インタビュー

りゅうちぇるさん「ハンドメイドで愛を伝えたい」

「minneハンドメイドアワード2018」でサプライスゲストとして登壇し、会場を盛り上げてくれたりゅうちぇるさん。当日は、りゅうちぇる賞のプレゼンターとしてのみならず、minne阿部とのトークセッション、さらにイベント後には「ものづくり」についてもじっくり語っていただきました。モデルやアーティストとしても活躍されるりゅうちぇるさんに、つくり手としてのこだわりや大切にしていることを伺っています。

まずは「minneハンドメイドアワード2018」授賞式の第2部で行われた、りゅうちぇるさんとのトークセッションの様子をお届けします。聞き手は、コンテストの創設者でもあるminneの阿部です。

minneハンドメイドアワード2018 全体レポートはこちら

つくり手の個性が魅力

りゅうちぇるさん自身の「ハンドメイド経験」からトークセッションがはじまりました。

りゅうちぇる
それがぜんぜんないんです。社会科の時間にエプロンに刺繍をしたり、トートバッグつくったことがあるくらい。でも「センスある~!」ってすごく褒められていましたよ。ぺこりんが「ボタンが外れちゃった」というときは、家庭科系の裁縫などは、ぼくがやってあげたりとか。学生時代から体育よりも、家庭科が好きなタイプでした(笑)。

阿部
そうだったんですね。実際にハンドメイド作品を見てみて、どんな印象を持ちましたか?

りゅうちぇる
いろんな作品を見させていただきましたが、どの作品も真心がある中に、つくった人のキャラクターもすごく出てるじゃないですか。作品だけではなく、つくった人の個性まで見えてきてたのしいなと思いました。ひとつの作品を見ただけで「この人の好き!」ってその人自身のファンになってしまったり、「こういうのもつくれるの!?」ってデザインに驚いちゃったり。そもそもぼくは古着が好きで、オンリーワンが好きなんですよ。だからハンドメイドも、これからどんどん見てみたいなって興味がわきました。

阿部
ありがとうございます。古着がお好きということですが、りゅうちぇるさんのファッションへのこだわりをおしえてほしいです。

りゅうちぇる
ぼくはずっと「昔の外国人の男の子」みたいなスタイルが大好きなんです。最初にテレビに出させていただいたときは、80年代のエアロビボーイの雰囲気を目指していて、ヘアバンドにルーズソックス、チークで少し火照った感じを出す、みたいな決まりが自分の中であったんですけど。最近は80年代より90年代。好きな軸はぶれてないけど、ちょっと時代だけ前に進みました(笑)。

阿部
minneにも、なかなか普通のお店では売られていないようなものがたくさんあるので、ぜひ見ていただきたいですね。

愛をカタチで伝える

りゅうちぇる賞を受賞した、brancheさんの「刺繍と絵本で贈る命名ギフト ~ First Gift Story ~

阿部
「りゅうちぇる賞」の選考理由について、おしえていただきたいです。

りゅうちぇる
手紙や日記も、子どもが大人になったときに両親に感謝できるようになる大切な手法だと思うんですけど、心をこめたハンドメイドで愛を伝えるというのが、すごく素敵だなと思いました。ぼくは出産も立ち会ったんですけど、頭が見えたときは泣きそうになってしまって。生まれてきたときに、子どものところに行くのかなと思いきや、ぺこりんのもとに「ありがとう~」って行っちゃったんですよね。それから、すごく頑張ってくれたぺこりんと、息子のリンクに感謝をしました。そういうときの感謝の伝え方、愛の伝え方として、言葉だけじゃなくて、ハンドメイドを通してカタチにして伝えるというのはすごくいいなと思ったんです。こういう伝え方をする親御さんってすごく素敵だな、という思いで選ばせていただきました。

阿部
りゅうちぇるさんはすごく愛に溢れた方だなと感じています。ソーシャルでも、ぺこさんへの愛をしっかりと伝えられていますもんね。ちなみにぼくも今、2歳半の息子がいるんですよ。ぼくは自分でものをつくったり、デザインをしたりもするので、デザインしたTシャツを息子にプレゼントしたりします。

りゅうちぇる
いいですね。ぼくも最近は、自分の服よりも息子の服を見るようになりました。今、5ヶ月なので、靴下とか、お人形さんのじゃない?ってくらい、小さくてかわいいんですよ~!で、買ってきてプレゼントをして、洗濯とかしたときに「やだ~!お人形さんの洗っちゃった」とか思ったり。かわいすぎて震える、という経験がたくさんあります(笑)。もうそろそろクリスマスですからね。何をあげるか迷っちゃいます。

阿部
これからどんどん、かわいくなりますよ。

りゅうちぇる
やだ、もう大変!お仕事とかできなくなっちゃう~!今ももう早く家に帰りたい!とか言っちゃって。嘘ですよ(笑)。

絆を深めたプレゼント

阿部
クリスマスに、リンクくんに贈りたいものはありますか?

りゅうちぇる
ツリーを出してオーナメントも飾って、お家の中はクリスマスムードがただよっているので、それに似合うようなものをあげたいですね。おもちゃやお洋服…ハンドメイドはあげたいけれど、あげるからにはこだわりたいので、ちょっと練習させてもらわないとですね。来年とかにはあげられるかな?

阿部
自分でつくれるようになるとイベント自体、また違ったとらえ方になるというか、準備する時間も含めてよりたのしくなりますよ。思い出に残っているぺこさんからのプレゼントってありますか?

りゅうちぇる
クリスマスプレゼントはね、ある!ぼくが18くらいのときにぺこりんと出会ったんですけど、最初のクリスマスのときに、ぼくがすごくほしかった時計が古着屋さんにあって。すごくかわいかったけど、ちょっと高いしあきらめていたんですね。クリスマスだし、デート代にお金を使おうって思って。だけど、ほしいなあ~って思っていたんです。そしたら、クリスマスにぺこりんがその時計をくれたんですよ。古着屋さんで時計を見たときは、ぺこりんはめちゃくちゃ遠くにいたので、ぼくがその時計をほしいなんてわからなかったと思うんですけど。超遠くから見てたんだろうなって。ぼくがすごくわかりやすかったのかもしれないけど(笑)。そのときに、この人はぼくの些細なことにも気づける人なんだ、って。この人とずっと一緒にいたいという気持ちが高まった瞬間でしたね。

阿部
すごいですね。きっと、ぺこさんは見ていたんだと思います。

りゅうちぇる
クリスマスってプレゼントがほしいとかよりも、そうやって絆を深める大事なものだったりしますよね。たまに、「え、これ全然好きじゃないんだけど?」っていうプレゼントをする人っているじゃないですか。それよりも「そう、これドンピシャ!」っていうほうが絆を深めるし、日々のコミュニケーションとか、ふたりでどれだけ過ごしてきたか、どれだけ好きなものを共有してきたか、とかがわかってくる。ぼくはぺこりんとならそういうところもずっとたのしんでいけると思いましたね。自信になったというか。

阿部
そういう日々のことが絆を深めていきますよね。これからチャレンジしたいものづくりはありますか?

りゅうちぇる
やっぱりファッションが好きなので、自分のものというよりはリンクのお洋服、ぺこりんが身につけられる帽子とかプレゼントしてみたいなと思いますね。ぼくたちは、SNSがきっかけでテレビにも出させていただいていて、自分の世界観を出す場所にしているんですけど、そんなSNSでも100%自分のものづくりとして発信できるようなお洋服などをつくっていけたらいいなと思います。

阿部
お裁縫が得意とおっしゃってましたもんね。ぜひつくっていただいて、minneにも出品していただきたいです。

りゅうちぇる
はい、出してみたいです~!コラボなどもぜひ機会があればお願いします!今日は本当にありがとうございました。

ハンドメイドの話にはじまり、ふたりのパパとしての子どもを溺愛する一面も垣間見れ、会場は和やかなムードがただよっていました。終始笑顔が飛び交い、大盛況のうちにトークセッションは終了しました。


ここからは、授賞式後におこなったインタビューをお届けします。つくり手としての葛藤やモチベーションの維持法についてなど、たっぷりお話いただきました。

大好きなことで活動できる場所



今回、「minneハンドメイドアワード2018」授賞式に参加してみて、改めていかがでしたか?

りゅうちぇる
ぼくのお姉ちゃんもハンドメイドをしているので、ハンドメイドやminneの存在は知ってはいましたけれど、それでもまだまだ未知の世界だったんです。minneって、作家さん側からすると、自分の趣味だったり、大好きなことが、才能として認められて、みなさんに喜んでいただけたり、活躍できる場所じゃないですか。今日はそんな人たちが集まって、自分の作品や、自分自身に自信を持って、これからまた目標をもって活動していくための一歩につながるような場所だったと思うんです。そこに呼んでいただいて、ぼく自身も刺激をもらいましたね。

りゅうちぇるさんは、モデルやアーティストなど「つくり手」としてもご活躍されています。ものづくりの際にこだわっているところをおしえてください。

りゅうちぇる
ひとつのものをつくるのってすごく大変なんですよね。音楽だったら、まずはどういう人にきいてほしいか。ハンドメイドの作品だったら、どういう人に持ってほしいか、使ってほしいかって考えると思うんです。でもだんだん、みんなにきいてほしい、みんなに持ってほしいと思うようになる。すると個性がなくなってしまう。ひとつの作品をみんなに届けるということ、ひとつの作品がみんなの前にお披露目になる前に、つくり手にはすごく葛藤があると思うんですよ。でもそこで、誰かの目線でものづくりをしてしまったら、失敗したときに後悔がのこるじゃないですか。だからぼくは、絶対に自分がかわいいと思ったものを信じて、人に届けます。

自分の目線や感覚を信じるんですね。

りゅうちぇる
そうです。もしもそれで、みんなには伝わらなかった、響かなかったのであれば、また勉強すればいいだけのこと!自分の個性や世界観と、みんなに受け入れてもらえるものとのバランスは大事だけれど難しい。でもそこがやりがいにつながると思うし、ぼくも今、場をこなして勉強中なんです。立ち止まってしまったら誰にも届かないですから、とりあえず、つくるつくるつくるっていうことが大切かなって思います。まずは自分らしく、自分100%でものづくりをしていく。たのしくないと続かないので、あまりみんなの目線を気にせず、自分らしく個性を大切にして、つくり続けていくこと。

そうしてつくり続けていくうえでの、モチベーションをおしえてください。

りゅうちぇる
作品に対してのどんな声も、勉強だと思って受け入れて自分の力に変えていくこと。たとえば、ミュージックビデオをあげるといろんなコメントが届くんですよ。その中には、うれしいコメントもありますし、「こういう風に考えてくれるんだ!?」とか、「え、そっち?そんなつもりなかったんだけど(笑)」みたいな、出してみないとわからない反応もたくさんあるんです。つくり手の方だったらわかると思うんですけど、人の捉え方って本当にいろいろ。そんな新発見ひとつひとつが勉強ですよね。そこが喜ばれるのであれば、取り入れて軸にしてまた違う作品をつくろうかなとか。でも自分の好きなものを曲げる必要はないので、あくまでもモチベーションはみんなにじゃなく、自分の中にもってくるもの、っていう感覚はすごく大切。

りゅうちぇるさんのものづくりは日々、勉強なんですね。

りゅうちぇる
自分らしく、でもみんなにも寄り添いたいという、いい塩梅をつねに勉強している感じですね。ぼく的に、歌というお仕事はずっとやりたかったことだったんです。歌の魅力のひとつは、歌詞で人生経験を伝えられること。生まれてきたときからみんなに知ってもらうまで、そして、結婚して子どもができた今まで。すべてを歌詞にして、みんなに届けられる。そしてもうひとつは、ミュージックビデオやメロディで、ファッションやメイクのビジュアル面と、自分の好きな世界観とを伝えられること。1曲に自分の人生経験と世界観をギュッとまとめて届けられるって最高じゃないですか。でもようやく音楽の活動がはじめられたんですけど、自分の世界観にどっぷりつかった感じで、ダンスも何もかもこだわってつくりすぎて、ちょっとみんなが手を伸ばしにくい、みたいになっちゃったこともあって。それは自分の中ではすごくいい経験になったんです。そうやって1回1回、気づくことがあって。っていうことはこれからもずっと成長していけるってことですから。

愛はカタチにするべき



今日のファッションもとても素敵ですが、服を選ぶときに大切にしていることは?

りゅうちぇる
普段は古着屋さんにしか行きません。たくさんのお洋服の中から5秒くらいで選ぶような、ぶっちゃけイスピレーションをすごく大切にしていますね。迷って買う、ということはないです。自分が「好き!」と思って集めたものが、最終的に自分の系統になっていく感じです。自分の中で目指している自分、なりたい自分がつねにあるので。

授賞式当日のスタイルは、minneをイメージしてコーディネートしてくださったそう。あたたかみのあるイエローをベースに、カジュアルなルーズソックスとカチッとしたローファーがおしゃれ。

りゅうちぇる
ぼくのスタイルの理想像は80年代とか90年代の、アメリカの映画に出てきそうな男の子。少しでも近づけるように、髪型もメイクもお洋服も意識しています。自分のなりたい自分が明確にあるからこそ、これも好き、あれも好き、とはならずに、いつも決まった系統で、選ぶことができていますね。

今回の「りゅうちぇる賞」も、すぐに決まりましたか?

りゅうちぇる
古着のことだと全部わかっているから選ぶのも早いんですけど、ハンドメイドはあまり見たことのない世界で、わからないことだらけだったので、時間がかかりました。選ばせていただくからにはと、ひとつひとつじっくりと考えながら見させていただきました。「こういうのもあるんだ」とか「ユニークだな」とかいろいろな作品がある中で、いちばん感動したのが身につけるだけでなく、愛をそのままカタチにした作品でした。パパになったという自分の経験にちょうど重なったのもあるけれど、愛をカタチにするということ自体、みんなももっとするべきだと思うんです。

選ばれた理由には、そういうメッセージも込められていたんですね。

りゅうちぇる
そうですね。みんな愛をもっと伝えるべきですよ。この作品を見てぼくは、リンク、ぺこりん、両親、いつも優しくしてくれるお仕事の人やお友だちにも、愛をカタチにできるプレゼントを贈りたいなと思いました。日ごろから、感謝の気持ちや、大好きだよっていう気持ちは伝えているんですけど、言葉だけじゃなくて、言葉とカタチとでしっかり愛を伝えたいな。受け取るほうも、ずっとカタチとして残ったら、自分への愛を感じて、自分のことを愛せるようになる、大切にするようになると思うから。

先ほどの対談では、ハンドメイドにチャレンジしたいと言っていましたね。

りゅうちぇる
はい。本当にやってみたいですね。ファッションが好きなので、まずはリンクのお洋服から。今のサイズだったら着られなくなっても、ずっと飾っておける!「こんなのつくってくれたんだ」「こんなに愛されていたんだ」って、大人になっても思うと思うから。丁寧に心をこめてつくって、しっかり残しておいてあげたいですね。編みものの経験はないんですけど、これからの時期だとニット帽、手袋、靴下とか、つくってみたいなあ。リンクに似合う色は…クリスマスだったら赤い帽子と赤い手袋とか?記念日に合わせてたのしみたいですね。これから行く場所や季節に合わせて、いろんなものをつくってあげたいな。

詳しいデザインはぺこさんにも相談ですね。

りゅうちぇる
うーん…そこは、相談しません!ぺこりんにもサプライズでハンドメイドのアイテムをプレゼントできるように、こっそり練習を重ねて頑張りたいなと思います!

取材・文 / 西巻香織   撮影 / 佐々木達也(twelve management)

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