キ・ボニータはポルトガル語でQue bonita ! なんて美しい!という感嘆の言葉です。
私は抽象的な作品を制作してきたアーティストです。立体作品の素材を探していて見つけたのが、この硬質ガラスでした。
耐熱ガラス、ビーカーなどと同じ素材で、酸素を入れた高温のバーナーで製作します。
火の種類(酸化、還元など)によって一つの色ガラスに何色もの色が出たり、金属の輝きが出ます。
このガラスワークに出会った時、なんて美しい!と感嘆したものでした。
このガラスで工芸的なものが作られるようになった歴史は浅く、まだせいぜい三、四十年のことです。まだまだポテンシャルの大きい素材です。
ガラス自体はとても古くから器やアクセサリーとして使われてきました。それらが今見ても美しいのはガラスが劣化をしないからです。
ところで、今の時代はとにかく「お金になること」が優先されています。そのため、今のアートは特に日本では、富裕層のためか、エンターテイメントの要素があるか、のどちらかで、美術関係者以外にとっては日常とはかけ離れたものになってしまいました。
でも、日本人にとってアートは江戸時代までは身近な生活の中にありました。
テレビの骨董鑑定番組があれほど長く続いたのはそれだけ庶民も美術品を愛好した人が多かった証ではないかと思います。
ただそれは過去のものです。
富裕層のための高価なアートではない、名前は売れていなくても素晴らしいアートも本当はたくさんあります。ただ今の日本人にとって、アートを買う、ということはなかなかハードルが高いのではないかと思います。
そこで、私はこの小さいガラスのアートを身につけたり、身近に置くことがアートと親しむ一つの入り口になってくれたら、と思ったのです。
ガラスは火を加えると液体のように流動的になります。
火と重力によってガラスが自ら作っていく自然に近い有機的な形を追求しています。ガラスは火から生まれるアートです。不死鳥のように!
アクセサリーは自分の身を飾る目的が今では普通のことですが、古代においてはもう少し違った意味を持っていたのではないか、と私は思います。
近頃縄文時代に関心が高まっていますが、私は以前より古代的なプリミティブなものに興味がありました。
縄文時代の遺跡からもガラス玉やガラスビーズが発見されています。
おそらくはそれらの装飾品はただの飾りではなく、自分に力を与えてくれるお守りのようなものとして使われていたのではないかと思います。
私はどちらかというとそういう古代的なものを作りたい、人間の本源に寄り添うものを作りたい、と思っています。
私が影響を受けたもう一つにエミール・ガレのガラスがあります。ガレは、ウィリアム・モリスのアートアンドクラフト運動に多大な影響を受け、さらに日本人の植物学者で画家の高島北海から直接の影響を受けて、アール・ヌーボーのガラス作品を生み出しました。アーツ・アンド・クラフト運動は、産業革命によって機械化され質が低下した大量生産品に対する反発として生まれています。
でも、その機械化と大量生産によるものの画一化はその後も進んで、現在の私たちの身の回りから、そうではないものを探す方が難しくなっています。
私はエミール・ガレに影響を与えた日本の文化に育った者として、もう一度、大量生産の物にはない”生命感のあるもの”を作りたいと思っています。
最後にもう一つ、枕草子の「うつくしきもの」の段の最後に「玻璃(はり)の壺」とあります。玻璃は当時のガラスを指す言葉だったそうです。
いつの時代にもガラスは人の心を捉える美しさがあると私は思います。
この「うつくしきもの」をぜひ身につけたり、持って歩いたり、手元に置いて欲しい、というのが私がこの小さなガラスアートを作る理由です。
'Que bonita!' is an exclamation meaning 'How beautiful!' in portuguese.
I am an artist, creating abstract works.
While searching for materials for my works, I found this hard glass. It is crafted with a high-temperature burner using oxygen.
Depending on the type of fire (oxidation, reduction, etc.), a single colored glass piece can have many colors and metallic lusters.
When I first encountered this glasswork, I was amazed at the beauty of this glasswork.
Glass itself has been used as vessels and accessories since very ancient times. The reason they are still beautiful today is that glass does not deteriorate.
When heated by fire, glass becomes fluid like a liquid.
I pursue organic forms that are close to nature, which glass creates by itself through fire and gravity. Glass is an art form born of fire. Like a phoenix!
I love the work of Emile Gallé. Galle was directly influenced by Takashima Hokkai, a Japanese botanist and painter. And under his influence, he created Art Nouveau glass works.
As one of the Japanese artists, I want to create works that are rooted in the Japanese culture that influenced Emile Gallé.
I believe that glass has always had a beauty that captures people's hearts.
I want people to wear, carry, and keep this “beautiful thing” with them, which is the reason why I make this small glass art.
佐々木惠理と申します。
抽象的な作品を作っているアーティストです。
ボロシリケイトガラスの美しさに魅せられこれで立体作品も作るようになりました。
あまりに美しいのでただ置くだけではもったいないと「身につけるアート」というコンセプトで制作を始めました。
アーティストの自由な発想で有機的な形を追求しています。
[全 27作品]
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