『猫草子』 作 清少ニャ言
春はお昼寝。ようよう暖かくなりゆく縁側に横たわりてひねもすのたりのたりかな。桜の花びらが舞い落ちりてトラ柄に色を添えるもいとをかし。
夏はセミ。うるさく鳴きにけるをいたずらに土に叩き落とすはいと楽し。落ちたセミを前肢にて突けば、鳴き声を出すもをかし。かかるむざんな行ひも、猫ならば許されん。
秋は寄り合ひ。望月の夜、寄り合ひに行くとて、三つ四つ、二つ三つなどはしり急ぐさへあはれなり。まいて子猫などのつらねたるが、親猫にしたふさまは、はたいふべきにあらず。ともがらと集いてよしなしごと語らふは秋の夜長がにつかはし。
冬はこたつ。雪の降りたるは、いふべきにあらず。にはを駆け回るは犬に任せ猫はこたつで丸くなるが勤めなり。されど、人の芋を喰ひて屁などひるはわろし。
【猫語訳】
春はお昼寝がいいニャ。だんだん暖かくなった縁側で横になって一日中ダラダラするニャン。桜の花びらが舞い落ちてトラ柄に色を添えるのも映えるニャ~
夏はセミだニャン。うるさく鳴いているのを面白半分に地面に叩き落とすのは楽しいニャ。落ちたセミを前肢で突けば鳴き声を出すのも面白いニャン。こういった残酷な遊びも猫なら許されるニャ。なぜって猫はカワイイからニャ~
秋は集会だニャン。満月の夜、集会に行こうと、3匹4匹、2匹3匹が走り急ぐのだって人間にはキュン死ものだニャン。まして子猫の連なったのが親猫に一生懸命ついて行く様子なんて言うまでもないニャ。仲間と集まって、たわいもないことを語るのは秋の夜長がふさわしいニャ~
冬はこたつがいいニャ。雪の降ってる時は言うまでもないニャン。庭を駆け回るのは犬に任せ猫はこたつで丸くなるのが勤めだニャ〜
だけど人間が芋を食べて屁などした日にはユー最悪だよ。猫パンチをお見舞いするニャ。