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ものづくりを「支える」道具
「普段から使われている作業机を見せてください」取材で工房にうかがわせていただくと、いつもそのようなお願いをします。
ー こうやって、自分なりに管理しているんです。
そう言って見せてくださるのは、たくさんの付箋やメモ。お客様への対応や、素材の買い足しリスト、在庫に関するメモや、打ち合わせの予定など、制作活動に関わるたくさんの「覚えておきたいこと」が記されています。
今回ご紹介するのは、そんな付箋の定番ブランド「ポスト・イット® 製品」。近ごろでは、「覚えておきたいこと」のメモだけにとどまらず、会議でアイデアを発散させるためのブレインストーミングや、プロジェクトの管理においても欠かせない道具になっています。幅広いものづくりの現場で愛され続ける定番アイテムの「これまで」と「これから」に迫ります。
お邪魔したのは、「ポスト・イット® 製品」を開発・販売しているスリーエム ジャパン株式会社。暮らしのなかで役立つ身近な商品だけでなく、産業の分野でも幅広く事業を展開し、5万5,000にのぼる製品を提供している企業です。
文具・オフィス事業部の坪井さんにお話をうかがいました。
アイデアが生まれる現場で
「minne」を運営している事業部でも、サービスの開発やスタッフの業務は、この「ポスト・イット® 製品」で管理していることがとても多いんです。「必要なものを、必要なときに、必要なだけ」という考え方がベースになった「かんばん方式」で作業を可視化して、全体の把握や効率を強化したり、タスクの分類をしています。
坪井さん
minneさんでもご利用いただいているんですね、ありがとうございます。最近では、「何をいつまでにやる」といったプロジェクト管理や、アイデアを発散させて収束させる会議の場などで、ポスト・イット® 製品が重要な役割を担えていることを、とてもうれしく思います。
「minneとものづくりと」の編集部でも、記事の構成を考えたり、アイデア出しをしたり、と毎日のように使っていて、とても身近な存在でした。幅広い「ものづくり」を根底で支えているアイテムですよね。
坪井さん
ありがとうございます。みなさんの「アウトプットを支える」というところが使命だと考えていますので、そういったお話をうかがえるのは非常にありがたいです。
誕生のきっかけは「失敗作」
「ポスト・イット® 製品」のはじまり、それは接着剤を開発していた際に生まれた「失敗作」だったのだと言います。目印として挟んでいた「しおり」がひらりと滑り落ちてしまう様子からヒントを得て、「よく着くけれど、簡単に剥がれてしまう」という、その接着剤の失敗作を活かすことで数年後に開発されたのが、「ポスト・イット® 製品」でした。日本で発売されるようになったのは、1981年のこと。
38年もの間、愛され続けているロングセラーシリーズですが、現在ではおどろくほどの種類数が販売されていますね。まず最初に販売されたのは、どのサイズだったのでしょうか?
坪井さん
はじめに誕生したのは、現在も「定番サイズ」として人気の75mm×75mmの正方形でした。現在でも、たくさんの方にご利用いただいていて、アメリカでは圧倒的に人気のサイズなんです。
日本の一番人気のサイズは違うんですか?
坪井さん
実は、日本で一番ご愛顧いただいているのは、この75mm×25mmサイズなんです。自分のためにちょっとしたメモを書き込んだり、伝言などのコミュニケーションをサポートするツールとして使われているようです。マーケットによって、違いがあるのもおもしろいですね。
豊富なカラーバリエーション
カラーバリエーションの多さも、「ポスト・イット® 製品」の特徴です。
坪井さん
発売当初は、イエローの一色でした。当然ですが「書かれている文字」が目立たなければ意味がありませんので、自己主張の少ないパステル調の色味からスタートしたんです。今でも最もご愛顧いただいているカラーですね。
現在は、パステルカラー以外の色味もたくさん登場していますよね。
坪井さん
そうですね。販売当初は「貼って剥がしやすい」ように、粘着力を抑えたタイプのみを販売していましたが、そこから使用用途も多様化し、「しっかり貼りたい」というご要望が多くなってきました。そこで新たに開発したのが「強粘着」というシリーズで、こちらは違いがわかるように、「見えやすさ」は担保しながらも主張の強い色味にしました。現在では「強粘着タイプ」にもパステルカラーを増やしたりと、製品のバリエーションはさらに広がっています。
次々と生まれる「新たな用途」
学生時代はノートや教科書にたくさん貼っていました。やはり火がついたのは、学校や塾での利用だったのでしょうか?
坪井さん
もちろん、学生さんにもたくさんご利用いただいていますが、実は最初に「これだ!」とご愛顧いただけるようになったのは、企業の秘書さんや受付の方々だったそうです。
ああ、なるほど!入電のメモや伝言を残しておくのにぴったりだったんですね。
坪井さん
そうなんです。当時は日本になかった商品なので、サンプリングとして配っていくなかで「これは、便利だ」と。自分のためのメモとして、そして発展して、誰かへのメッセージとして使用されはじめました。
コミュニケーションツールとして、少しずつ役割が広がっていったんですね。
坪井さん
現在ではさらに進化して、頭の中の整理やアイデア出しのようなシーンでも使用いただくことが増えてきました。そして、それを優先度順に並べて「何をいつまでにやる」といったことを可視化するような、プロジェクトの管理でもご活用いただくようになり、ありがたいことに 用途や役割は広がり続けていますね。
特に、ブレストの場では「ポスト・イット® 製品にアイデアを書く」というのが、定番になっていますよね。
坪井さん
複数人で、同時にアウトプットして共有する、という場面ではアナログな「書いて、出す」という方法が、やはりスピーディですよね。
わたしたちの会社では、会議室ごとに備え付けの「ポストイットボックス」があって、そこに複数種類の「ポスト・イット® 製品」とペンが、いつも準備されているんです。
坪井さん
それはそれは。逆に取材させていただきたいほど、ありがたいですね(笑)。
坪井さん
製品を開発するにあたって、お客さまの声は非常に意識しています。店頭に立って話をうかがったり、オフィスから情報を頂いたり、「現場を知る」というのは会社のDNAとして、とても大事にしています。
大切にしている「声」と「トレンド」
実際の利用者の声を集めながら、製品と向き合って、改善や拡充を考えられているんですね。
坪井さん
改善や拡充は常におこなっていますね。粘着剤にも非常にこだわっていまして、たとえば、粘着力が強くなればなるほど、紙に負荷がかかって剥がすときにカールしてしまうんです。それを防ぐために紙を厚くすると、今度はかさばってしまう。トータルのバランスを考えて、粘着剤をつくり込むことも大切です。それが、「めくりやすさ」の向上にもつながっています。
世の中のトレンドを掴むこともありますか?
坪井さん
たとえば、「働き方の多様化」によって、オフィス外で仕事をされる方も増えてきました。そこで、このような『持ち運びをするための付箋』も開発しました。
背表紙部分に台紙をくっつけられるんですね。
坪井さん
書くときには外に出して、ここに書いてパッと貼る。使わないときには、こうやって仕舞えます。
これは便利ですね…! 直接手帳に書き込む前のスケジュールの調整などにも大活躍しそうです。
坪井さん
4月に発売されますので、外回りの多い方やリモートワークで社外にいる方などにも、ぜひご利用いただきたいですね。
世の中の生産性を上げる、アウトプットを支える
「ポスト・イット® 製品」が「縁の下の力持ち」として、いかにたくさんのことを支えて、叶えてくれているのかがよくわかりました。
坪井さん
「ポスト・イット® 製品」で実現したいのは、日本が迎えている少子高齢化や、IT化、など、さまざまなメガトレンドをおさえながら、常にそれに呼応する形で、みなさんのアウトプットを支える、ということです。労働者の減少など、ネガティブな流れのなかでも、アイデアの創出やチームワークをサポートするツールとして機能することで、生産性の向上を助けたいと思っています。
写真を撮って、「ポスト・イット® 製品」を取り込むことができるアプリ。グループ分け、移動、削除などもおこなうことができる便利なアプリも開発。(iPhone iPadアプリ「Post-it®︎ Plus」)
個人やチームの生産性を上げることで世の中を良くしていく、それが「使命」なんですね。
坪井さん
お子さんの学習の習慣を身につける、頭の整理をサポートする、そういった役割も、結果的にはすべて、その「生産性の向上」に一役買えるのではないかと考えています。総合的に生産性をどう高めていくか。これからも、それを支えて叶えられるような製品の提供や文化の提案を、引き続きやっていきたいと思います。「筆記用具」という枠から飛び出て、たくさんの「つくる」をサポートしたいですね。
今月のプレゼント
ポスト・イット® シルエットノート 強粘着タイプ 詰め合わせ抽選で15名様にプレゼントします。記事の感想を書いて、ぜひご応募ください。
・応募締め切り 2019年3月31日
・当選は発送をもって代えさせていただきます
・種類は選べません、あらかじめご了承ください
締め切りました
取材・文 / 中前 結花 撮影 / 真田 英幸