グラフィックマーカー「ABT」
趣味でアートをたのしむひとから、プロのデザイナーやアーティストまで。長く愛用され続ける文具メーカー「トンボ鉛筆」のグラフィックマーカー「ABT」は、手描き表現の可能性を無限大に広げてくれるツールです。
全108色というカラーバリエーションも、もちろんその魅力のひとつ。
そして、その中の1色「N00」は無色インクのペンになっていて、色同士をなじませる、ぼかす、など“カラーレスブレンダー”としての役割を果たしてくれます。
「N00」に限らず、どのカラーも紙の上で同色を混ぜ合わせたり、なじませてグラデーションをつくることもでき、さらにはツルツルとしたセロハンやクリアファイルをパレットに、濃いカラーのインクを出してから、薄いカラーのペン先でそのインクをとって紙に描けば、オリジナルグラデーションも思いのままです。
「水彩画」のような表現はもちろん、線の細いイラストや、ハンドレタリングまで、さまざまなアートが紹介されているので、ぜひ公式のInstagramもチェックしてみてください。
今回はそんな「ABT」を使って、2名の作家さんに「クリスマスに贈りたい」メッセージカードやミニカードをつくっていただきました。
作家さんのデザインと「ABT」ならではの風合いの融合に、どれも惚れ惚れとしてしまいます。
しんしんと深まるクリスマスの夜
まずご協力いただいたのは、ほのかに明るくやさしい色合い「ペールトーンカラー」を基調に、誰もが「あの頃のわたし」に戻ってしまうような、淡く幻想的な世界を水彩画で表現されている、イラストレーター・きんいろひとでさんです。
「試しに」と描いていただいた木々も、「水筆」を使ってぼかしを入れると、立体的で、ぼんやりと浮かび上がってくるような不思議なタッチに。
デザインを考案する作業として、いくつも試し書きや、色づくりを繰り返します。
普段は水彩絵の具で作品を手がけている、きんいろひとでさん。水彩画では表現できない、そのシャープさの実現にも、ずいぶんと感激されたよう。
たくさんのイラストが完成しました。どれもきんいろひとでさんの作風の魅力はそのままに、ふわりとやさしい滲みの表現もしっかりと活きています。
そして完成したのが、まずは、おとぎ話の1ページのようなデザインの、3種のクリスマスカードたち。
それぞれ、左から『氷の王国のリース』『お庭が好きな女の子からのグリーティング』『冬の夜に 扉絵みたいなクリスマスカード』という物語を感じさせる素敵な名前が付けられました。
ラッピングのタグとしても、ミニカードとしても使用できそうな、その名も『額縁の中の小さなクリスマス』。
手元にずっと置いておきたくなるような、かわいいフォルムと素敵なデザイン。受け取ったあとは、ブックマークなどにして活用するのもいいかもしれません。
そして最後は『深い森のクリスマスタグ』。まるでサシェのようなかわいいフォルムに、胸がときめきます。夜の森の風景を切り取った、静かなイラストでありながら、そこにも、おとぎ話のような、うっとりとさせられる魅力が。
そして、「木」を描く際のアドバイスもいただきました。
どれも、とっても素敵なデザインですが、よく目立つところに飾っておきたい!というよりも、なんだか自分だけの宝箱に入れて、大切に仕舞っておきたくなるような。
「ABT」の持つ強みと見事に融合した、静かなときめきで胸がいっぱいになるようなクリスマスアイテムたちが完成しました。
何度も眺めて、笑みがこぼれる
次にご協力いただいたのは、立体的でユニークな作品を数多く手がけられている、イラストレーター兼デザイナーのrala designさんです。
まず取り掛かられたのは、葉や枝を1本1本描くところから。「グリーン」だけでも多くのラインナップが揃っている「ABT」だからこそ表現できる、深みや影。徐々に徐々に、見事な「森」が完成していきます。
深い「森」だとばかり思っていましたが、これはもしかして…。
左下には、きらりと小さな星が輝いています。いったいなにが出来上がるんでしょう。
さらに「N52」を使用して胴体を描いているのは、かわいいペンギンたちです。重ねて塗ったときの滲みも、水彩画のような独特の風合いとなって、イラストの味わいに。
次々と、それぞれユニークなポージングのペンギンたちが完成していきます。
これをデータに取り込んで、グリーンと合成していくのだそう。
そして、完成したのがこのカードです。半透明の封筒からかすかに覗くイラストに、すでに心踊ります。
封を開けると、こんなカードが収まっていました。二つ折りを開くと、中にはメリークリスマスのメッセージが。たっぷりとスペースがあるので、想いもたくさん綴ることができそうです。
そして、切り取り線からゆっくりと切り離していきます。
三角形に組み立て、最後にちょこんと金色に輝く星を挿し込めば…
オーナメントでいっぱいの、クリスマスツリーの完成です。デザインは、「ペンギン」「ネコ」「トリ」の3種類。
それぞれの「森」のような、グリーンが生い茂ったツリーのあちらこちらで、かわいいどうぶつたちが、思い思いにぶら下がり、飛び回り、遊んでいます。
こんなところで自由に遊んでいる、先ほどのペンギンも発見。
ひとつひとつのオーナメントにも、立体感と光沢がしっかりと表現されています。
「N00」のカラーレスブレンダーの使い方についても、アドバイスをいただきました。
「贈る」ってなんだろう。
今回ご協力いただいた、rala designさんがとても素敵なことをおっしゃっていました。
「インターネットのコミュニケーションが発達すればするほど、“わざわざ紙に書いて伝える”という行為は、“大げさで、愛にあふれた、特別な行為”になりますよね」。
書くことも、描くことも、それを手元に「送る」ことも。
なんだかすこし非日常で特別な、だからこそ、とても意味のある大切な行為になってきたのだと思います。
「手描き」だから伝わるものを
どんな表現も思いのままに、そしておどろきの表現までたのしめてしまうグラフィックマーカー「ABT」。
「当たり前」の大切さを知る1年でした。そんな締めくくりには、いつもとはちがう、ちょっと「特別」な表現で、大切なひとに想いを贈ってみませんか。
「手描き」に込めるのは、時間や手間だけではありません。
誰にも、やさしいクリスマスが届きますように。
作家さん監修の「ABTセット」が、まもなく登場
きんいろひとでさん、rala designさんが作品で使用した「ABT」のカラーを、セットで購入することができます。
12月初旬より発売開始。(詳細は、近日中にこちらの記事でもご案内します)
冬のものづくりに、ぜひお役立てください。
詳細はこちら
企画・ディレクション / 中村瑛美里・中前結花