Back story「Journey with You」ができるまで。

1つのイラストがどのような過程を経て生まれたのか、物語風に綴った深掘りページです。それぞれのイラストに込めた想いを、より深く知ってもらいたいという想いで掲載しています。 グッズ一覧ページ：https://minne.com/@imai050831/series/19126 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー "Journey with You" ができるまで。 「制約があるほど、ボクたちの想像力は豊かになる。」 人間の想像力は思った以上に柔軟性に富んでいる。 健康や金銭的といった制約が発生するたびに、ボクたちの想像力は思いがけない広がりを見せるかもしれない。 そんなことを期待して描き始めたのが、「Journey with You」シリーズだ。 このシリーズを描く前、ボクは旅行に行けない自分に焦りを感じていた。色々な言語を操り、スーツケース1つで身軽に旅する人に憧れていた。 今でもたまに現れるこの焦燥感は、「健康があるが故の呪縛」のようなものだと思う。 健康があるが故に、本当は強く望んでいないことまで望んでしまうことがある。 ボクたちは時々、SNSに投稿された煌びやかで壮大な景色を見ながら、自分の人生を過小評価してしまう。 ボクたちの人生は思ったより前へ進まない。いつかは旅行へ行ってみたいという気持ちを持ちながら、人生はとんでもないスピードで過ぎて去っていく。 かといって「今すぐ行こう！」と言われて行動に移すほど、強く望んでいるわけではない。 少なくともボクは、そんなに行きたいと思っていなかったのだと思う。 ボクは今、想像によって色々な場所に思いを馳せたり、仕事場への道中が以前より楽しくなった。 というのも、ボクは2年前にアレルギーを発症したからだ。 ボクのアレルギーは、変わったことに”熱”に対して起こる。身体が熱くなると全身が激しいかゆみに襲われる。 そのため夏はもちろん、冬であっても太陽の下に5分でも出るとすぐに痒みが現れる。 こうして半強制的に旅行へ行きたいという欲求は抑えざるを得なかった。 それでも不思議なことに、ボクの心は今までより軽やかになっていた。 「旅行に行けない。いや、もう行かなくてもいい。」 旅行へ行けないと悟ったボクの脳は、何かを想像したり近くの景色をより美しく捉える方向へシフトしたような気がする。 （確実かどうか分からないし、時々いろいろな焦燥感はやってくるけど。） このイラストシリーズも、そうした力を活かして描きたかった。 ボクはそんなに遠くへ旅をした経験が少ない。 その代わり、ボクは想像力や発見力を使って楽しく生きることを目指したい。 ゴッホが残したされる名言の中にボクの好きな言葉がある。 「美しい景色を探すな。景色の中に美しいものを見つけるんだ。」 この言葉にボクは次のようなメッセージを感じた。「自分の生活の中にある些細な景色にも、美しさを見いだすことが出来る。」 ボクは時折この言葉を思い出しながら、日常の中から新しいイラストの断片を探している。 それらの断片を駆使しながら、ボクはときどき想像の中でネコと一緒に旅へ出かけるのだ。