履物を脱いで、畳を感じる
茹だるような暑さがつづき、駆け込んだのは緑に覆われた静かな和室。こんな季節にも、畳は素足で踏み入れると、ひんやりと冷たい心地が伝わってきます。
緑茶を淹れて、ひとやすみ。
煮出した緑茶を冷やして、氷をふたつみっつ。濃厚な鹿児島茶も、冷やせばすっきりとした味わいに。甘いものが欲しくなります。
目にもたのしい和菓子たち
用意したのは、梅餡と桜餡が入った手毬の生菓子、かための歯ごたえがたのしいかりんとう、求肥(ぎゅうひ)の入った黒大豆のどらやきです。
心華やぐ、鞠の色
日本の伝統技術「練り切り」で生み出す、見事な仕上がり。あしらわれた控えめな金箔が上品です。
渋い色味の四角い平皿とあわせて、そのコントラストをたのしみます。釉薬のかかり方で、1枚1枚印象が異なる器たち。
包まれているのは、信州産の八重桜を塩漬けにした甘くてしょっぱい桜餡と、三年間漬け込まれた紀州梅を使用した梅餡。菓子楊枝ですくい、口もとに近づけると香りが、口に入れると風味と甘みが、どちらもやさしくふんわりと広がります。
花びらのようにも見える、手毬たち。緑茶がすすむ逸品です。
黒糖・白蜜・抹茶
名古屋で百年つづく老舗豆腐屋のこだわりがつまった「かりんとう」。上質な菜種油で揚げられ、歯ごたえはしっかり。
いっちん模様があしらわれたタタラ皿は、その白が美しく、和菓子にもよく似合います。
昔ながらの、香ばしいどら焼き
釉薬をかけず高温で焼成した「焼締」の器は、ざらつきのある素朴な風合いと落ち着いた色味が魅力。
どら焼きは、北海道産小豆と求肥をはさんだ「もちもち」の食感。昔ながらの製法をたいせつにつくられた香ばしい皮と相まって、頬張ればたちまち幸福感でいっぱいに。
甘さ、重さも、最後の一口までたのしめる絶妙な加減。緑茶との相性は、言わずもがなです。
夏を緑茶とたのしむ
暑い夏は、どうか体をたいせつに。「ひとやすみ」は、毎日を乗り切るおまじないです。冷えた緑茶とたのしんで。