられる人間ではないけれど、少しずつ伝える・発していく、そのことを忘れず、また作品づくりへ戻ろうと思います。