「minneハンドメイド大賞2016」で大賞を受賞された、上質な革を使いドキッとするような独特で個性あふれる「おしり」をモチーフにした作品を手掛ける440さん。「つくるものは世の中が求めてるもの、というよりも自分がつくりたいと思ったものだけを、貪欲につくっていけたらいいな」そう語る440さんのアトリエにお邪魔しました。
わたしのHANDMADE AWARD
作家さんの発掘・支援を目的として2015年より開催している「minneハンドメイド大賞」。今年は「minneハンドメイドアワード」と名称を変えて新たに誕生し、8月1日より作品の応募受付を開始しました。応募にあたって、すこしでも皆さんの参考になればー そんな想いで、minne mag.では過去の受賞作家さんにお話をおうかがいすることにしました。今回は「minneハンドメイド大賞2016」で見事大賞を受賞された440さんをご紹介します。
プロフィール
440(ヨシオ)さん
「minneハンドメイド大賞2016」にて、大賞を受賞。ユニークな作風でありつつ実用性も兼ねた革小物を多数制作している。
小さいころに出会った、ものづくりの楽しさ
たしかな製法技術と実用性を兼ね備えた、とてもクオリティの高い作品たちを生み出されていますが、「ものづくり」との出会いはいつごろだったのでしょうか。
440小学生のころ、担任の先生が手づくりで野球盤をつくってくれたことがあったんです。その野球盤のクオリティがすごく高くて、すごいなあって当時感じたことを、今でも覚えてます。友だちとのサッカーもたのしかったのですが、絵を描くことにも夢中になり、工作の授業が特に好きで。ものづくりとの出会いは、小学生時代だったんでしょうね。
その後も絵を描くことを続けていた440さん。いつしか将来は「イラストレーターになる」と夢見て、グラフィックデザインの専門学校に進学したといいます。
イラストレーターを目指していた440さんが、レザークリエイターへの道を進むことになったきっかけをおしえてください。
440
専門学校に通いながらも、いざイラストレーターとして活動していくにはどうすればいいんだろう、と、結構ふわふわとしていた時期が長かったんです。そんな時期に、ふらっと立ち寄った東急ハンズの革小物のコーナーを見て、急に「革やってみよう」と挑戦してみたのがはじまりです(笑)。もちろん初心者だったので、知見のあるひとに聞いたり、自分で調べたりしながら、独学でカッティング技術などのスキルを上げていきました。
制作を続ける中で、知り合いの方から「minne」の存在をおしえてもらい、440さんはminneで作品を販売しはじめることに。
自分がつくりたい、自分にしかつくれない、作品
おしりやおっぱいをモチーフにした独特で個性あふれる440さんの作品。作品制作にあたって、なにか心がけていることやこだわりはありますか?
440
せっかくなら「世の中に求められてるか」ということに頭を悩ませるよりも、「自分がつくりたい」と思ったものだけを、貪欲につくっていけたらいいなって。ちょっと変わったもの、見たことのないものを、革でつくってみようと常に思っています。あと、使う革の素材選びにはこだわっていますね。使用する革は、必ずお店に足を運んで、実際に触って質を確かめています。
革は種類も多くて、これだ!というものに出会うのは大変ではないでしょうか。
はじめた当初は、作品を手に取った人のことを気にして「この革はいいものだと思ってもらえているのか」なんて悩んだりしていた時期もあったのですが、ふと、たとえば、自分が最高にいいと思う革が、必ずしも手にする人にとっても最高にいいと思うかどうかはわからないですし、そこ突き詰めても仕方がないなって思ったんです。答えが出ないなら、自分が最高にいいと思ったものを使おう、自分がいいと思うこの感性を信じてやってみようって思い直しました。
自分の感性を信じ、妥協せずにものづくりと向き合う440さん。ユニークなデザインと丁寧な手仕事でminneでも多くのファンをつくっていきます。
作家活動をしていてうれしかったことはありますか?
minneで作品を購入してくれて、レビューをいただけるとやっぱりうれしいですね。あと、イベントに出展したときのことですが、作品を気に入って購入してくれた方が、ほかのイベントにも会いに来てくださったことがあって。作品を通していい交流が生まれたことは、つくり手としてもうれしい出来事だなと思いました。
わたしも参加したことがありますが、440さんのワークショップは参加者同士の会話も自然と生まれ、その中心に440さんがいますよね。親しみやすい440さん自身のファンという方も多くいらっしゃると思います。
440
ワークショップ中は、作業はもちろんおしゃべりに夢中になってしまうことがあります(笑)来てくれたお客さんよりも自分自身が一番たのしむことで、自然と参加してくれた皆さんがたのしめるイベントになるのではと思っています!今後【ワークショップの内容はどうでもいいからおしゃべりしに行きたい!】という参加者の方も参加してくれるとうれしいですね~!
普段の作品に「自信」
ハンドメイド大賞に応募されたきっかけはありましたか?
440
minneさんきっかけでテレビ番組の撮影に参加させていただいたことがあったのですが、そのときminneのスタッフさんに「ハンドメイド大賞っていうイベントがあるので、ぜひ参加してみてくださいね」と言われたのがきっかけでした。
応募作品はいつごろから制作をはじめたのですが?
440
応募作品はハンドメイド大賞用に新しく制作したわけではなく、普段からつくっていた作品に自信があったので、それをそのまま応募しました。いろいろなことを考えてしまって、あのときコンテスト用に作品をつくっても良いものを生み出せる自信はあまりなかったですね。
背中を押してもらった
約2万作品を超える応募作品の中からグランプリを受賞された時はどんなお気持ちでしたか?
440
え?嘘でしょ?え?え?お尻でいいの?って思ったのが正直な感想ですね(笑)。自分がいいと思ってつくっていても、心のどこかで「これで合ってるのかな」という感覚は常にあって。でも、ハンドメイド大賞で評価をしてもらえたことで、自身の作品制作において、ひとつの正解をもらえた気がしました。ほかのひとの意見に耳をかさずに、自分が正しいと思ったことだけをただひたすら制作し続けた先で、間違ってないよって背中を押していただけた気がしてすごくうれしかったです。自信が持てました。自分に向かって数え切れないほどのフラッシュが向けられた感覚は今でも忘れられません。
受賞後は、440さんのご活躍をお見かけすることが多く、スタッフとしても喜びを感じております。
440
ありがたいことに受賞後はさまざまなお仕事をいただけるようになりました。セレクトショップでの販売や企業さんとのコラボレーションアイテム販売、minneさんでもやっていますが今まで訪れたことのなかった土地でのワークショップ開催などたくさんのことに挑戦できていますね。
中でもロディさんとのコラボはとっても印象的でした。440さんらしさあふれる素敵な作品ですよね。
440
見ていてくださってたんですね!ロディさんとのコラボは、ハンドメイド大賞直後のハンドメイドマーケットで声をかけていただき、お話がすすんでいったんです。
制作秘話も読ませていただきました。担当者の方も440さんもたのしまれながら、この企画をつくりあげていったんだろうなと感じました。
440
ありがとうございます。担当者の方がとてもユニークな方々で、企画から制作までとってもたのしませていただきました。自分らしいコラボアイテムができたと思います。
他にも440さんはmono shop、ネコノヒー(ドワンゴ)、パンパカパンツ(ドワンゴ)などさまざまな企業とのコラボレーションを行なっています。
440
ハンドメイド大賞でグランプリを受賞できたこと、その後の作家活動の広がりができたことは、自分の作品に対する責任やこだわりを改めて感じることができるできごとでしたね。
目標は、ものづくりを「続けること」
今後の活動目標をおしえてください。
440
有名になる!だったり、あのメディアに出たい!なんて思っていた時期もありましたけど、いまはただこれからも、ものづくりを続けていって、さらに精度の高い作品をつくっていきたい。一生懸命つくって、寝て起きて、いいものをつくって、そのくりかえしですね。
最後に、今年のハンドメイドアワード への応募を考えている方にメッセージをお願いします。
440
今自分がつくっている作品に自信があるなら、絶対に応募するべきだと思います!結果はどうであれ新たな挑戦をすることで、作品や作家としてのクオリティが高まるのではないかと思います。お尻財布で応募したわたしだから言える!『人生何が起こるかわかりません!』
「minneハンドメイドアワード2018」エントリー作品募集中!
作家さんの発掘・支援を目的に開始した「minneハンドメイド大賞」。4回目の開催を迎える今回より、コンテスト名を新たに「minneハンドメイドアワード」として生まれ変わりました。みなさまからのたくさんのご応募、お待ちしています。
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