七五三には欠かせない「千歳飴(ちとせあめ)」。七五三の祝いとして親が自らの子に千歳飴を与えて食べます。そこには「千歳飴のように、細く長く生きてほしい」と長寿の願いが込められています。
千歳飴が入った千歳飴袋を手に持った子供の着物姿は七五三を代表する絵になっています。
由来
大きく分けて二つの説があります。
①浅草から発祥の説
この時の名前は千歳飴ではなく、「千年飴」「寿命糖」という名前だったと言われています。
②1615年頃に大阪からの説
大阪の商人・平野甚左衛門という人が、江戸に出て来て売り始めたのが始まりと言われています。
名称
「千年」つまり「長い」「長生き」という良い意味があると共に、細く長くなっており(直径約15mm以内、長さ1m以内)、縁起が良いとされる紅白それぞれの色で着色されています。また、お祝いする年の数だけ袋に入れると良いとされています。
折って良い?
本来縁起物とは良い事があるようにと祝い祈るための品です。縁起を分け合う共有するのが古来からの習わしでもありました。
縁起物である千歳飴は子供の成長をみんあで祝いする気持ちでみんなで分け合い食べて良いものです。共有することで子供の成長の喜びや感謝も何倍にもなると思います。
千歳飴袋
袋には鶴亀や松竹梅、寿の文字などの縁起の良い図案が描かれています。
●鶴亀
「鶴は千年、亀は万年」の言葉があるように長寿の象徴。長生きを示唆します。
●松竹梅
一年中緑を保つ常緑樹で、くから神の宿る木とされ「不老長寿」の象徴である松。
松と同じ常緑樹で、真っ直ぐ伸びる様から「子孫繁栄」の象徴であれ竹。
冬の厳しい寒さを耐えて花を咲かせる、「生命力」「気高さ」の象徴である梅。
健康や力強さを示唆しています。
●寿の文字
「おめでたい事柄のお祝い」「命が長いこと」などの意味があります。
なぜ飴なの?
砂糖が貴重なものであった昔には、長さのある千歳飴は贅沢品でした。貴重な甘さと栄養を補って欲しいという気持ちを込めて、子供に七五三の品物として千歳飴を与えました。
しかし、現代には飴が昔のような贅沢品ではないです。それで飴よりクッキーやチョコレートなどに変えて販売するお店もあります。飴でも昔のように長さ1mもある千歳飴はほとんど販売してなく、今は持ちやすい長さに変わってきました。(飴を多く食べさせたくない現代の親の気持ちを反映していることも…)
また、記念撮影に意味を持つことが増えてきた現代には撮影の小道具としても活躍しているので、現代的でシンプルになったり、子供たちに人気のキャラクターが入ったりするなど千歳飴袋のデザインも多様化しています。
コメント
行事日、儀式、品物、衣装などが変わっていくことに批判する声もありますが、風習が変わることはいつの時代にも普遍的にありました。しかし、風習の意味まで大きく変わりません。時代の流れに合わせて柔軟性を持って変わっていくからこそ守り続けることもあると思います。
時代が変わっても子供の成長を願う親の心は変わらないものです。各家庭に合う、楽しめる七五三を過ごすことが伝統を守り続ける道の一つではないかと思います。