スタイリッシュかつ高級感を感じさせるstyle&thingsさんのレザーアイテム。大人の女性を中心に人気を集め続ける「oriシリーズ」は、ミシンを使わず無縫製でつくられており、裁断や結びなどの工程は全て丁寧に手作業で行われているという、一風変わった革作品です。
今回は、そんなstyle&thingsさんの「oriシリーズ 」ヒストリーに迫りました。
縫わずに、折る
「oriシリーズ 」が生まれたきっかけをおしえてください。
style&things
以前、革製品をブランドへ提案する会社で働いていたのですが、縫製の入る革製品は、“縫う人”によって、仕上がりに差が出てしまうことがあるんですよね。縫製のズレが出てしまい、品質の劣るB品ができてしまうこともありました。そこでわたしは、縫製商品の難しさを感じていたんです。
そんなとき、ふと小さい頃に夢中になった「折り紙」や「ペーパークラフト」などの手を使った遊びを思い出すことがあって。折ったり、組んだり、結んだりしてつくるのってたのしかったなあ、と。これを革製品に活かせないかなと考えるようになりました。
革を折る、という発想が生まれたのですね。
style&things
はい。さらに、着物などの仕組みも取り入れたり、それぞれのディテールをモダンなデザインに落とし込んだり、と試作を何十回も繰り返した末に完成したのが「oriシリーズ」です。
無縫製の革作品「oriシリーズ」より、2wayレザーボックスバッグ。無縫製だからこそ生まれる、張りのある、上品な美フォルムが特徴。
お客さまとともに
「折る」技術で、さまざまなアイテムをつくられていますね。
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はじめはポーチとカードケースだけをつくっていたのですが、それをお財布として使うお客さまがいて、それを見てお財布をつくり。当時、商品を卸していたお店からバッグの制作依頼があり、バッグをつくり。ほぼすべての商品、まわりの方、お客さまのご意見をもとに生まれていることが多いです。
「こういう色で、こういう組み合わせでつくれませんか?」というお客さまの要望に応えるうちに、カラーバリエーションも豊富になっていったそう。
お客さまの声をとても大切にされているんですね。
style&things
お客さまのおかげで、自信を持ってものづくりができたり、つくるモチベーションを与えてもらっているので、メッセージやレビューでいただく声は、しっかりと受け止めています。
いちばん記憶に残っているのは、数年前。ご自身はネットショッピングが苦手で、息子さんに頼んで購入していただいたというお客さまです。商品を受け取られ「レビューができない代わりに」とお手紙をいただきまして。そこには、いかに商品を気に入ったか、素晴らしかったか、が丁寧な文字で紙いっぱいに書かれていました。当時、自信を持てなかった自分にとってすごく感動したお手紙で、いまだに大事にしまってあります。
ネットで簡単に買える商品でも、お店でのお買いものと変わりなく、開けた瞬間に心からよろこんでほしい、そして、使うことでより生活がたのしくなるような商品であってほしい。そんな、作り手としての想いをより強くさせる出来事でした。
日常の相棒として
ひとつひとつのフォルムが本当に美しく、その技術とデザインに見惚れてしまいます。作品をつくる上でのこだわりをおしえてください。
style&things
「自分が使いたいと思う商品であること」を常に意識しています。それはデザインでもクオリティでも。あとは、お客さま、実際に使われる方がそれぞれのこだわりを見つけてくれればと思います。
シンプルかつ洗練されたデザインのoriシリーズは、シリーズ使いする人もたくさん。本革なので、使ううちにさらに味わいが生まれ、経年変化をたのしむことができるのも魅力です。
「oriシリーズ 」はstyle&thingsさんにとって、どのような存在ですか。
style&things
どうでしょう…あまり考えたことがないですね。ただ、大事に使ってもらえるとうれしいですし、何年も使っていただいた商品を見ると、感謝の気持ちでいっぱいになります。
新プロジェクト
最後に今後の夢をおしえてください。
style&things
今後のことを言いはじめると、言いたいことやりたいことがたくさんあって。うまくまとまりませんが、建築とアートとファッションを融合したような、新しいプロジェクトを今進めています。状況が落ち着いてきたら、国内海外どちらでも展示会などができたらいいなと思っていますので、ぜひたのしみにしていただけたらうれしいです。
ユニークな「折り」の技術で制作された、style&thingsさんの「oriシリーズ」。無縫製ならではの、美しいフォルムとなめらかな質感はぜひ手にとって体感してほしいもの。普段の持ちものに1点取り入れるだけで、グッと大人の素敵な女性になれたような気分が味わうことができますよ。ご自分へのご褒美にもおすすめです。
次回の作品ヒストリーもおたのしみに。
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取材・文 / 西巻香織