熱中症
ワンちゃんの熱中症は、高温多湿な環境に長時間晒されることで体温が上昇し、高体温及び脱水によって起こる病気です。
また、体温を発散する機能が低下している場合や、過度な運動によっても起こりうる全身に症状が現れる病気です。
🔸 熱中症の症状
【初期症状】
・ パンティング(ハアハアと激しい呼吸)をしている。
・ よだれが大量に出ている。
・ 粘膜(歯肉や舌、結膜など)が充血やうっ血している。
・ 頻脈(心拍数の増加)が見られる。
【重篤化した場合】
・ 虚脱(ぐったりとして意識がない)状態になる。
・ 嘔吐下痢、ふるえを起こす。
・ 意識が消失する。
・ けいれん発作が起こる。
・ ARDS(肺が炎症を起こし呼吸が困難になる病気:急性呼吸促迫症候群)になる。
人間と同じように、高温多湿な環境に長時間晒されることでワンちゃんも熱中症にかかる可能性があります。
少しでも異変を感じたら、動物病院へ連れて行ってください。
🔸 応急処置のポイント
【すぐにやること】
・ 常温の水をかける。
・ 水で濡らしたタオルなどで包む。
・ 涼しい場所で風を送る。
【冷やす場所】
・ 頭部喉側から首(頸動脈)
・ 脇の下(前足の付け根の内側)
・ そけい部(後ろ足の付け根内側)
※ 熱中症は重症化すると死に至る致死率の高い病気ですが、応急処置の際に早く体温を下げようとして冷水や氷、アイスバッグを用いて急激に冷却すると、末松血管が収縮し温度の高い血液が各臓器に循環します。
そうなると熱が発散しにくくなり、深部体温が下がらずに高体温による各臓器への障害が促進されて逆効果となるため注意が必要です。
🔸予防と対策
【屋外】
・ お散歩の際、アスファルトの温度を手で触って確かめる。
・ こまめな給水を心がけ、時には体表に水道水をかけ流し、さらに風を送るなどの気化熱を利用した簡易的な体幹冷却法(※1)を取り入れる。
※1 体幹冷却法 : 「頚部(喉から首にかけて)」から「体幹(胸、内腿を含めたお腹全域)」に水道水をかけたり、水分を多く含んだタオルをかけてうちわであおぐなど。
【室内】
・風通しを良くしておく。
・ワンちゃんが自由に居場所を選択できるようにする。
・温度は26℃以下で維持するようにする。
【車内】
・ 気温が25℃を超えるような締め切った車中で放置をしない。
(活動的なワンちゃんや興奮しやすいワンちゃんの場合には、さらに低い気温でも熱中症のリスクがあります。)
・ ワンちゃんがいつでも自由に飲水できるようする。
また、認知機能不全症候群に陥っている高齢のワンちゃんは、高温環境ではなくとも熱中症を引き起こす場合があります。
水を飲む場所が認識できない、家具の隙間など閉所から脱出できない、あるいは長時間吠え続ける等の症状が見られる場合、体温上昇ならびに脱水症状を引き起こしやすく、熱中症の状態に陥ってしまうこともあるので注意が必要となります。
参考文献:
一般財団法人 日本気象協会
熱中症ゼロへ https://www.netsuzero.jp