手作りキット「基本の桜」の販売を決めた真意

手作りキット「基本の桜」の販売を決めた真意

こんにちは。 ANNIKA Accessories山重です。 ご予約品をお待ち頂いている方がたくさんおられるので決して暇ではないのですが、このことは一度きちんと話しておきたくてここに記すことにしました。 2016年から東急ハンズ渋谷店にてワークショップを開催させて頂き、たくさんの参加希望者の方がおられる一方で定員・開催回数に限りがあり「参加したいが予約がとれない」というお客様が多くおられました。 その状況を解消するため、ワークショップの予約がなかなか取れない方、遠方にお住まいで都内開催のワークに参加できない方をフォローすべく手作りキットを作った。 …というのが、これまで公言してきた理由の1つではあるのですが 実は、私が手作りキットを作りたかったのはこれがメインの理由ではありません。 手作りキットに求める部分は人それぞれ異なると思いますが私の手作りキットは「ハンドメイド初心者の方が自分一人で挑戦できてちゃんと形にすることができる。成功体験を積んでハンドメイドにより興味をもっていただくこと」を目的としています。 ものづくりの醍醐味はなんといっても初めてで最初は難しく感じた作業を乗り越え、1つの作品として完成できたときの喜びにあると思っています。 初めてのことは失敗はつきもの。逆に失敗がなければ向上しません。 しかし、失敗続きは悲しいですしモチベーションが下がるのはもちろんのこと、「私には無理だ」と自分で自分にレッテルを貼ってしまい続かなくなってしまうことも。 それは勿体ない! 初心者さんでも心折れず、何度も繰り返すことが苦にならないような手作りキットじゃないと楽しくない。 「何度も繰り返さないとダメ?」と思った方。 以前にもどこかで同じことを話したように思いますが、例えばピアノで何か曲を奏でるとして、どんなに素晴らしい名曲であっても基礎的な練習を積まずに弾いたところで曲の良さは半減してしまう。 日々の鍛錬無しに素敵なものの表面だけを真似てもそれは良い作品にはならないことが多いのです。 私はハンドメイドは錬金術に似ていると思っています。 両の掌を合わせてまばゆい光を放ち一瞬で作る…のではなくて、素材の理解、分解、再構築。この3つがそろってこそ良い作品を生み出すことは叶うのではないかと。 素材をよく知らなければその良さを十二分に引き出すことはできないし、技術がなければ作品の精度(仕上がり)が落ちます。 そして最終的な形、デザインを描きそこに至るまでの道筋を設計できるスキルも必要です。 そんなこと言ったって難しい…初心者にはできるわけないじゃん! ってなるかもしれませんが 私とて「初心者」を経て今に至ります。 ただ、ここに至るまでに少なくとも地道な努力を積んできました。 ワークショップを開催すると生徒さんから「うまくはさみで切れません」「着色が見本みたいに塗れません」といった声が聞かれることがありますが、私とて最初からきれいにできたわけではありません。 右も左もわからない状態から何度も練習し、どうすればうまくなれるかを考えて色んな方法を試しました。 なので、まずは手を動かすことが何よりも大事だと思っています。 きちんと素材と向き合っていれば、その素材の特性を掴むことはできるようになります。 ちょっと話が脱線してきてしまったので本線に戻しますと 私が手作りキットを出そうと思った真意はハンドメイドを楽しんでいただくこと(成功体験を積んでいただくこと)と同時に、パーツの作り方、組み立て方を自分でできるようになっていただくことで、アクセサリーに不具合が起きた時に自分で直して長く使って頂けるようになってほしい。ということです。 作品は物です。 物である以上、いつか壊れてしまうときがくる。 その時に自分に作品を直せるだけの知識とスキルがあれば、作品を捨てずに直しながら長く使うことができるでしょう。 私は使い捨てが当たり前の世の中を少しでも変えていきたい。 今の世の中は安価でデザインが良く簡単に手に入るものが溢れていますがそういったものはほとんどが「使い捨て」です。 安いからこそ壊れてもそこまでは惜しくないし、また新しいものを買えば済んでしまいます。 でも、私は何から何まで全部とは申しませんが、本当に気に入ったものは手入れをしながら長く大事に使って頂きたい。 勿論、私の作品においては修理を承っているので私に任せてくださるでも構わないのですが、何分私一人では対応できる数は決まっていますし、イベント前や他の受注で手一杯な場合は長くお待ち頂くようになります。往復の送料負担も生じます。 でももし、作品を手にした方が自分で直すことができれば、どの素材を使ってどんな作業をすればよいか理解されていれば好きなタイミングで修理し再び使うことができる。 「オマエが楽したいだけじゃん」と言われればそうです。その通り。楽したいです。楽させて。 私がデザインするアクセサリーは全年齢対象。 どの年代の方でも使うことができる流行り廃れのないデザインを心がけています。 若い時分に購入された方が、お母さんになって、おばあちゃんになっても使って頂けますようにという願いを込めてです。 そしてもし作品が壊れてしまっても直しながら大切に管理し、繋いでいってくださればこんな素敵なことはないと思っています。 どうかこの思いが作品を手にした方に伝わると嬉しいです。

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ものづくり人、ときどき講師

杏爾花装身具店
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