さえかさんから寄せられたエピソードです。
いつもと違う夏
自由に出歩くこともままならず、遊びたい盛りの3歳と1歳の息子たちと、ずっと自宅で過ごした春と初夏。
夏になっても、「いつもと違う…」そんなムードが、街にはただよっていました。
さらに、わが家に特別な夏を運んできたのは、「引っ越し」というイベント。
それも、長年過ごした大阪から、はるばる北海道への引っ越しです。
夫の職場異動を機に、北の大地へと家族4人で住まいを移すことになったのでした。
自宅でふたりの息子たちと向き合いながらの引っ越し作業。
思った以上の苦労がありましたが、心の隅で気にしていたのは夫のこと。
大阪から北海道への遠い距離の転勤です。
しかし、「自粛」の影響を受け、送別会も壮行会も実施してもらうことができずに、今の職場を旅立つ夫。
きっと、わたしたちにはわからないさみしさもあったことと思います。
そして、ようやく引っ越しを終えて、いちばんに迎えたのが夫の誕生日。
しかし、それも、「段ボールに囲まれた部屋の中で、ケーキひとつを家族で食べる」そんなささやかなもので済ませるほかありませんでした。
「ちゃんと贈りものがしたかったな…」
本当はずっと心にひっかかっていたのですが、気づけば7月も終わり、8月が訪れようとしていました。
「やっぱり…」
ずいぶん日にちは過ぎてしまいましたが、わたしたち家族にとっては、この環境の中、北海道に越してきた「特別な夏」でした。なにか思い出になるような…そんなものを贈りたい。
いつからか、そう考えるようになりました。
贈りたかったのは、風鈴の音(ね)
そして、ぱっと思い浮かんだのが、きれいなブルーの「ガラスの風鈴」でした。
これまでは、洋服やお財布などの小物をプレゼントしてきましたが、きっと「風鈴の音(ね)」のような、やさしくてほっと気持ちが癒されるような贈りもの。
そんなものを受け取ってほしかったのだと思います。
「これだ!」というデザインを選び、届くのを心待ちにしていました。
そして手元に届いてみると、海やこれまでの夏のたのしかった思い出たちを思い出させてくれるような美しいガラスのデザイン。ついついわたしもうっとりしてしまいます。
仕事から戻った夫に、
「すいぶん、遅くなったけど、これ誕生日プレゼント…」
とさっそく手渡すと、夫は目を丸くしていました。
「もらえるとは、思ってなかったから…」
とのこと。そしてなにより、
「オレが疲れてること、バレてたんだね(笑)ありがとう」
といううれしそうな笑顔とことばに、なんだか思わずじんわり。
見守るように、揺れる黄色
そして風鈴は、家族が毎晩そろう寝室の窓に吊り下げることに。
思った以上に喜んでくれたので、この風鈴が目に入るたび、わたしもうれしくなってしまいます。
3歳の息子も「きれい〜」と眺めていたり、まだ喋れない1歳の息子も「チリンチリン!」と一生懸命手をのばして見上げています。
さすが北海道は大阪よりも涼しく、クーラーも使わず過ごす生活で、夜は扇風機の風に揺れて、風鈴が涼しげでやさしい音色を響かせてくれています。
きっと来年の夏も、こうしてわたしたちの枕元で、見守るように揺れてくれるのだと思います。
ずっと思い出に残る、そんな特別な夏の贈りものが、今日もチリンチリンと揺れています。
次回の「思い出のminne」もおたのしみに。
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見た目も涼しいガラスの風鈴、やさしい音色にぜひ癒されてくださいね。本当にありがとうございました。