本との出会い
数ヶ月前、実家のある兵庫県を尋ねると、大好きだったショッピングモールの規模がとても小さくなっていました。いちばん思い出の多かった「サンリオショップ」も無くなってしまっており、誰に伝えるでもなく、とてもさみしい想いをしました。
小さい頃からサンリオが大好きで、わたしの幼少期はサンリオとともにありました。
サンリオショップでなにか購入すると、紙袋にそっと付けてもらえる、おまけのマスコット「プレミアム」アイテムは大きな箱に入れて集め、いつもいつも眺めていたことを覚えています。
この本には、そのプレミアムの紹介だけでも、写真で200個近く収められていると知り、思わず手にとってしまいました。
1970年〜1980年代にサンリオが生み出したキャラクターやグッズなどを、貴重な写真とともにたのしむことができる図鑑のような一冊。中でもわたしのお気に入りのページをいくつかご紹介します。憧れのプレミアム
まず目を奪われたのが、プレミアムのラインナップがまとめられたページ。「これは持ってたかもしれない…!」と当時の記憶がふわりと蘇るのですが、よくよく考えて見ると、収録されているのは1980年代までのものなので、わたしが手にしていた可能性はあまり無いのですが、「キキ&ララだと喜んでたなあ」「ヘアコームになっているなんて!」と、1990年代にも続くそのユニークなバリエーションに胸が高鳴りました。
サンリオの歴史
まだキティちゃんが誕生するずっと前、1960年に誕生した「サンリオ」。
その歴史を紐解けば、なんとPATTY&JIMMYがキティちゃんよりも前、1974年に生まれていたことも、今回はじめて知りました。いろんなキャラクターが特集されていますが、特にわたしが思い出深かったのは「マロンクリーム」。幼稚園のころ持っていたバッグや、小学校で使っていた歯ブラシも給食セットもマスクも、すべてマロンクリームで揃えてもらっていたことを思い出したのです。
いつの時代も、小さな子どもの頃に戻れてしまうような、心惹かれるデザインばかり。
懐かしい気持ちで思わず胸がいっぱいになってしまいました。
読み終えてみて
とても不思議だったのは、どのページを見ても「ああ懐かしい」と感じること。
よくよく年数を見ると、わたしが生まれるずっと前の広告やグッズがほとんどであるのに、
なぜか、そのすべてが、泣きたくなるような懐かしさなのです。
サンリオが発行している情報誌『いちご新聞』の内容を改めて見ると、学校生活に悩む読者の投稿やその回答に繋がるヒントが熱意を持って特集されていたり、母の日にはいちごの王さまからこんなメッセージが。
「(略)なかなか親友ができない人も、お母さんとなら大丈夫だから、まずはお母さんと親友になってください。」
いつもいつも少女たちに、やさしく心を寄せてくれていたことが伝わってきて、改めてサンリオの世界のあたたかさ、愛され続けるデザイン・キャラクターの成り立ちに触れ、今まで以上にファンになることができた一冊でした。
この本を教えてくれたひと:minneスタッフ める
文 / 西巻香織 撮影 / 真田英幸