文化の伝承

文化の伝承

WATALISが拠点を持つ亘理町は、かつて養蚕が盛んでした。蚕を育て、売ることで、農家にとって貴重な現金収入としていたのです。また、娘の嫁入りが決まると出荷せずに貯めた繭から絹糸を紡ぎ、織り、着物を仕立てて嫁入り道具として持たせる家もありました。 亘理町の人々は、布をつくる過程の苦労を知っていたからこそ、大切に扱ってきました。 「小豆3粒包める布は捨てるな」と言われ、小さな生地も無駄にしない暮らし方を受け継いできました。着物を大切にまとい、着られなくなったら違うものにつくり直し、ハギレになるまで使い切るという文化が育った背景には、そんな物語があったのです。 WATALISが作る「FUGURO」も、そんな文化を次の世代に手渡したいという想いから生まれました。 亘理に暮らす女性達は、昔から、着物の残り布で仕立てておいた巾着袋に一升のお米を入れて、お祝いやお返し、手土産などにしていました。小さな布も大切に使い、自分の「ありがとう」という気持ちを伝えるために使ったのです。 普段からたくさん縫いためておいて、いつでもすぐに感謝の気持ちを伝えられるように準備してありました。 「袋」という言葉がなまって「ふぐろ」と呼ばれていたこの巾着袋は、米粒が縫い目に入らないように裏地が付いているのが特徴です。また、口がしっかり閉まって中身がこぼれず、持ちやすいように紐は両引きにしてあります。 私たちの「FUGURO」も、かつての「ふぐろ」と同じように、裏地をつけ、両引きに作っています。「FUGURO」を通して、布を大切に扱う人々の想いをこれからも伝え続けていきたいと考えています。 亘理町では、東日本大震災後、転出が相次ぎ、宮城県全体と比較しても人口の減少が顕著になっています。 高齢化率も高まり、高齢者と若い世代の交流の機会が減少してしまいました。祭や年中行事も減ってしまい、 技術や知恵の伝承者としての役割を担ってきた高齢者の活躍の機会も失われたままです。 今、地域固有の文化を受け継ぐには、新たなコミュニケーションのかたちが必要になっています。 WATALISでは、「FUGURO」の製作を通して、作り手となる亘理の女性たちとお客様、そして応援して下さる皆さんとの新たなコミュニティを創っています。布を大切に扱う想い、そして地域に伝わってきた知恵を、これからも伝え続けていきたいと考えています。

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着物リメイク クリエイター

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