本革製品の豆知識

「本革」と一口に言っても価格に大きな違いがあることをご存知でしょうか。 「本革」と表示されていてもその価格は実に様々で、同じデザインでも革の違いで何倍以上もの差が生じることも珍しくないのです。 その差は一体なぜなのでしょうか。 大きく分ければ、皮から革への鞣し方の違い、革に色を付ける染め方の違いで価格差が生じます。 革には大きく分けて２つの鞣し方があります。 「クロム鞣し」で鞣された革と「植物タンニン鞣し」で鞣された革です。 現在市場で流通している革は「クロム鞣し」化学成分を用いて鞣された革が主流です。 クロム鞣しの革は短時間で大量に仕上げられるためコストも安いという長所があります。 そうした長所の反面、本革の醍醐味である「革らしさ」「経年変化」がほぼない革でもあります。 経年の傷や汚れは変化せずそのまま傷汚れとして残り、「劣化」となります。 また燃やしたときに有害物質を発します。 言い換えれば、クロム鞣しの革は大量生産に向く素材であり、【仕上げられた時が一番美しい革】と言えると思います。 一方、「植物タンニン鞣し」という植物の渋を用いて鞣された革は『ヌメ革』と呼ばれています。 ヌメ革の鞣しは古来からの製法です。 本来の風合いを留めた仕上がりで、生来の傷や血筋痕の影響が出やすく、部位によって柔らかさも異なります。 長い時間をかけて仕上げられるためコストも高く、使い込むことによる質感の変化など「経年変化」が堪能できる革です。 昔ながらの製法で時間とコストがかかりますが【長い時間をかけて育てていく革】と言えると思います。 染め方には「顔料染め」と「染料染め」があります。 「顔料染めは」表面が均一な仕上がりで絵の具を塗ったような風合いで、生前の傷を覆い隠せるのでどんな革でも染色が可能という利点があります。 また色の経年変化はいたしません。 「染料染め」は透明感があり、生前の傷を覆い隠すことができないので質の良い革しか染めることができません。 また色に艶が出て色味が深くなるという経年変化を存分に感じられます。 そして「手塗り」と言って、熟練職人さん自身が手間暇をかけて手で塗る方法ができるのもこの染め方です。