特集

「あの作品」ヒストリー vol.5 pu・pu・puさんの、サンドイッチポーチ

自身の代名詞ともいえるような、長年愛され続けている作品をもつ作家さんに、その作品の誕生秘話を語っていただく連載企画。第5回目は、デザイナーpu・pu・puさんと「サンドイッチポーチ」の登場です。

pu・pu・pu
オリジナルのイラストをプリントした生地でユニークな布雑貨を制作。人気を集めるサンドイッチポーチシリーズのラインナップは、2020年現在で30種類超。
https://minne.com/@yucon-p

 

目を惹くカラフルなサンドイッチ型のポーチ。具材に合わせて裏地やパンの種類が異なるなど、遊び心あふれるデザインが特徴です。大人も子どもも思わず手に取り、そして手に取ったひとは自然と笑顔に。


今回は、そんなpu・pu・puさんの「サンドイッチポーチ」ヒストリーに迫りました。

あの人気イベントを機に


「サンドイッチポーチ」が生まれたきっかけをおしえてください。

pu・pu・pu
2016年、全国から美味しいパン屋さんとパン好きのひとたちが集まる人気イベント「世田谷パンまつり」の出展者募集を見かけました。わたしは世田谷パンまつりの賑わいを知っていたのですぐに応募し、見事当選したんです。

「世田谷パンまつり」で販売されるのはパンかパンをモチーフにした雑貨だけ。実は応募の時点ではパン雑貨はひとつも制作したことがなく、出展が決まってからパン雑貨を考えはじめたんです。「パンのイラストを描いた生地で、何をつくったらおもしろくなるかなぁ」と考えていたところ、ひらめいたのがサンドイッチポーチでした。

pu・pu・pu
サンドイッチの形に、サンドイッチの絵柄が描かれていたらかわいいかもしれない!やるなら裏地もたのしくしたいなぁ!と。

イベントでの反響はいかがでしたか。
pu・pu・pu
それが、世田谷パン祭りでは9個だけ用意ができて、3個しか売れなかったんです。でも反響はすごくて、たくさんの方に「かわいい」と手に取ってもらえたり、SNSで紹介してもらえたりしました。

そこからじわじわと人気に?
pu・pu・pu
一気に注文が増えたのは、それから少し経った頃、minneの特集に掲載してもらってからです。わたしひとりでは制作が追いつかなくなり、友人に縫製を手伝ってもらう中で「こんな感じで縫ったら早いわよ」とおしえてもらったりして。1年間、もくもくとつくっていたら、1日でできる個数が最初の頃の2倍になったりしました。

pu・pu・pu
購入者さんからはペンケースのリクエストが届いたり、「もうすこし大きいのが欲しい」という声をいただき、食パンサイズができたり。どんどんバリエーションが増えていきました。


笑顔を産みたい


たくさんの人に知られるにつれ、種類が増え、愛される定番作品となった「サンドイッチポーチ」。これまでつくり続けてきた中で、印象に残っているエピソードをおしえてください。

pu・pu・pu
とあるイベントに、お母さんと娘さんの2人組がいらっしゃいました。お母さんが「娘から母の日のプレゼントでもらってから気に入ってしまって。今日はいっしょに買いに来たんですよ」と言ってくださり、そのときは、お母さんが娘さんにサンドイッチポーチをプレゼントで購入されました。おうちでポーチを見ながらおしゃべりしている姿を想像して、とてもうれしくなりましたね。「友だちにかわいいと言われました」とか、「会社で指差された」とか(笑)。イベント会場で直接お話ししていただく時間はわたしにとってかけがえのないものです。

pu・pu・puさんの作品は、目にしたひと、手に取るひと、使うひとに、何かしらの反応を生む作品ですよね。

pu・pu・pu
ありがとうございます。作家名のpu・pu・puにも通じるんですけれど、わたしの作品を通して思わず、ぷぷぷと笑ってもらえたら何よりです。
サンドイッチポーチは見た目のかわいさだけでなく、大きく開くようにファスナー位置が工夫されていたり、用途に合わせてサイズが変えられていたりと使い勝手にもこだわりが。

pu・pu・pu
裏地の柄も1パターンではなく、それぞれの具材に合わせています。そこに気付いて笑ってもらえたり、「こっちはこんな柄になってるよ」と会話が生まれるのもうれしいですね。

挑戦し続ける


「サンドイッチポーチ」の制作を振り返って、今思うことは?

pu・pu・pu
minneをはじめて半年くらいはほとんど売れなくて。1年やって売れなかったらやめようと思っていました。サンドイッチポーチができたのは10ヵ月目。そこから注文が一気にきて、もしかしたらこれでやっていけるかもと思えました。

今年で5年目になりますが、今は「雑貨のデザインと販売をしています」と自信を持って言うことができます。「見たことあります」と言ってもらえる機会も増え、自分の知らないところで自分の作品が広がっていることもうれしいです。


今後の展望や、目指すところをおしえてください。

pu・pu・pu
6月にはじめての個展をする予定です。「食べられない食卓」をテーマに、会場には食べものグッズをいっぱい並べたいですね。あと、今年で40歳になるので、人生で経験したことのないことにどんどん挑戦する予定です!4月末くらいにはクリアバッグなどの新作も販売予定なので、たのしみにしていただけたらうれしいです。

 
イベント出展での、ふとした挑戦が作品誕生のきっかけになっていたとはおどろきでした。新しいことにチャレンジすることで、ときに思っても見なかった景色が広がるもの。今年は初の個展を開催されるなど、pu・pu・puさんの作品はこれからもどんどん大きく羽ばたいていく予感。新作のクリアバッグにもユニークなデザインを仕掛けているとのことなので、ぜひギャラリーをチェックしてみてくださいね。

次回の作品ヒストリーもおたのしみに。


作品ギャラリーを見る
 
取材・文 / 西巻香織

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