minne×「ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」minne限定コラボ企画作品として
マリー・ローランサン<マドモアゼル・シャネルの肖像>という絵画からインスピレーションを得て作ったこちらの作品
https://minne.com/items/20243079
横浜美術館で2019年09月21日から2020年01月13日まで開催されている企画展
『横浜美術館開館30周年記念 オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した12人の画家たち』
とminneのコラボ企画で、この企画展で展示されている指定の絵画からインスピレーションを得た作品を製作するという企画でした。
西洋絵画が好きな私はこの企画が発表された時、是非とも応募したいと早速横浜美術館に企画展を観に行きました。
現在パリのオランジュリー美術館に収蔵されている印象派の絵画が主の展覧会です。
指定の絵画は何点かありましたが、その中で主題に選んだのが「マリー・ローランサン」
SHOLETTEでもテーマカラーのように毎回使用しているグレーが印象的な画家で、彼女のグレーと他の色との美しいコンビネーションをSHOLETTEにも取り入れさせてもらったら、今までのSHOLETTEのカラーを崩さず、さらに洗練された素敵な作品ができるのではと漠然と考えていました。
更に面白いと思ったのは、彼女は展覧会の中で唯一女性画家であり、主題の絵画に描かれていた人物も、私が服飾業界にいて何度も影響を受けてきたデザイナー「ココ・シャネル」という女性であったことでした。
私も女性として、育児をしながら作品を発表する身としておこがましいながらも少し自分を重ね、同じ女性作家という切り口で打ち出せるものがあるのではないかと考えました。
さて、その後スケジュールの都合で実際に作品製作に着手できたのが、締め切り日の1日前となっていました。
生地を買いにいくところからのスタートで、諦めようか何度も悩みましたが、それまでの間に作品のイメージは膨らんでおりましたし、
主題に選んだマリー・ローランサン作「マドモアゼル・シャネルの肖像」にまつわるエピソードを詳しく知りたくてある本まで読んでいました。
「マドモアゼル・シャネルの肖像」は、ココ・シャネルがローランサンに肖像画を依頼したのに、似ていないからと受け取り拒否したとの逸話があります。
PHP新書 中野京子著「美貌のひと 歴史に名を刻んだ顔」
この本にすこし、その逸話にまつわるお話が書かれていました。
同じ1883年生まれの2人の女性、ローランサンとシャネルが絶好調の40歳の時の絵だそうです。
シャネルは田舎の孤児院から這い上がって成功した強い女性。華やかなイメージを作り上げて成功してきたのに、ローランサンの描いた寂寥感漂う没個性的な作品は気に食わなかったようです。
ローランサンは、強いシャネルの裏側にある愁いをえぐり出そうとした意欲作だったのかも、と著者は語っています。
そしてパリ生まれのローランサンは描き直すこともせず
「シャネルは田舎娘だから」と言い放ったそうです。
まだ階級社会の時代。どこかでシャネルを見下していたのかもしれないと綴られいます。
2人ともさすが、まだ男性社会のパリで成功してきただけあって気が強い!
現代でいうと、せっかくインスタ映え写真で固めて作り上げたイメージを、すっぴん写真を後悔されて台無しにされたかんじかなと思ったりしました。笑
そんな背景を知らずに絵画を観ていると、綺麗だなぁ、綺麗な色だなぁと終わってしまいがちなのですが、
実はこの絵は依頼主にダメだしされた失敗作だったと知るととても面白いですよね。
そんなエピソードもこうやってお話したくて、締め切り1日前から24時間でこの作品を作り上げることとしました。
インスタストーリーのアーカイブにもその時の様子を残していますので、こちらも是非見てみてください。
https://www.instagram.com/sholette_handmade/
さてさて、20年代の要素を取り入れたり、女性的な要素と男性的な要素をミックスしたなど、デザインの詳細は商品ページの方にも記載してありますが、
文字数制限で書ききれなかった、この作品が「ユニセックス」に込めた思いを最後にお話しようと思います。
シャネルの時代はまだまだ男女平等ではない時代。
その時代に女性が男性のように働きやすい服を提案するため、男性服の要素や素材を積極的に取り入れて女性の服に落とし込み、時代に受け入れられたのがシャネルだったのです。
それに対し現代は、シャネルたちの思いも実を結んで、かなり男女平等な時代となってきました。
そうすると今度は、特に若い男性達は女性のファッションの要素を取り入れて楽しむようになってきています。
ファッションとは単なる表面的な流行ではなく、時代を反映し時代を作るもの。
そんな時代の対比を表現するため、男の子の子供服をデザインしている私が、男の子の服をベースに女性的な要素を取り入れた作品を提案する。
この作品は1枚の絵画から刺激を受けたたくさんの思いを表現した、私なりの「意欲作」でございました。
お読みいただき、ありがとうございました。
作品の方も改めて「鑑賞」いただけましたら嬉しいです。