インタビュー

ガラス作家glass.saoriさん「一生続けていきたい、ものづくり」

minneのアトリエ 世田谷に、ガラス作家であるglass.saoriさんをお招きしました。実際に手がけられている作品をご紹介いただきながら、ものづくりに込める想い、サンドブラストという技法との出会いなどについてじっくり語っていただきました。

minneのアトリエ 世田谷に、ガラス作家であるglass.saoriさんをお招きしました。実際に手がけられている作品をご紹介いただきながら、ものづくりに込める想い、サンドブラストという技法との出会いなどについてじっくり語っていただきました。

プロフィール

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glass.saoriさん

グラスやおちょこにサンドブラストという技法を用いて、日本ならではの風景や、現代的な模様まで幅広く手がけるガラス作家。

光を透かす、絵柄と色味の美しさ

藤の花をモチーフに制作されたという、水色と緑のグラデーションが映えるおちょこ。ガラス作家であるglass.saoriさんが手がけられている作品はどれも、光を透かして見えるガラスの色味の美しさに、思わずはっとさせられるものばかりです。

ガラスに閉じこめられた、美しい絵柄。そのデザインに込める想いや、素材へのこだわりを、「サンドブラスト」という技法との出会いにさかのぼり、glass.saoriさんに教えていただきました。

「サンドブラスト」との出会い

glass.saori 作品はすべて、圧縮した空気で砂をガラスに吹き付けて削り落とす「サンドブラスト」という技術を用いてつくっています。マスキングをして、削る場所と削らない場所をつくることで、模様を描いているんです。色の様子を見ながら圧力を変えたり、グラデーションを表現することもできる技法なんですが、この「サンドブラスト」と出会ったことでわたしの「作家活動」がはじまりました。

運命の出会いだったんですね。

glass.saori そうですね。学生のころから、アクセサリーをつくってみたり「ものづくり」に触れる機会は多かったのですが、「一生ものづくりを続けていきたい」と考えるようになったのは、13年前にこの「サンドブラスト」に出会えたからだと思います。

その出会いは、ガラス雑貨好きだったglass.saoriさんに「偶然訪れた」のだと言います。

glass.saori 子どものころからガラス雑貨が好きで、西大島の教室に通いはじめたのがきっかけでした。「サンドブラスト」については何も知らない状態だったのですが、たまたまその教室の先生が素晴らしい技術を持った方で、日本中から生徒が集まってくるような教室だったんです。その技術にどんどん魅了されていったのを覚えています。

glass.saori 社会人として働きながら、仕事の合間を縫って5〜6年は教室に通っていましたね。当時は、もちろん自宅に機材などなかったので、教室の機材を借りて作業することが多かったんです。仕事としてサンドブラストをやっていこうと決めたのは、ひとり目の子どもが生まれたタイミング。ようやく機材を購入して、今はすべての作業を自宅で行えるようになりました。

思い描くイメージをそのままデザインに

猫が描かれたグラスは、特に人気の作品なのだと言います。

デザインは、どのように考案されているんですか?

glass.saori 「思いつき」で描いていくことが多いんです(笑)「こういう作品を作って欲しいのですが…」とオーダーをいただくことも多いので、自分なりにイメージをふくらませて、考えていきますね。以前、「ピアノと猫が好きな方へにプレゼントしたい」というオーダーをいただいたときは、ピアノと猫を同じ風景の中に描いてサンドブラストしたりしました。喜んでいただけてよかったです。

こちらは、月夜に釣りをする姿が描かれたウイスキーグラス。真横から見ると透明なガラスですが、少し角度を変えて見ると水色に変化する不思議なグラスです。

「童話シリーズ」は、ロマン溢れる世界観。

glass.saori これは、「銀河鉄道の夜」をモチーフにしていますね。ビアグラスなんですが、下部にはサギの群れや山並みなど細かいところまで表現しています。赤や紫とちがって、青色は削っていて急に色が落ちるという難しさがあるんです。でも、とても好きな色なので、制作するのはたのしいですね。


希少価値の高い江戸ガラス

ガラス素材にも、とてもこだわられていますよね。

glass.saori そこが一番の苦労かもしれませんね。作品に使っているグラスを制作している窯元が年々減ってしまっているんです。江戸被せ(キセ)ガラスというのですが、今は都内だと2社くらいしかないんじゃないですかね。

それはご苦労されますね。

glass.saori もう手に入らない形のグラスがあったり、素材の希少価値はどんどんあがっていますが、”made in TOKYO”で活動している私としてはできる限り江戸ガラスの素材にはこだわっていきたいですね。

ひとつひとつ「ちがうもの」

手作業でつくるガラス作品の魅力ってなんでしょうか。

glass.saori やっぱり、ひとつひとつにちがいがあることは大きいと思います。ペア用のセットグラスもつくっているのですが、ペアはペアでもまったく同じデザインにはしないように心がけていたりします。たとえば、草模様が入っているものなら、葉の向きを反転させたり、というちょっとした工夫ですね。せっかく「オリジナル作品」なので。同じガラスが手に入りにくいという背景もあったりしますが、ひとつひとつちがうものをつくっていきたいという気持ちは常にありますね。

お祝いや、贈りものにもぴったりですね。

glass.saori そうですね。ペアのおちょこは、結婚祝いや還暦のご両親へのプレゼントに購入してくださる方が多くて、うれしいです。贈りものは、買ってくれた人と実際に使ってくれる人がいるので、お渡ししたときの反応や、それぞれのご感想を教えていただけたりするのが本当にうれしくて。喜び半分、すこしホッと安心する自分もいますね。

コップの底には「和」の文字が深い削りで描かれており、上から見ても楽しい仕上がりになっています。

glass.saori 私自身も、家族への贈りものとして作品を制作したりすることも多いんです。家族も作家活動に協力的でとても応援してくれているので。「ありがとう」の気持ちを伝えれたられるような作品を、これからもつくっていければいいなと思っています。

glass.saoriさんの作品一覧

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