【星と忘却と人魚と】すべて星のかけら

小編集『すべて星のかけら』 表題作『すべて星のかけら』を含む5編の掌編や連作を収録しました。 心象によってつくられた、どこかの町のどこかの人々の小さなおはなしたちです。 ［収録］ 『すべて星のかけら』 少女の片恋から始まる十編の連作。誘拐犯、写真家、Tele Vision、砂嵐テレビ、あね、おとうと、木蓮、秘密のねつ、ひまな店、星のかけら。どこかで誰かが何かがすれ違い関係している。袖すり合うも他生の縁。そしてみんな星の、地球のかけら、小さな分身たち。 『王様と番人』 しょんぼりしがちな王様と誇り高い百人の番人のおはなし。 『長月日記』 ある年の九月、毎日綴った小編連作。 『「ミドリコ、』 大切なひとを失った時から夏至に行うミドリコの儀式、髪を切り、瓶に封じる。忘れていってしまう自分を保管する。 ある夏至の日、太陽の魔法が髪を人に変えて…… 『角砂糖』 淡水人魚のうつくしさに魅かれる〈僕〉が魔法使いとの契約に囚われてゆく幻想掌編。 ＿＿＿＿＿ おはなしを作るなら、ちいさなものが好きです。ふとしたイメージを、ああでもない、こうでもないと、手のひらで転がし、いろいろ眺めて、行ったり来たり。 ふだん、なにかしらを書いたり、それを手づくりの本にしたりしています。作りっぱなしが多く、なんだかそれでは、できあがったものたちが、かわいそうに思えてきたので、少しずつまとめてみることにしました。もともと「ひとつの作品に対して、ひとつの本の形をこしらえたい」と考えた意地のために、なかなか本にできなかったものもあれば、手製本にしたがゆえに再生産が難しい作品もあります。どれもすぐに読み終わる、ちいさな作品です。「掌編集」とも思いましたが、掌で握るような仕草がなぜか想像され、違和感を覚えたため、ちいさく編む、小編としました。 （『うろおぼえのおぼえがき』より抜粋） [奥付］ 2023年2月22日発行 著｜かくら こう 発行｜おはなしの喫茶室 印刷 製本｜製本直送.com