#1 【娘さんの手作りあんみつの味】
「さすがにあんみつはメニューにないわよね…?」
細身で上品な婦人が
カフェの扉を開けるやいなや、
Minie Meに尋ねた。
話を聞いてみると、
和菓子好きの娘さんが
よくあんみつを作ってくれたそうなのだ。
今は結婚して遠くに住んでいるので、
なかなか食べる機会がなく、
急にあんみつの味が恋しくなったらしい。
「娘さんのあんみつは、
どんなあんみつだったのでしょう?」
Minie Meは婦人に訊き返した。
「ええとね…
溶かし固めた寒天、
みつ豆に手作りの白玉、
お気に入りの餡子とバニラアイスクリーム、
それに缶詰のみかんとさくらんぼ、
忘れちゃいけないのは杏子ね。
あとね、市販の黒蜜は苦手なの、
味が強くて。
だから娘がシロップも手作りしてくれていたんだけど
どうやって作っていたかわからなくて…」
Minie Meは5秒ほど天井の方に目をやって
イメージを馳せた後、優しく頷いた。
「わかりました。明日またご来店ください!」
翌日。
婦人は嬉しそうにカフェを訪れた。
「お待たせしました。
クリーム白玉あんみつです。
今シロップをお掛け致しますね!」
黒糖に水を加えて少し煮詰め
あつあつのところをアイスクリーム目掛けてかける。
「わあ!!」
熱いシロップにとけていくアイスクリームを
目の当たりにした婦人は、
少女のような表情に変わり
夢中であんみつを味わいながら、
嬉しそうに涙ぐんでいた。
「とても美味しいわ。
最近娘となかなか連絡が取れなくて、
寂しくて気持ちが落ち込んでいたの。
でも、あの子も元気でやっているのだから、
私も私なりに日々を楽しまなくちゃね…
それにしても、
懐かしい味っていうのはこんなにも
元気が出るものなのだと改めて感動したわ。
また時々、
あんみつを食べに来てもいいかしら?」
「もちろんですよ。
ぜひいらして下さい…!
旬の食材を使った季節のあんみつや
抹茶あんみつも
作ってみようと思っていたところです。」
「それはとても楽しみだわ!」
婦人はまた少女のような表情で
ニコニコと笑った。
#1 【娘さんの手作りあんみつの味】
「さすがにあんみつはメニューにないわよね…?」
細身で上品な婦人が
カフェの扉を開けるやいなや、
Minie Meに尋ねた。
話を聞いてみると、
和菓子好きの娘さんが
よくあんみつを作ってくれたそうなのだ。
今は結婚して遠くに住んでいるので、
なかなか食べる機会がなく、
急にあんみつの味が恋しくなったらしい。
「娘さんのあんみつは、
どんなあんみつだったのでしょう?」
Minie Meは婦人に訊き返した。
「ええとね…
溶かし固めた寒天、
みつ豆に手作りの白玉、
お気に入りの餡子とバニラアイスクリーム、
それに缶詰のみかんとさくらんぼ、
忘れちゃいけないのは杏子ね。
あとね、市販の黒蜜は苦手なの、
味が強くて。
だから娘がシロップも手作りしてくれていたんだけど
どうやって作っていたかわからなくて…」
Minie Meは5秒ほど天井の方に目をやって
イメージを馳せた後、優しく頷いた。
「わかりました。明日またご来店ください!」
翌日。
婦人は嬉しそうにカフェを訪れた。
「お待たせしました。
クリーム白玉あんみつです。
今シロップをお掛け致しますね!」
黒糖に水を加えて少し煮詰め
あつあつのところをアイスクリーム目掛けてかける。
「わあ!!」
熱いシロップにとけていくアイスクリームを
目の当たりにした婦人は、
少女のような表情に変わり
夢中であんみつを味わいながら、
嬉しそうに涙ぐんでいた。
「とても美味しいわ。
最近娘となかなか連絡が取れなくて、
寂しくて気持ちが落ち込んでいたの。
でも、あの子も元気でやっているのだから、
私も私なりに日々を楽しまなくちゃね…
それにしても、
懐かしい味っていうのはこんなにも
元気が出るものなのだと改めて感動したわ。
また時々、
あんみつを食べに来てもいいかしら?」
「もちろんですよ。
ぜひいらして下さい…!
旬の食材を使った季節のあんみつや
抹茶あんみつも
作ってみようと思っていたところです。」
「それはとても楽しみだわ!」
婦人はまた少女のような表情で
ニコニコと笑った。