minneとものづくり
「手が生んでいるから、あたたかい。」
そんな想いを大切に、これまで「minne」では手から生まれたものづくりを届けるお手伝いを行ってきました。しかし、これからの「minne」は、他の人の手やテクノロジーを利用してつくったものも一層歓迎し、さらに、ものづくりを大切にしているブランドやメーカーのみなさんにもご参加いただくことが可能になりました。
これからのminneについて、わたしたちの考えや想いをご理解いただけるよう、お伝えできればと思います。
大切なことは変わらない
今回、こういった変更にたどり着いたのには、背景と重ねた検討がありましたよね。まずは、その背景から話していただこうと思います。
阿部
そうですね。2012年に「minne」を立ち上げてから、ものづくりの素晴らしさや手でつくることの価値を広げて、作り手のみなさんの可能性を広げたい、という気持ちで取り組んできましたが、ここ数年、「ハンドメイド」という言葉の持つ意味や概念が大きく変わってきたな、と感じているんです。つくり方や売り方の多様性も本当に広がっていて、作り手のみなさんから教わることもとても多いです。
和田
すこし前までは「ハンドメイド」というと、その人が手でつくった「もの」を指していて、「誰かがつくって直売しているもの」というイメージがとっても強かったですよね。ところが今では、みんなでつくったり、一部を外注したり、と制作の手法もすごく増えたし、オンライン、イベント、セレクトショップ…と販売方法もたくさんある。それぞれの方法で、いま「作品」が届けられていますよね。
阿部
まさに「それぞれ」ですね。minneの作品登録数も1,000万点を超えましたけれど、それは単純に作品の数が増えただけではなくて、その数の分、作品の幅もずいぶんと広がりました。たとえばスマホケースやTシャツように、オリジナルのデザインを元にテクノロジーを利用して、作品をつくっている人もいる。このハンドメイドの多様性は、ぼくらの努力ではなくて、作家さんが技術と想いを込めて「つくりたいもの」をつくって、「届けたいもの」を届け続けてきたからこそ生まれたものだと思うんです。
和田
その通りだと思いますね。活動を続けてきた作家さんの中には、今や個人としてではなく、ブランドとしてたくさんのファンを抱えている人もいるし、法人化される作家さんもどんどん増えているなという印象もあります。
阿部
「ハンドメイド」の概念がここまで多様化してきている今、作家さんの成長とともに、ぼくたち「minne」も成長しなければいけない、という想いがありました。大切なことは変わらないけれど、しっかりとぼくらの考える「ものづくり」を定義し直して、その間口を広げようと踏み切ったんです。
和田
わたしたちには、多様性に富んだ作品をしっかり伝えていく、届けていく責任がある、と考えているからこそですね。
広がるのは、それぞれの可能性
検討を重ねるうえで、スタッフ間でもたくさんの話し合いを行いましたね。
阿部
まおさんは、この案について率直にどんな印象を受けていましたか?
和田
わたしはね、めちゃくちゃいい!と思ったんです。一番いいなと感じたのは、作家さんの成長した先が担保されるということ。たとえば、生産が追いつかなくなって工場に発注をかけたり、minneで売っている作品と同じものを全国に流通させる場合にも、プロモーションの窓口のひとつとして今後もminneを選んだいただくことができる、と思いましたね。
阿部
そうですね。ハンドメイドを軸に「つくったものを売る場所」としてはもちろん、これからは「つくったものがどんどん広がっていく、きっかけのひとつ」としてもminneを使っていただけるようになれれば、というのは本当に願っていることですね。
和田
今後は「ものづくり」を大切にしているブランドやメーカーのみなさんにも参入いただきますけど、ものづくりにおいて、プロとかアマチュアって関係ないと思ってるんですよ。
阿部
うんうん、そう思います。
和田
みんな「オリジナルでつくっているもの」に変わりはないわけですから。今minneで販売いただいている作家さんには、制作や売り方の種類が増えること、ものづくりの価値を一緒に高められるような作り手がたくさん入ってくることで、自分たちの可能性が広がることを、ぜひたのしみにしていただきたいなと思いますね。
「minne」が変わることで生まれるもの
この変更によって、「minne」という場所はどう変わっていけるか、というところは我々としても本当にたのしみですね。
阿部
今回の取り組みをきっかけに、ハンドメイドを、作家さんの作品というものを、より世の中に浸透させたいですよね。「一部の誰かが好むもの」ではなく、みんなの目に触れるような一般的なものとして広がっていくといいなと思っています。
阿部
これまで販売いただけなかったみなさんに参加してもらうことで、「minne」のマーケットは広がります。そうすれば、さらに作り手は増え、作品が増え、訪れる人も増えていく。作り手にとっての「欲しいと言ってくれる人」、購入者にとっての「欲しいもの」もどんどん増えていくと思うんです。「minneを覗けば欲しい作品と必ず出会える」多くの方にそう感じてもらえる場所でありたいですし、「お買いものをしたい」「贈りものを探したい」と日常の中で考えるとき、その選択肢として常に思い起こしてもらえる「minne」をつくっていきたいですね。
和田
うんうん、本当にそうですね。マーケット自体が活性化していくことで、その作品を「欲しい」と手を挙げてくれる人によりスムーズに届く場所に育てていきたいですよね。
minneは「ものづくりの総合プラットフォーム」へ
和田
わたしはセミナーなどの活動を通していろんな地域に赴いていますが、その土地の特色を生かしたものづくりをされている企業の方々からは「自分たちは個人じゃないからminneに出店できない」といったお話や、伝統工芸の職人さんからは「余力がなくてオンライン販売に踏み切れない」というお声をよくいただいていたんです。特に後者は、代理出品が大きな可能性を秘めていますよね。そういった方にも、今後は参加していただける可能性ができましたよね。
阿部
まさに、そういった方には「誰かの手を借りて販売してもいいんだ」という選択肢をご提供できるようになりますね。
和田
今、おもしろいものをつくっている人って、すごくたくさんいるじゃないですか。それは個人でも企業でも。今回、こうしてminneの間口を広げることで、新しくminneを知ってくださる方も増えるでしょうし、作家さんにとっては、より広い世界でものづくりをたのしむことができますよね。
阿部
なにか「欲しいな」と思ったときにまず「minne」を頭に浮かべて訪れてくれる人が増えることで、作家さんは作品をよりいろんな人に見てもらえるきっかけが増えますし、新たなファンになりうる人との出会いも増えますからね。作り手の数や幅が広がることが、みなさんにとってうれしい変化になればいいなと思います。
和田
うん、ほんとうに。ものづくりの可能性が広がるとても大きな一歩だと思います。まずは、想いを持ってものづくりをしている人は、みんなminneにきてほしい!という気持ちです(笑)。
阿部
そうですね。そしてぼくたちは「ものづくりの総合プラットフォーム」になる、というか。ものづくりに関連するありとあらゆることが、自然と集まる場所になっていくといいですね。そうしていきたい、と考えています。
阿部雅幸
2012年に「minne(ミンネ)」を立ち上げた発案者。ものづくりの価値とminneの想いを広めるべく活動を行う。
和田まお
minneの作家活動アドバイザー。著書『ハンドメイド作家のための教科書!! minneが教える売れるきほん帖』が絶賛発売中。