のびのびとした筆づかいで描かれた葉。
明治期の九谷焼小皿です。
鮮やかな黄色を背景に、緑と紫が絶妙に映える構図。
九谷焼の伝統色を用いながらも、どこか自由で、軽やか。型にはまらない心地よさがあります。
文様のモチーフは、おそらくシダ類。
けれど、どこか南国のバナナの葉にも見えてくる不思議な形です。
虫食いの表現や、葉脈の揺らぎまで丁寧に描かれており、絵師の細やかな観察眼と美意識が感じられます。
あるいは、見たことのない植物を“想像で描いた”可能性もあるかもしれません。
裏には「角福」の印。
高台の内側にまで黄色を施した手の込んだつくりに、当時の仕事の丁寧さが伝わります。
わずかに歪みのある形にも、手描きのぬくもりが宿ります。
この小皿は、1枚でも美しいのですが、5枚揃っているとまた印象が違います。
食卓に並べた際に雰囲気が統一されて豊かで華やかな印象になります。
完品で揃うのは珍しく、このままの姿で残しておきたいと思わせる器です。
料理の下に葉を敷いて食す日本古来の演出。
そんな所作を思い浮かべながら、こちらの器を愛でてお使いいただけたらと想像しています。
静かな佇まいの中に、確かな個性がある。
そんな器が好きな方へ、お届けできたら幸いです。
https://minne.com/items/40535870