毎朝のたのしみ、それはおべんとうを詰めること。こだわりの「わっぱ」なら、お昼に包みを広げるわくわくと同じくらい、「詰める時間」もしあわせなものです。「どんなおかずを詰めましたか?」今回は、「minne」の作家支援アドバイザー・和田のおべんとうを覗いてみました。
みんなで使おう
8月のある日。日本の伝統工芸品に特化した動画コマースサイト『CRAFT STORE』を運営するニューワールド株式会社さんから「minneさんへ」と杉の木でつくられたおべんとう箱が届きました。開けるとほのかに薫る、杉の木のいい匂い。
いいなあ。ちょっと、みんなで順番に使ってみませんか?
そんなこんなで、この連載がはじまりました。「あの人のおべんとう」、連載第2回目は「minneのアトリエ」の作家支援アドバイザーであり、自宅では一児の母でもある和田に詰めてもらいました。
最後の2品
和田には、おべんとうが完成する「よし、できた」という瞬間も見せてほしい、と頼みました。
もうすぐ詰め終わりますね。
和田
残り2つ。先に大活躍のスイートコーンを詰めようかな。真空パックで買ってるの。この夏は、おべんとうのおかずにも子どものおやつにも、本当に重宝しました。
コーンは、お子さん喜びそうですもんね。
和田
そうそう、子どもも大好物。良いサイズにカットすればおべんとうの隙間を埋めてくれるし、常備しやすいから、おすすめ。
お、巨峰だ。
和田
すき? デザートも秋っぽくしてみました。彩りもいいよね。最後の一品を詰めて、完成です。
よし、できた。
この「完成」の瞬間がいいですよね。今日のおべんとうのテーマってありますか?
和田
これは、わが家の「運動会定番おべんとう」ですね。
運動会ですか?
和田
毎年5月に子どもの運動会があるんだけど、その日のおべんとうには必ずスパムおにぎりとトウモロコシを入れるようにしてて、それを再現してみました。だから、これは「運動会べんとう」のスピンオフかな(笑)
なにが入ってるか順番におしえてください。
和田
スパムおにぎり、トウモロコシ、茄子とズッキーニのケチャップ炒め、巨峰ですね。木のわっぱは初体験なんだけど、質の良いものに入れると、なんだか仕上がりも良く感じちゃう(笑)
色合いもいいし、食欲がそそられますね。
和田
わあ、そう言ってもらえて安心しました、よかった(笑)朝、急いでつくることが多いけど、食材もおべんとうグッズも実は結構こだわりが詰まってるの。
その「こだわり」を、順にうかがっていきます。
思い出深いアイテムたち
これは、スパムおにぎりのお米をよそったり…?
和田
やだ!(笑)炒めものに使う「木ベラ」だよ。ごはんよそうやつじゃないよ!(笑)
「しゃもじ」じゃないんですね、恥ずかしい、失礼しました!(笑)
和田
もう…おもしろいね(笑)これ作家さんにいただいたもので、山桜でできてるみたい。見た目も美しいし、サイズ感も良くて気に入ってます。
https://minne.com/items/3309520
包みもいいですね。木製のおべんとうによく似合っています。
和田
おべんとうが包めるハンカチ。これも気に入って、ずっと使ってます。肌触りもいいし、吸水性もいいんだよね。包むのに最適です。
食材ひとつひとつの物語
和田
食べてもいいの?
せっかく包んでいただきましたが、どうぞ召し上がってください。
和田
では、いただきます。ズッキーニとか茄子は、ケチャップで炒めるのがすきです。栄養もたっぷりだし、夏の疲れにいいね。
実は、わたし「スパムのおにぎり」って食べたことがないんですよ。
和田
あら、そうなの? でもこれは結構、特別なスパムおにぎりかも。海苔は、8月に出張で出かけた佐賀県の有明産の焼き海苔なの。佐賀は、海苔がおいしくて有名。
そうなんですね、佐賀から連れ帰ってきた海苔なんだ。
和田
スパムは去年奄美大島に出張に行ったときに買ってきたんです。名前は「チューリップ」。「このメーカーは関東では売ってないんですよ」っていっしょに行った子におしえてもらって、まとめ買いしちゃった(笑)これは最後の1缶。
なおさら、「特別」ですね。
和田
開け方も変わってて、おもしろいでしょう?
和田
そういえば、料理に使っているお砂糖も奄美のきび砂糖だ。
次から次へとエピソードが飛び出してくるおべんとうですね。
和田
そうなの。出張先では必ずスーパーをのぞくようにしてる。帰ってきて、家族と「これは○○で買ったものでね」なんて話しながら食べるのが、たのしみのひとつになってるのかも。
おべんとうを詰める、ということ
「おべんとう」って、忙しい毎日だと、つくる手間も大変なのに、やっぱりなんだかたのしいんですよね。
和田
ああ、そうだね。わたしの場合は、冷凍食品にも頼るし、つくることが苦にならないように工夫はしてますね。それにやっぱりうれしいもんね、褒めてもらえると。やることは毎日の料理と大差ないのに「おべんとう」って愛情も伝わりやすいし、すごく感謝してもらえる気がする。
和田
それに、うれしい気づきもあるんだよ。
なんですか?
和田
息子に、ある日突然「量が足りないからもっと大きなおべんとう箱にして」って言われたりするの。
ああ、それはうれしい…
和田
子どもの成長まで感じられちゃうなんて、やっぱり母親のおべんとうづくりって「特別」なんだよね。
いい匂いといっしょに、こんなお話が聞けて、気分がほくほくとしてきました。
和田
そう言ってもらえると、つくった甲斐がありました。
次回もおたのしみに。
取材・文 / 中前 結花 撮影 / 真田 英幸