【瓶詰めの御話】戸棚の瓶詰めのお話【1/5】

【瓶詰めの御話】戸棚の瓶詰めのお話【1/5】

公開日: 2021/02/09更新日: 2021/03/18
皆様こんにちは、「リーゼの庭」店主のリーゼ・ロッテでございます。 今回は、乾燥マンドレイクをしまった時に戸棚の奥から見つけた古い瓶詰めのお話です。 戸棚の奥にあった古い瓶詰めはかなりの年数が経っているようで、瓶や蓋のかぶせ布には埃やカビといった汚れが付着していて、とても綺麗な状態とは言えませんでした。 悩みつつも戸棚から出し、瓶を布で優しく拭いてみたところ瓶の中に石のような物が。6つある瓶の中は橙色の物と青色のような物の2種類あります。 中身を確認するためにそれぞれひとつずつ手に取り、まずは橙色の瓶の蓋を開けてみることにいたしました。 蓋のかぶせ布は傷みはあるものの古い時代のものなのにしっかりとしています。これだけ古い綿布ならすでにボロボロになるはずです。 固く閉じられた蓋をなんとか開け中身を見てみると、キラキラと輝く透き通った美しい橙色の粒が詰まっていました。 2cmほどの大きさの粒はほんのりと甘い香りがします。花畑のような、優しい花の香り。 瓶のラベルを見てみると「HONEY DROPS」という文字が。この透き通る美しい橙色は蜂蜜の色。蜂蜜の粒だったのですね。 蜂蜜を粒状にするには冷やして固めるか、火にかけて煮詰め飴状にするか。 冷やしてしまうとこの透き通った色にはならないし、煮詰めてしまうともっと色が濃くなる。 そういえば、乾燥マンドレイクの粉薬……あれは凝固魔法で粒状に出来るから……。 そしてようやく「HONEY DROPS」は凝固魔法で蜂蜜を固めた調味料だったと気づきました。 ここでもう一つの青い瓶。中身を手に取るとこちらも凝固魔法でできた品だと分かりました。 見た目は鉱石のような形で、色味は青や水色の乳白色の石です。 ラベルには「UNDINE CRYSTALS」という文字。直訳ですが、ウンディーネの結晶といったところでしょうか。 ウンディーネには悲しい恋の伝承が多くございます。 ウンディーネは美しい女性の姿をしていると云われていて、元々魂の無いウンディーネは人間の男性と結婚し子供を授かることで魂を得ることができます。 ですが、結婚した男性に水の傍で罵倒されてしまうと水に還ってしまい魂も失ってしまうのです。 恐らくですが、この「UNDINE CRYSTALS」はウンディーネが還った水から作られた物だと思われます。 ナイフで削った欠片を舐めると塩気を感じたので、海辺で暮らしていたウンディーネの水から作った塩ではないかと。 もしくは……ウンディーネの涙なのかもしれませんね。 とはいえ、とても貴重な品であることに変わりはありません。 この「UNDINE CRYSTALS」の塩は甘味や旨味が強く、流通している岩塩とは比べ物にならない味わいです。 どちらの調味料も見たことがない品なので、深く調べる必要がありそうです。 また分かり次第、こちらのレターにまとめますね。 そういえばこの瓶詰め、一体誰が作ったんだろう……。 Riese

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