出会いの「きっかけ」となる写真
作品写真は、出会いの「きっかけ」。
第一印象を大きく左右し、場合によっては「それきり」となってしまうことも多いのが実際のところです。
写真撮影や、画像の補正は避けて通れない工程ですが、肉眼で見るよりもずいぶんと暗く見えたり、鮮やかさや質感のぬくもりが写真ではうまく伝わらないことも。
前回に続き今回も、とある作家さんの作品写真を一新することで、ギャラリーページが生まれ変わりました。
クラフトバンド・「tontokosan18」さんの場合
丈夫でカラーも豊富なクラフトバンド。そのクラフトバンドの特性を上手く活かして、作家・tontokosan18さんは、ひとつひとつ丁寧にかご作品を編み上げています。
しかし、作品写真の撮影や編集には、いつも「気になること」があったそうです。
今回はそんなお悩みをうかがいながら、「魅力的に見せる方法」を編集部でも一緒に考えさせていただき、無料スマホアプリ「Adobe Photoshop Lightroom」を使って、tontokosan18さんにギャラリーページの「一新」に取り組んでいただきました。
クラフトバンドの鮮やかさをそのままに
まずは、作品の最大の「魅力」や、目を惹きつける「ポイント」はどこか、について考えてみます。
クラフトバンドで制作されるtontokosan18さんの作品は、素材の良さでもある「鮮やかさ」「しなやかさ」が美しく、ユーモアあふれるポップなモチーフの魅力とぴったりマッチしています。
「作品が充分ポップなので、グレーの背景で統一してみるのはどうだろう?」という話でまとまり、さっそく試してみることに。
「Lightroom」を使えば、暗い印象になりすぎてしまっても、作品のカラーを保ちながら、トーンやコントラストを調整できるので安心です。
今回の企画に向けて、tontokosan18さんはこれからの季節にぴったりの「クリスマスケーキ」をモチーフとした作品も制作してくれました。
Lightroomに触れてみる。
ここからが画像の編集です。これまでもスマホアプリのフィルター機能などを使用して編集や加工をしてきたそうですが、「Lightroom」を使用するのははじめて。
傾きの微調整や、明るさの調節を行なっていきます。
◆ 「トーンカーブ」で変化を見ながら簡単調整
大きないちごが乗った、ふっくらと厚みのあるホットケーキ。クラフトバンドの質感や繊細な編み目は、より鮮明に伝わるのに、モチーフである「ホットケーキらしさ」までアップしてしまうのが不思議です。
明るさやコントラストの「トーン」を、曲線を使って思い通りに調節できるのが「トーンカーブ」。曲線にすこしずつ歪みを加えていくことで、写真を見ながら、簡単に比率を調整することができます。
◆ 「黒レベル」「白レベル」を調節する
「白レベル」や「黒レベル」(最も明るい部分と暗い部分)をうまく調節しながら、全体の明るさも調節することで、暗さで黒く見えてしまっていたカラメル部分も、その絶妙なダークブラウンが伝わるようになりました。プリンそっくりな生成り色も、より鮮やかに。
◆ 「コントラスト」や「明瞭度」を調整し、“白”を表現する
新作の「クリスマスケーキのかご」は、真っ白な部分が多いだけに「白飛びしてしまうかも?」という心配もありましたが、「コントラスト」や「明瞭度」をうまく調節することで、クリームの白はより美しく、さらにサンタクロースの赤がよく映える印象となりました。
◆ さらに、カバー画像の変更も
これまでは「設定したい、と思える画像が見当たらなかった」というカバー画像も、これを機に設定してみることに。
ホットケーキに軽く手を添えて、制作に欠かせないハサミやクラフトバンドと一緒に撮影。「トーンカーブ」を駆使して、明るさを整えて完成です。
そして、ギャラリーページが…
これが、「Lightroom」を使う前のギャラリーページです。
ポップな作品の魅力に反して、ライトの黄味や余白の多さが気になり、少々さみしい印象がありました。
新しいページには、統一感、華やかさが生まれ、グレーの背景からカラフルで鮮やかな作品が目に飛び込んでくるような印象があります。
クラフトバンドの素材感も、しっかりと魅力的に映っています。
スマートフォン(webページ)は、どうでしょう。
画像の編集に挑戦してみて
魅力を引き出す“編集”が、制作のたのしみになる。
足りない点の補完や、不都合を修正する「加工」ではなく、魅力を最大限に引き出し、見せたい「ここ!」というポイントを伝えることが「写真」でできたなら。
そんな「編集」はものづくりの仕上げとしてたのしみになってしまうかもしれません。
誰でも手軽に操作できる「Lightroom」アプリで、あなたもギャラリーページを「一新」させてみませんか?
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文 / 中前結花 撮影 / 真田英幸