浴衣が持つ豊かな彩りや表情は
様々な経験を通して感性が育まれてきた人にも
まだほとんど染まっていなくて初々しい人にも
響きうるものではないかと思います。
ちっちゃいゆかた屋ではその可能性を大事にして
大人の方にもお子様にも
浴衣遊びを楽しんでいただけるよう
仕立てで心がけようと決めたことがあります。
それは
✽ たたずまいの良さ
✽ 着せやすさ
✽ 片付けの気軽さ
です。
ポイントを詳しくご説明させていただきます。
■ たたずまいの良さ
① 衣紋を抜きやすい
衣紋が程よく抜けてすっきり見えるかどうかは、
浴衣美人の一大ポイントではないでしょうか。
リカちゃんに着せた時にちょうど良く
衣紋を抜いて整えやすいように作っています。
帯の下に出るおはしょりの背中心をつまみ
下に引いて整えてみてください。
なお衿周りは立体的にカーブがかかる箇所なので
縫い合わせの際には細心の注意を払っています。
② 脇線がやや前寄り
脇線が真横ではなくやや前寄りになることで
着こなしがほっそりして見える
ということで、
和裁の本をもとに人形サイズで寸法を割り出して
位置を決めました。
③ おくみ線がある
本来は反物から浴衣を作る都合で存在する縫い合わせで
浴衣に対して布幅に余裕があれば
合理的には必要のないものかと思います。
でも、この縦のラインには視覚効果があるようで
おくみ線がある方が見た目の引き締まり感があるので
再現しています。
④ 膝部分も留め合わせる
人形に着せるにあたり
膝のあたりで前身頃を留め合わせると
裾がはだけずキチンとした感じになるので
留め合わせるボタンを配しています。
⑤ 縫い目が目立たない
着せた時に縫い目が表に出る部分は
ミシンではなく手縫いでまつっています。
縫い目を目立たなくすることで
少しばかり品が上がるような気がします。
■ 着せやすさ
⑥ 肩口・袖口の縫い代は綴じ付け
手を通す時に
縫い代に手がひっかからずスムーズに通せるよう
縫い代を手縫いでまつって綴じ付けています。
⑦ おはしょりは縫い留め
本来おはしょりは
丈を体に合わせて調整するための部分なので、
着せるお人形に合わせて折り幅を調整していただくのが
スジかとは思います。
しかしそうなると
着せ付けに慣れが必要になり
特にお子様には難しくなると思われるので
リカちゃんに合わせて縫い留めています。
■ 片付けの気軽さ
⑧ スナップボタンで留め合わせる
お人形の髪の毛や
他の着せ替え服のレースや起毛部分など
細い繊維が絡みつくようでは
おもちゃ箱にポイポイ入れにくくなるかなと思います。
そんな絡みつきができるだけ無いように
留め合わせにはスナップボタンを使っています。
⑨ 布端の処理はジグザグミシンか三つ折り
おもちゃ箱でもみくちゃになっても
ほつれにくいように処理しています。
以上、
まだまだ勉強とスキルアップが必要な身ではありますが
現時点で心がけていることを
ご説明させていただきました。
ちなみに「お子様にも」と考える最大の根拠は
我が家の娘にあります。
娘は幼少期から
七五三の衣装カタログや細やかに描かれた和装の絵の本が
とにかくお気に入りなんです。
浴衣や着物を着たがりもします。
別に私がそのように仕向けたわけではないんですよ。
華やかなドレスに向けるのと似たような憧れや
着物と帯、その他小物のコーディネートへの興味が
娘から感じられて、
そうか、浴衣や着物は子供にとっても魅力的なんだ、
と思いました。
お読みくださりありがとうございました。