「青海三丁目 地先の肖像 2」
2.5 architects 著・編集・発行
A5サイズ・166ページ・全頁カラー印刷
私家版、110部限定
2.5 architectsによる、東京湾岸部の最終処分場である巨大な埋立地「青海三丁目地先」をテーマとしたアートプロジェクトの作品集です。
「青海三丁目 地先の肖像 1」の続編となっており、2020-2022年にかけて行った活動の記録として、ワークショップや展示、トークイベントなどの記録を中心としながら、引き続き行ってきたフィールドリサーチの記録も収録しています。さまざまな方々とさまざまな形で対話をしながら、埋立地についてのリサーチを深めています。
全冊作家2名のサイン入り、ナンバリング入りとなっています。
Intro.
「プロジェクトの始まり」
東京という都市について考えていた時に、地図の中の海の上に見知らぬ3km四方の土地があることに、そして、この広大な埋立地について、我々はほとんど何も知らないことに気づきました。この場所はかつて「青海三丁目地先」と呼ばれていたところで、今日も刻一刻と埋め立てられ生まれつつある東京のフロンティアでもあり、東京五輪の会場ともなる予定の場所でした。地質学者の方が言っていた言葉も頭をよぎりました。次のようなことです。「現代は奇跡的に海水面が安定している時代であるが故に、沿岸部や埋立地に都市が発達したが、またいつ海水面が変化するかわからない。」
「はじめての上陸」
そこへ初めて足を踏み入れたのは、2019年の夏、とても暑い日でした。現地へ向かうルートはバス一本のみ。トンネルをくぐると、そこは平たく風の強い、トレーラーの走る土地でした。バス停から道なりに進むと、ベットボトルの山、信号のまだない横断歩道、街路樹に盛り上げられたアスファルトが、次々と現れ、ついには歩道も無くなりました。横幅10mほどの広い道の脇には鉄くず、ガラス、廃棄物とともに、生い茂るクズやヨモギ、濃い緑がせめぎあ っていました。 海の森公園と名前のついた丘を登ると、芝生が目の前に広がり、遠くに風力タービンが緩く回っていました。歩いて初めてわかる大地の大きさに、息を切らせて横になると、風にのって草の匂いがします。草の下の大地は、生きている間出し続けたごみであり、この島の一角を自分も作ってしまったのだ、と強烈に実感しました。この島は東京という都市の裏返しでもあると、わかった瞬間でした。
「青海三丁目 地先の肖像 2」
2.5 architects 著・編集・発行
A5サイズ・166ページ・全頁カラー印刷
私家版、110部限定
2.5 architectsによる、東京湾岸部の最終処分場である巨大な埋立地「青海三丁目地先」をテーマとしたアートプロジェクトの作品集です。
「青海三丁目 地先の肖像 1」の続編となっており、2020-2022年にかけて行った活動の記録として、ワークショップや展示、トークイベントなどの記録を中心としながら、引き続き行ってきたフィールドリサーチの記録も収録しています。さまざまな方々とさまざまな形で対話をしながら、埋立地についてのリサーチを深めています。
全冊作家2名のサイン入り、ナンバリング入りとなっています。
Intro.
「プロジェクトの始まり」
東京という都市について考えていた時に、地図の中の海の上に見知らぬ3km四方の土地があることに、そして、この広大な埋立地について、我々はほとんど何も知らないことに気づきました。この場所はかつて「青海三丁目地先」と呼ばれていたところで、今日も刻一刻と埋め立てられ生まれつつある東京のフロンティアでもあり、東京五輪の会場ともなる予定の場所でした。地質学者の方が言っていた言葉も頭をよぎりました。次のようなことです。「現代は奇跡的に海水面が安定している時代であるが故に、沿岸部や埋立地に都市が発達したが、またいつ海水面が変化するかわからない。」
「はじめての上陸」
そこへ初めて足を踏み入れたのは、2019年の夏、とても暑い日でした。現地へ向かうルートはバス一本のみ。トンネルをくぐると、そこは平たく風の強い、トレーラーの走る土地でした。バス停から道なりに進むと、ベットボトルの山、信号のまだない横断歩道、街路樹に盛り上げられたアスファルトが、次々と現れ、ついには歩道も無くなりました。横幅10mほどの広い道の脇には鉄くず、ガラス、廃棄物とともに、生い茂るクズやヨモギ、濃い緑がせめぎあ っていました。 海の森公園と名前のついた丘を登ると、芝生が目の前に広がり、遠くに風力タービンが緩く回っていました。歩いて初めてわかる大地の大きさに、息を切らせて横になると、風にのって草の匂いがします。草の下の大地は、生きている間出し続けたごみであり、この島の一角を自分も作ってしまったのだ、と強烈に実感しました。この島は東京という都市の裏返しでもあると、わかった瞬間でした。